秋の涸沢カールは、日本最高とも言われる山岳紅葉です。
涸沢(涸沢カール)は北アルプス穂高連峰に囲まれた氷河圏谷です。
直径2kmの丸いお椀のような形状で、底の標高は2300m、3000m級の壁に囲まれ、最高点は日本第3位の標高3190m奥穂高岳です。
7月~8月の遅い時期まで雪渓が残り、夏は木々の緑と雪渓の白と空の青が楽しめます。
9月になりますと、カールの壁の上の方から色が変わりはじめ、9月下旬から10月上旬にはカール全景が赤に黄色に染まります。
鋭い岩峰の下に見事な紅葉の壁が出来上がり、山岳地帯最高の紅葉とも名高い風景です。
もともと夏に人気の高い地域でしたが、近年では秋の紅葉がとても有名になり、その景色を求めて大勢の登山者が集まるようになりました。
最盛期の週末では、涸沢にある2軒の山小屋も布団一枚に3人以上の宿泊者、テントも1200張を越えるようなこともあります。
秋の涸沢は、2300mを越える標高ゆえにかなり気温が下がります。
穂高の稜線の向こうに日が沈み、カールが暗くなると一気に寒くなります。
紅葉の時期は10℃を切り一桁前半、そのまま氷点下になる場合もあります。
寒気が流れ込むと、そのまま降雪することも。
ダウンやフリース、ネックゲイターなど、防寒対策はしっかりとしておいてください。
紅葉の時期(例年)
9月中旬から色づきはじめ、9月下旬~10月上旬ころに見頃を迎えます。
その後、紅葉が山を下り、麓の上高地まで紅葉がすすみます。
主な紅葉する樹木
ダケカンバ、ナナカマド など
涸沢カールのご紹介
■上高地をめぐり、涸沢へ
上高地→(180分)→横尾→(80分)→本谷橋→(100分)→涸沢
上高地から梓川を足元に、西穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳、明神岳の山々を見上げる。
日本一の山岳リゾートの風景ではないでしょうか。
上高地からほぼ水平に歩き続ける梓川沿いの道は、一時間ごとに休憩に適した小屋があります。
最初の一時間は明神池の川向にある明神館。次の一時間は徳沢園。
重いザックを背負って二時間も歩いてくる頃には、疲れも出てくることでしょう。
ここでオススメなのが、綺麗で重厚感のある山小屋、徳沢園のみちくさ食堂です。
ひえひえのソフトクリームはいかが?
お食事メニューも豊富ですよ。
徳沢園
・宿泊 可
・テント場 あり 幕営代 \1,400(平らで広大な芝生のサイトです)
・食堂 7時〜19時半営業(食事は14時ラストオーダー)
・トイレ あり
横尾までは梓川沿いのアップダウンの少ない森の道を歩いていきます。
横尾山荘の目の前にかかる橋を越えると、いよいよ本格的な山道になっていきます。
(ここで橋を渡らずに北上を続けると槍ヶ岳へと繋がります)
・開設時期 4月27日~11月初旬
・宿泊 可(1泊2食13,000円)・テント場 あり 2,000円/1人・浴場 あり。宿泊者専用の「悠湯館」というお風呂(毎日午後4時頃~午後8時頃の利用ができます)
・食堂 10時ごろ~14時ごろまで営業
・水場 あり(館外はチップ制)
・トイレ あり(館外はチップ制)
横尾から本谷、本谷から涸沢へ。
登山道も赤に黄に。色づいた木々のトンネルをくぐっていきます。
山の斜面に石畳の階段や木の根などが続きます。崩れやすい急斜面の箇所もあります。
本谷橋から先は急に傾斜が急になるため、体力の無い方は疲れが出始めます。
多くの人が登山道を通るため、安全で広いところで休憩するようにしてください。
涸沢カール到着です!
ここまでの苦労を労うかのように、紅葉の山肌が視界一杯に広がっています。
左の岩壁を見ると、涸沢小屋と北穂高岳が見えます。
まるで紅葉の一部になってしまったかのような涸沢小屋。
なんだかメルヘンで素敵ですよね!
そして多くの大人が楽しみにしているのがコレ!
涸沢ヒュッテ名物、おでん&生ビール。
涸沢ヒュッテのテラスでビールを飲みながら、のんびり涸沢カールの紅葉を眺める。
素晴らしい~最高~♪ヽ(*´∀`)ノс□
そしてこの時期のもう一つの名物がコレ。
涸沢カールの大テント村。
あまりに沢山のテントが張られるため、テント場も無くなり、最後の方の方は手前の崖の下の方へ。
斜めのところでテント設営はたいへんですね~。
涸沢ヒュッテ
・宿泊 可(1泊2食13,000円、1泊夕食のみ11,500円、1泊朝食のみ10,500円、素泊まり9,000円 )
・テント 可(1人1泊2,000円)
・飲料水 あり
・売店 6時~17時
・トイレ あり(100円)
※ご注意 完全予約制です。
涸沢小屋
・宿泊 可(一泊二食13,00円、素泊まり9,000円。繁忙期は+2,000円)
・売店 軽食、各種お土産
・トイレ あり(100円 チップ制)
※ご注意 事前の予約をおすすめします。
別ルートのご紹介
■涸沢を基点に、3000m穂高を巡る
涸沢→(100分)→北穂南稜取付→(80分)→北穂高岳(北穂高小屋)→(55分)→涸沢のコル→(75分)→涸沢岳→(20分)→穂高岳山荘→(50分)→奥穂高岳→(40分)→穂高岳山荘→(90分 ザイテングラード)→涸沢
※注意
このルートは、急峻な岩場が続くルートです。
北穂高岳への登り、北穂高岳から涸沢岳への稜線、穂高岳山荘から奥穂高岳への大岩壁の登りなど、多数の危険個所があります。
岩場経験の少ない方、体力に自信のない方は、涸沢カールから穂高岳山荘への登りだけにしてもよいでしょう。
穂高岳山荘からの景色も大変素晴らしい。
早朝から起き出して北穂高を目指します。
一気に高度を上げる岩場が続きます。
滑りやすい岩の斜面を鎖を使って登るような場面もあります。
北穂高岳頂上です。
大キレット、槍ヶ岳、奥穂高岳など、360度見渡せます!
北穂高小屋が頂上の直下にあり、頂上から階段を降りたらすぐです。
小屋のテラスでのんびり食事をしながら、秋の穂高を堪能するのもオススメです!
北穂高小屋
・宿泊 可(1泊2食13,000円、1泊夕食のみ11,500円、素泊まり9,000円 )
・テント 可(1人1泊2,000円、20張まで)
*ご注意 予約制です
北穂高岳から涸沢槍、涸沢岳を越えていきます。
ここは難所の連続する岩稜帯です。
北穂高岳までの登りで体力に問題がありそうな方や、天候の悪い場合は、そのまま下山されるものよいでしょう。
涸沢岳から下り、穂高岳山荘へ。
目の前には白出沢の垂直の大岩壁が待ち構えています。
ハシゴと岩場をたどり、奥穂高岳の稜線へ登っていきます。
ここでは落石を落としがちなので、足運びに注意してください。
穂高岳山荘
・宿泊 可(1泊2食13,000円 、1泊夕食のみ11,800円、素泊まり8,800円 )
・テント 可(1人1泊2,000円)
・食堂 10時半~14時半(喫茶は19時半まで)
・トイレ あり(宿泊・テント泊は無料)
稜線に出ると、あとは景色を眺めながら頂上を目指すだけ!
日本標高第3位 奥穂高岳へ登頂です!
穂高岳の中心に位置する奥穂高岳から、北に北穂高岳、南東に前穂高岳、南西に西穂高岳もバッチリ。
槍ヶ岳も、常念岳も、笠ヶ岳も、北アルプスのあの山もこの山も。
北アルプス最高峰から素晴らしい景色があなたのものに!
下りは穂高岳山荘前からザイテングラードを下ります。
背骨のように出っ張った岩の道を下っていくと、朝出発した涸沢カールへ戻っていきます。
涸沢カール(上高地)へのアクセス
■交通機関を利用する
【松本方面から】
JR松本駅から松本電鉄上高地線に乗り換え、新島々駅下車。
アルピコ交通バス上高地行きに乗り、終点、上高地バスターミナルまでご乗車ください。
詳しくは”アルピコ交通 上高地行”をご確認下さい。
【高山方面から】
JR高山駅下車。
高山濃飛バスセンターから、平湯・新穂高線バスで平湯温泉へ。
平湯温泉で上高地行に乗り換え、終点、上高地バスターミナルまでご乗車ください。
詳しくは”濃飛バス”をご確認下さい。
■お車を利用する
【松本方面から】
中央自動車道 松本ICを降り、国道158号線を西へ走る。
沢渡駐車場利用、アルピコ交通バス上高地行きに乗り、終点の上高地バスターミナルまでご乗車ください。
【高山方面から】
東海北陸自動車道 飛騨清美ICを降り、国道158号線を東へ走る。
あかんだな駐車場利用、濃飛バス上高地行に乗り換え、終点の上高地バスターミナルまでご乗車ください。
参考になる登山レポート
入山日:2020年10月5日~6日
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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