高野ガイド いつかは挑戦したい!海外トレッキング連載企画 第3回

 

皆さんこんにちは。好日山荘・池袋西口店の高野です。
海外トレッキング連載企画第3回。「マナスルサーキット」トレッキング後編 3部作 完結編となります。

マナスルを中心にその周りを一周する約2週間のトレッキングルート「マナスルサーキット」での情報をお伝えしていきます!

>>>>第1回 準備編はコチラ
>>>>第2回「マナスルサーキット」トレッキング前編はコチラ

第3回 「マナスルサーキット」トレッキング 後編

  1. 行動記録 後編 5/11 ~ 5/20
  2. トレッキングを終えて

 

1 行動記録 後編 5/11 ~ 5/20

5/11  晴れ→曇り  サマ(10:00) 〜 サムド(13:15)

後追いで到着したトレッキング隊5名も加わり、いよいよトレッキング後半戦スタートです。サムドを目指し再び出発します。出発前には長期間お世話になったロッジの方々と記念写真。本当に良くして頂きました。

全員で記念撮影。 サマからは平坦で広々とした気持ちのいい道が続く。
左手にマナスルを見ながらゆっくりと標高を上げていきます。

道は次第に川に近づき狭くなり、サムド近くで再び広くなります。サムド手前では、大規模な雪崩があったようで大きなデブリ地帯がありました。

トレッキングルートに突然現れるデブリ。かなりの規模でした。

デブリ地帯を横切り、一度河原に下りて橋を渡ると、九十九折りの急登となり、坂を一段登るとすぐにサムドに到着。

石作りの民家。

前回来た時よりも村全体が立派になっている。道中には電柱を立てるため、多くの人が所々で穴を掘っていた。サムドは丘の上の村で風が抜けて一段と寒さを感じるようになりました。

サムドのホテル。日が陰ると日中もダウンが手放せません。
おとなしくて可愛かった家畜のヤク。

 

5/12  晴 サムド(8:00)〜ダラムサラ(11:20)

雲ひとつない快晴。朝もそれほど冷え込んでいなく、とても暖かい。風が抜ける場所だけ、肌寒いがフリースを着るまでもないくらいでした。皆、体調も良く見渡す限りに広がる高峰に感嘆しながらゆっくりと歩きます。道はゆっくりとした登りでとても歩きやすかったです。

左手にマナスル。ヒマラヤの高峰が一段と間近に感じられます。

4200mを過ぎるとマナスルのプラトーが見え始め、4300mのマナスルビューポイントでは、山頂とピナクルがよく見えました。記念撮影をして、尾根に隠れていくマナスルを惜しみながら歩みを進めていきます。

ダラムサラ遠景。ダラムサラから先はどうやら雪が残っているようです。

沢筋を何度か通過するとダラムサラに到着。前回とは比べものならないくらい立派な小屋が建っていましたが、これまでの村と比べると簡素なつくりで、生活感は感じられませんでした。ダラムサラはあくまでトレッカーのための村といった感じです。

部屋はプレハブのような作りで3畳ほどの空間に布団が敷き詰められており、寝るだけ。気密性が高くあたたかい。

お茶を飲み、ストレッチをして、なるべく寝ないように努めた。到着してすぐに睡眠をとると呼吸が浅くなるため、高度順応していない場合は避けたほうが賢明です。明日はいよいよラルキャ・ラ越え。幸いにも天気は良さそう。

高峰に囲まれたダラムサラ。

 

5/13  快晴  ダラムサラ(4:30) 〜 ラルキャ・ラ(9:00) ~ 4400m(11:30) ~ ビムタム(14:00)

今日は長時間行動のため3時半に起床し、朝早く出発。朝食はヌードルスープのはずが手違いで麵が入っていませんでした。風が強く寒いため、雨具や手袋をつけて歩きます。

しばらくは浅い谷間の地形を歩きます。

標高が高いため、ゆっくり歩いてもすぐに息が上がってします。4800mを越えると雪原となり雪の上を歩くようになりました。トレースの上はよくしまっており、スリップに注意しながら歩を進めます。

左手奥がラルキャ・ラ。吹雪いたら道を見失いそうです。

4850mを過ぎるとほとんど平坦な道となり、水平移動が増える。気がつくと5000mを越えており、左手の沢に向かっていくとラルキャ・ラに到着。

絶景のトレッキングルート。天候に恵まれました。
ラルキャ・ラ(5106m)
看板とタルチョが立っており、20名ほどのトレッカーがいました。

ラルキャ・ラからの下りはトレースが固く締まっており斜度もあるので、軽アイゼンがあったほうが良いでしょう。秋に来たときは雪はありませんでした。

ラルキャ・ラからの下りはスリップ注意。

4700mまで下ると、土の道となったのでアイゼンを外す。4400mのティーハウスで昼食を頂きました。以前は石の小屋しかなかったのに、立派なロッジが2軒立っていて、宿泊もできるようになっていました。

モレーン脇の登山道を快適に進みます。

右手には大きな氷河があり、そこからは次第に灌木が出てきて、歩きやすい。2時間ほどでビムタンに到着。

広い草原にあるビムタン。奥に見えるのはヒムルンヒマール。

ロッジは綺麗で暖炉もあり最高。Wi-Fiは入りませんでした。ロケーションはマナスルサーキットナンバーワンでしょう。

左はマナスル。右はツラギ。

 

5/14  快晴 ビムタン(8:00) 〜 ソルキ・コーラ(12:00) 〜 ゴワ(15:10)
マナスル西面。

昨夜は標高が下がったこともあり皆ぐっすり眠ることができました。ビムタンからしばらくはサイドモレーンの上のトレッキングルートを歩きます。マナスル、ツラギ、ヒムルンヒマールなど素晴らしい山々が聳え立っており、どこを撮っても素晴らしい撮影スポット。ついつい足を止めて山々を眺めてしまいます。

絶景。ラルキャ・ラを無事越えられて、プレッシャーからも解放されました。

一度、氷河の川を対岸に渡ると、一気に樹林帯の道となり、石楠花が咲き、苔の生えた美しい森景色となります。

シャクナゲの赤い花が綺麗でした。

樹林帯に入ってもしばらくはマナスルが見えましたが、九十九折りの急斜面を下ると谷間になり、ついにマナスルは見えなくなりました。標高が下がり、川底に近づくに連れて気温が高くなり、山から下りてきていることを実感できます。ソティ・コーラの村につき、昼食を食べます。小さいながら芝生の生えた中庭がある綺麗なロッジがある村でした。一度河原のような砂の道となり、尾根を一度越えるとひたすら下り。途中でインターネットのケーブルをはっている作業員にも遭遇した。ビムタンまで行くのだろうか。

放し飼いのヤギに遭遇。標高が下がってきたことを実感します。

谷の向こうに目的地であるゴワの村が見えると、道が車道のように広くなり、車が通れるように蛇籠を設置する工事を行っていました。ここまで車が入って来れるようになるのも時間の問題でしょう。

絶賛工事中。インフラ整備が進んでいます。

ゴアは開けた広い大地にある村で、リンゴや野菜などの畑が広がっていました。本格的なトレッキングは実質今日で終了。無事に踏破できたことを祝って、いただいたお酒で祝杯を挙げました。緊張から解放されて最高のひと時です。ここ数日は信じられないくらい好天に恵まれました。

ゴアのロッジでくつろぐ。

 

日本から持参したお酒で乾杯しました。

 

5/15  晴  ゴワ(6:20) 〜 テルチェ(7:15) 〜 ダラパニ(8:05) 〜 ベシサハール(11:00) 〜 カトマンズ(18:00)

朝は雲が少し出ていましたが、今日も晴れ。テルチェまではダートの車道ができておりすこぶる快適な道でした。皆最後のトレッキングを楽しみながら、笑いながらどんどん歩く。

広い車道はテリチェまで続いていました。
テリチェ。 村人も多くなり、生活感が感じられる。

テリチェまでジープが迎えに来てくれるとのことでしたが、遅れているようで、ジープに出会うまでさらに歩く。テルチェから15分ほど歩くとジープと合流。ジープ一台に乗り込む。アンナプルナサーキットとの分岐点であるダラパニで、車を乗り変え、2台の小型ジープに分散して乗り込み、悪路を進みます。秋のシーズンに来たときは土砂崩れでダラパニまで車が入れませんでした。

ジープは狭いうえに、揺れも激しい。歩くよりも疲れるかもしれません。

ベシサハールまでは後部座席に4人、アトラクションのように飛び跳ねるジープ。地獄でした。ベシサハールに着くとカトマンズと見間違えるくらいの活気のある町でした。

ベシサハール。NCLLの電波がようやく入りました。

ポーター達と別れ、ジープからハイエースに乗り替え。クーラーがきいていて最高。15時頃土砂崩れのための片側交互通行で1時間つかまる。どこからともなく売り子が出てきて停車中の車に水やフルーツを売りにやってきました。

ハードな移動で疲れます。

 

その後はスムーズにカトマンズに到着し、久しぶりの日本食と日本酒で打ち上げを行いました。ネパールの日本食のクオリティはなかなか高かったです。タメルの「なごみ」おすすめです。

夜のカトマンズ

 

5/16 ~ 5/20

登山隊は装備の整理や観光省への報告を終え、数日間カトマンズを観光して帰国しました。

私は細菌性胃腸炎にかかり2日間ベッドから動けませんでした。原因はチーズかティラミスか?皆さんもくれぐれもお気をつけて。

カトマンズの仏教寺院、スワヤンブナート

2 トレッキングを終えて

ありきたりな言葉になってしまいますが、海外の山に登る回数が増していくたびに日本の山が好きになります。帰国してから久しぶりに訪れた尾瀬は感動的な美しさでした。海外関係なく私が年を取っただけなのかもしれませんが。時折出会う日本の山の美しさに気づくことが増えたように思います。登山が好きな方は、総じて旅行も好きな方が多いと思います。一歩踏み出して海外のトレッキングに行ってみてはどうでしょうか。きっとさらに山が好きになることができると思います。

国内外問わず、トレッキングや登山の準備についてのご相談はいつでもおこなっております。是非お近くの店舗へお立ち寄りください。

 

高野 優(たかの すぐる)

高野 優(たかの すぐる)

公益社団法人日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドステージⅠ ・ 東京山岳ガイド協会所属

大学山岳部で本格的に登山を始める。在学中、中国の7000m峰に挑戦。フェリー、鉄道、バスを乗り継ぎ陸路でアプローチ。登山だけではなく旅も好き。登山ジャンルの中では沢登りとクライミングを好む。

<主な登山歴>

ネパール マナスル東稜(8163m)

中国 コングールチュビエ(7530m)

中国 ムスターグアタ(7546m)

アメリカ ヨセミテ エルキャピタン ザ・ノーズ/フリーライダー

アメリカ ハイシエラ インクレディブルハルク