ガイドコラム

輝く霧氷のなぜ? 出かけよう!霧氷の山 楽しむために知っておいて得なこと

 

新年あけましておめでとうございます。元旦に初日の出を迎えることができた方もそうでなかった方も令和二年が良い年になりますように。

令和二年「初日の出」六甲山からα6500に300mm望遠で撮影。

暖冬・雪不足のニュースも流れていますが、1月から2月ともなれば上空には寒気が流れ込んできますので、低い山々でも霧氷を見ることができます。

今のところ過ごしやすい新春ですが、やはり山好きにとっては少し物足りない冷え込みです。

標高の高い山々には積雪たっぷり、里は注連飾りに待ち焦がれる梅の花、それが私のイメージなのですが、皆さんの新年はいかがでしょうか。

霧氷はどんな気象条件でできるのか?安全に楽しむときに大切な装備について解説します。

まさに冬の華

専門家の分類では霧氷は樹氷・粗氷・樹霜の3つに分類しているそうです。

先ずは様々な樹氷の写真を見ていただきましょう。写真は全て筆者が登山中に撮影したものです。だから、これを読んでいただいている皆さんもきっとどこかで見ているはずです。

富士見台からは御嶽山、乗鞍岳、北アルプス、中央アルプスが一望できる。360℃の展望が楽しめる場所です。

霧や雲の粒は直径が、0.01~0.03ミリメートル程度の微小な水滴です。このような小さな水滴になると0℃以下の温度、マイナス10度や20度になっても凍結しないで液体の水のままでいます。これを「過冷却水」といいます。

ジェット旅客機で巡航している時は凡そ高度一万メートルくらいです。この時、地表に比べて凡そ65℃低く、外気温はマイナス40度くらいです。氷の結晶が漂う雲の中を飛ぶこともあるでしょうが、ジェット噴流の衝撃で過冷却水が氷晶となり飛行機雲をつくる時もあります。そんな時、「あぁ、上空は晴れているけれど、湿気があるんだなぁ」と推測したりします。

伯耆大山北壁の雪稜と霧氷をまとったブナ
樹氷は冬の山に行った時に見ることができる最もポピュラーな霧氷の型です。

空気中を浮遊している過冷却された微小な水滴は樹木など事物にぶつかるなどのきっかけで瞬間的に凍ります。それが「霧氷」なのです。


過冷却微小水滴が次から次へと衝突してはその場で凍結して成長していきます。ですから風上に向かって成長していきます。その密度は0.6g / 1立方センチで、木の枝にできた樹氷は強い風が吹くとショックで脱落してしまいます。

風が吹くとバラバラと脱落します。

樹霜型は、空気中の水蒸気が昇華して樹木の幹表面などに付着した樹枝状ないし針状の結晶です。

樹霜 針状の結晶

山で出会うもう一つの型に.「雨氷」というものがあります。これは透明で表面が滑らかな氷でその密度は0.9g / 1立方センチです。ほぼ純粋な氷と同じです。

過冷却の雨は地上の木々を氷の鎧で包みます。

霧氷はどのような気象条件の時に見ることができるでしょうか。

大雑把にみて、冬型の気圧配置 西高東低となる気圧配置になり、上空1500m付近(850ヘクトパスカル)にマイナス6℃以下の寒気の流入する様だとチャンスです。1週間程度前の寒気は知ることも可能ですから注目しておきましょう。

日本海をわたってやってきた湿り気を含んだ北風や北西の季節風が強くあたる山岳地帯に多く霧氷ができます。下の写真は九州大分県の由布岳です。霧氷は雪国の専売特許ではありませんよ。

北九州由布岳の霧氷

暖かい冬山は寒い冬山に比べて低体温症の発症危険度が大きいということをお伝えしておかなければいけません。夏であっても濡れた服のまま強い扇風機の前に立っていれば低体温症を人為的に起こすことはできます。

ゴアテックスフィルムは大丈夫でも、表面撥水がこんなではツライですよ。

暖かい冬山では乾いた冷えた雪ではなく、湿った雪やミゾレになることが多く、アウターウェアに付着した雪は気温の高さと体温からの伝導であっという間に融け、服を濡らしてしまいます。新品のアウターウェアで出かけるか、古いものはよく洗い撥水処理を施しておくようにしましょう。登山靴も同様な理由で防水撥水処理を強化しておくようにしましょう。

メンテナンス用品 洗浄剤と撥水剤

天気がいい時も悪い時も、様々な自然現象があります。素晴らしい景色や自然現象に気が付くには体力的な余裕が必要になります。装備をしっかりと用意すること、日頃から体力維持に努め、不快不愉快な自然環境に少しでも身を曝すということをしておくことが大切です。

最後に、雪に関してより深く知りたい方にお勧めは「中谷宇吉郎 雪の科学館」です。私の大好きな立ち寄り施設のひとつです。

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この記事を書いたのは「ガイド 加藤智二」

ガイド 加藤智二

公益社団法人日本山岳ガイド協会 認定山岳ガイド
日本プロガイド協会
日本山岳レスキュー協会所属
国立登山研修所講師

1960年生まれ。高校では小学校から続けるサッカーに没頭、キャプテンを務めました。
住み込みで新聞配達をしながら専門学校に通い、一人で山を始めました。卒業後、社会人山岳会に入り沢登り、岩登り、冬山など本格的に登山を開始、84年にネパールを皮切りにパキスタン、中国へ海外登山を行いました。
冬山登山や岩登りも行いますが、植物・地質など自然全般が大好きで、写真撮影も得意としています。
広範囲な登山を目指すことをモットーとしています。
現在は国立登山研修所講師や公益社団法人日本山岳ガイド協会などの事業への協力を行っています。

≪主な海外山行≫
■パキスタン ガッシャーブルムⅡ(8035m)
■中国 チョーオユー(8201m)
■日本・中国・ネパール三国合同チョモランマ・サガルマータ(8848m)

≪関連ホームページ・ブログ≫
■好日山荘登山学校校長のご挨拶

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