ガイドコラム

体温を無駄に逃がさない 覚えておきたい冬を快適にする4つの防寒ポイント!

 

12月に入りました。3000m級の山々は白くなり、身近な低山の登山道は落ち葉に埋まり、見上げる樹林の木々の間からは大きく青空を見ることができるでしょう。

霧氷は低山冬山の花形です。

冬山といっても雪山ばかりではありません。抜けるような青空と落ち葉に霜柱、染み出る岩肌の氷柱と霧氷に輝く光、12月ならではの山歩きを楽しむための防寒ポイントをご紹介します。

体の中で熱が失いやすい身体の部位四つをご紹介します。どこだと思いますか?

動脈が厚い脂肪に守られずに薄い皮膚の直下を通っているところです。

一つ目は頭部です。

大切な脳が収まり、たくさんの血液が集まる司令塔です。ニット帽は必須アイテムですね。 ⇒ こちら

 

二つ目は頭を支える首です。

太い血管や重要な神経が密集するところです。中間着やアウタージャケットでは覆いきれません。 ⇒ こちら

ネックゲイタ―も必須アイテムです。出かける場所、季節、標高、天候も様々、薄手でポケットに収まるものから 厚手・防風機能を付けたものも、複数タイプを持っておくことをおすすめします。

三つ目は手首から指先です。

脈を測れるところですね。手袋と袖口は必ずお互いに重なるよう隙間ができないようにしましょう。腕時計もアウトドアタイプだとウェアの上から装着できるので理にかなっています。時刻気圧高度などが素早く確認できるだけでなく、体温の影響を受けにくいので気温を確認もできますね。 ⇒ こちら

  • 必要なアイテム:薄手メリノウール手袋、作業性が良い中厚のフリースやウール混紡手袋、防風性がある生地を使った手袋、積雪と低温強風が想定される2000m以上の稜線を歩くなら、すでに紹介した手袋をレイヤード(重ねる)か、専用に設計された冬用手袋を使います。

 

  • 手袋選びのポイント:必ず自分の手に大きさとフィット感を確かめます。薄手のアンダーと中厚、防風タイプを重ねて使う想定なら、指への圧迫と動かしやすさが重要になります。指が締め付けられるようだと血流が阻害され余計に冷たくなり、厳冬期であれば「凍傷」の危険が増えます。寒さ対策を重視するなら、いちばん外側をミトンタイプにします。

四つ目は足首から足先です。

登山靴に覆われていますが、向う脛から靴を覆う「ロングゲイター(スパッツ)」は防寒にも大いに役立ちます。足を出し入れする部分を覆って靴の中の温かい空気を逃がさない効果と登山靴の甲から上部を覆う保温効果が期待できます。

本格的な雪の冬山にはいかない方も今ある登山靴に追加してみてはいかがでしょうか。 ⇒ こちら

追加の大事な点:

1:インソールを保温性の高いものと入れ替えることをおすすめします。私は疲れにくくなる効果が第一なのですが、フットベット(足の布団)は自分の足に合ったしっかりしたタイプに交換しています。 ⇒ こちら

https://www.kojitusanso.com/shop/c/c156/

2:靴下は穴がいていなくても消耗して薄くなり、クッション性が低下しています。最近、靴の中で足が動き過ぎるような気がしていたら新しいものに交換しましょう。保温性も向上しますよ。 ⇒ こちら

 

これらは登山にいつも持っていく小物を適切なタイミングで使うことによって熱の喪失を減らすことができ、登山そのものに集中でき、楽しむことができるのです。

いま、好日山荘では「一頭三首温め」キャンペーン中です。

 

登山者として知っておきたい!

  • 大事な私たちの体について

北八ヶ岳ロープウェイ山上付近にて

私たち人間は周囲の気温に関わらず一定の体温を保とうとします。身体は暖かく重要な臓器が詰まった中心部を筋肉や脂肪や皮膚で覆うという構造になっています。頭蓋骨に覆われた頭脳や、胸と腹部の生命維持に不可欠な器官のことです。皮膚、脂肪、筋肉など実質的に外側の世界との緩衝地帯の役を果たし、急激な温度の変化から体内の器官を守っています。

  • ブルブルと震えがくるのは、発生させる熱より失われる熱のほうが多いことを体が教えようとしているともいえるのです。ブルブルと震えるためには体内エネルギーが必要なのです。

  •  ⇒ この段階で乾いた服に着替える、防寒衣料を身に付ける、風を防ぐ、温かく糖質(甘い)に富む飲み物を摂る、などの対策をとるようにしましょう。

  • 「後でするので(今は)大丈夫です!」はゼッタイだめ!です。

 

登山者として知っておきたい!

  • 低体温症について

鳥肌が立ち、ブルブルと震えがしたら、身体の熱収支でいうと赤字状態なのです。熱(体温)を体内の重要器官に集中するように命令がだされます。すると熱の供給が低下した手足からこわばり始めます。

更に放置、対策をとらないでいると糖質は産熱(筋肉の活動で発生)に費やされ、次第に脳などの重要器官の温度が下がり、血液温度も低下していきます。血液温度が下がるとヘモグロビンによって運ばれた酸素と二酸化炭素の入れ換えが低下していきます。脳が必要とする酸素を細り、脳組織は糖も奪われ頭脳の働きが低下し理性的でない行動をとるようになります。

低体温症が恐ろしいのは意志の力を弱め、本人はそれほど気がつかないことです。低体温症になると不安も感じなくなり、死にかけているのに自らの意志で対策をとることが不可能になることなのです。

山での低体温症は手遅れになりがちです。必要な装備を持っていること、必要なタイミングを知り、面倒がらずに予防的に行動をとることが大切です。

⇒ 小さなことからでも、経験を積むこと、良い経験者と一緒に異次元の未体験ゾーンに踏み出すことをおすすめします。

好日山荘登山学校は ⇒ こちら

 

 

この記事を書いたのは「ガイド 加藤智二」

ガイド 加藤智二

公益社団法人日本山岳ガイド協会 認定山岳ガイド
日本プロガイド協会
日本山岳レスキュー協会所属
国立登山研修所講師

1960年生まれ。高校では小学校から続けるサッカーに没頭、キャプテンを務めました。
住み込みで新聞配達をしながら専門学校に通い、一人で山を始めました。卒業後、社会人山岳会に入り沢登り、岩登り、冬山など本格的に登山を開始、84年にネパールを皮切りにパキスタン、中国へ海外登山を行いました。
冬山登山や岩登りも行いますが、植物・地質など自然全般が大好きで、写真撮影も得意としています。
広範囲な登山を目指すことをモットーとしています。
現在は国立登山研修所講師や公益社団法人日本山岳ガイド協会などの事業への協力を行っています。

≪主な海外山行≫
■パキスタン ガッシャーブルムⅡ(8035m)
■中国 チョーオユー(8201m)
■日本・中国・ネパール三国合同チョモランマ・サガルマータ(8848m)

≪関連ホームページ・ブログ≫
■好日山荘登山学校校長のご挨拶

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