【夏山 沢登り】 ガイドに学ぶ、失敗しない夏山のすすめ  ~島田ガイド~

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夏の山には、楽しみが沢山!
紺碧の空に届きそうな3000m級の山々も、
歩くだけで大汗が出る里山も、
山の中の沢に飛び込むのも、
山小屋に宿泊して登山者同士で交流を深めるのも、
テントを背負って自然を肌で感じるのも、
それぞれに違った楽しみがあります。

そんな夏山、ここでは特に沢登りについて、
楽しみや失敗しないポイントを島田ガイドに聞いてみました。
(この記事は2016年夏の記事を再編集しています)


Q1.沢登りの魅力や楽しみ方と言えば?

A.「最も冒険的な山の楽しみ方!」「圧倒的な自然の景観!」「緊張と弛緩のハーモニー!」


沢の中を歩けば自然がとても身近に感じられるのですが、特に水の圧力が楽しめます。
膝下の水量でも水の動きが速ければなかなかどうして進まない。
腰まで浸かれば足元も見えず手のような感覚で足先をゴソゴソ探る。泳げばその水の冷たさを感じ流れの強さに圧倒される。
踏み跡も道標も基本的にはなく野性的にルートを探すのもおもしろい。
自然に圧倒されながらドキドキワクワクするのが沢登りの魅力ですね。
沢登りと一言でいってパターンはそれぞれ。

ロープなしで歩きだけで遡行できる沢歩き。念のためロープで確保した方がよい箇所もある歩き中心の沢登り。
滑落すれば大けがするような滝登りやトラバース箇所があればロープワークは必須の登り中心の沢登り。
ほぼ泳ぎが中心の沢登りもあったりするんです。
ご自身の経験、知識、技術、体力に合わせて、しっかりとした経験者と行きたい所ですね。

Q2.沢登りでの失敗談はありますか?

A.その1=低体温症一歩手前!


滝の直登にこだわり、滝からのシャワーを浴び続けながらねばって登っていると、猛暑だけどそんなことは関係なく勝手に体が震えだし、動きは悪くなり、集中力も低下してきて、かなり焦ってハーケンを打って懸垂下降して脱出…。
それ以来、ちゃんとした沢ウェア(保温)と雨具上着(防水、保温)を着てトライするようになりました。

A.その2=ルートファインディングミスからの現在地不明


山登りでもそうですが、ルート中の重要なポイント(わかりやすい地形=沢の合流部、大滝、大岩、沢の方向の変化など)を見過ごし登りすぎて行きたい沢とは違う沢に入っておもしろくなかったり、難しかったり…。
それ以来、地形図、遡行図、時にはGPSで確実に重要なポイントを逃さないようになりました。

A.その3=虫達をあなどっていた


滝下でうごめくブヨの大群、河原でひなたぼっこ中の蛇、家に帰って洗濯物にひっついてるヒル。
水辺には色んな生物が集ってきている事を少々忘れがちで咬まれる、刺される、吸われる。
それ以来、蜂スプレー、蛭スプレー、虫除け、虫用塗り薬、泊まりのときは林業用蚊取り線香を持参しています。

Q3.あると便利な装備や注意点は?

A.沢に入る人には必ず薦めたい!虫除け系のスプレー類、防水アイテム


虫除け系のスプレー類を雨蓋に入れていてはすぐに使えないので細工をしてハーネスやザックのショルダーベルトにぶら下げておきたいですね。
あとはいざという時の為にポインズンリムーバーは必携です。
ザックはできれば完全防水バックがおすすめですが、時々しか行かないとなれば登山用でも大丈夫です。
しかし濡れて重たくなるのでパッドなどは薄いタイプがいいですね。
そして中身を絶対に濡らさないように(濡れれば使い物にならないとか、壊れるとか、水を吸い重たくなるとか)するために、完全防水になるインナーバックを使いたい所です。
注意したいポイントですが、しっかりと空気を抜いてインナーバックをまきまきして締める事ですね。
そうしないと、泳いだ時、滝でのシャワーをかぶっている時、川に飛び込んだ時など、水圧でインナーバック内の空気が圧迫され勝手に空いてしまうことがあったりすので要注意ですね。
せっかく入れていたのに、財布が!携帯が!なんてことにならないように。
ちなみにジップロックでは水圧で空いたりするので、ロックサックなどに収納しておきたいですね。

今回、夏山の楽しみや失敗しないポイントを教えてくれたのは「島田ガイド」

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島田 和昭(しまだかずあき)
島田ガイド事務所 代表
公益社団法人 日本山岳ガイド協会認定 山岳ガイドステージⅡ スキーガイドステージⅡ
自然ガイド
独立行政法人 国立登山研修所講師
日本山岳レスキュー協会 事務局長
同志社高校山岳部 体育会大学山岳部コーチ
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1973年生まれ。「年少の頃はサバイバルに興味を持ち、山や川へはまり込む。
都会育ちにしてみれば、自然そのもの全てが新鮮であった。自分の心や体があっという間に引き込まれ、その後一人で北アルプス一周テント登山やカナダへのホームステイ、山小屋勤務へと歩んでいった。自由な山であるがゆえに、自由をコントロールする事、また自然環境も人間社会も、清濁をあわせもつ かけがえのない存在だと気づき、昔から何となく決めていた
人と自然の間で仕事をする道のひとつとして、プロガイドになった。
現在は、大学生・高校生山岳部のリーダー養成、小中学生のアウトドア塾、20~80代の本格登山者のガイドなどを行っている。

≪主な登攀歴≫
■無雪期 :屏風岩、錫杖岩、剱八峰、丸山東壁、屋久島等登攀
■厳冬期 :鹿島槍、不帰、滝谷、明神南壁、八ヶ岳、大山等登攀
■海外 :ヨーロッパ登攀(モンブラン、ベルト、マッターホルン、ドロミテ等)

≪関連ホームページ・ブログ≫
島田ガイド事務所
島田ガイドブログ

 

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この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!