覚えておきたい天気図のパターン①~西高東低型~

Q. 天気図のパターンを覚えるメリットは?

A. 日本の地域ごとに現れやすい天気の分布が分かります!

天気図には季節によって出現しやすい型(パターン)があり、そのパターンによって日本の地域ごとに出現しやすい天気も変わってきます。特徴的な天気図型を覚えておくと、天気が良くなりそうな地域の見当をつけることができます。

西高東低型の天気図の特徴

西高東低型の天気図は冬の天気図の中でも代表的なもので、冬型の気圧配置とも言われています。

西高東低型の天気図では西に高気圧、東に低気圧が存在しているのが特徴です。

日本付近では等圧線が南北に伸びていて、北~北西の風が吹きやすい状態になります。

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西高東低型の天気図 2016年12月28日9時(気象庁ホームページより)

 

天気分布の特徴

西高東低型の場合、日本付近は北~北西の風が吹きやすくなります。この風によって大陸の冷たく乾燥した空気が日本へと運ばれてきます。この空気が暖かい日本海上を通過する際に、海面との温度差と海から供給される水蒸気によって雲が発生・成長し、日本海側の地域に雪や雨を降らせます。しかし、脊梁山脈を越えることができないため、太平洋側の地域では晴天となります。そのため、西高東低型の天気図の場合、脊梁山脈を境にして日本海側と太平洋側では天気が異なります。

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日本海での雲発生の概念図

 

日本海側

どんよりとした空が広がり、雪や雨の天気が多くなります。特に山岳では北~北西の風が上昇気流となって雲を発達させるので、雪や雨が断続的に降り続きます。

太平洋側

冷たい北風が吹いて晴れる日が多いです。日本海側の雲のなごりが綿雲となって青空に浮かんでいることが多いです。山地でも晴れることが多いですが、冷たい風が吹いているので防寒対策は必須です。

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2016年12月28日9時の可視画像(気象庁ホームページより)

日本海側と太平洋側で雲の広がり方が違うのが分かります。

この天気図型のココに注意!

等圧線の混み具合

等圧線の間隔は風の強さに影響します。等圧線の間隔が狭い場所では風は強く、間隔が広い場所では風は弱くなっています。

西高東低型の天気図で日本付近の等圧線が混んでいるとき(つまり、等圧線の間隔が狭いとき)、強い北~北西の風が吹きます。山岳ではこの強い風によって暴風になることに加えて、日本海の雲が次々と運ばれてきて降雪が続くため、日本海側の山岳を中心に暴風雪の荒れた天気となります。

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西高東低型の天気図(気象庁「日々の天気図」より抜粋)

同じ西高東低型でも等圧線の間隔が異なっています。輪島の上空約3000mではそれぞれ8m/s(左)、16m/s(右)の風が吹いていました。

上空の寒気の強さ

同じような西高東低型の天気図であっても、上空の寒気によって山の天気の様相が変わります。上空に強い寒気が入っている場合には、晴天になりやすい太平洋側の山でも暴風雪の荒れた天気になります。

この強い寒気は上空約5400mの気温が-30℃以下の空気が目安です。しかし、上空の様子はTVや新聞に載っている天気図では分かりませんので、天気予報での解説や高層天気図を活用しましょう。

冬の天気予報の解説では-30℃以下の寒気は”強い寒気”というキーワードで表現されることが多いです。この”強い寒気”が日本列島に流れ込むと解説されるときには、日本海側はもちろん太平洋側の山でも荒れた天気となることが考えられます。

また、高層天気図を利用する場合には、500hPa面天気図の-30℃の等温線で上空の寒気の様子を判断すると良いでしょう。-30℃の等温線の南下が大きいほど、日本の広い範囲で荒れた天気になります。また、この等温線の南下の幅が広いほど、荒れた天候は長続きすることが予想されます。

-30℃等温線

-30℃等温線の概念図

-30℃等温線が日本列島へと垂れ下がっていると荒れた天候に注意。①より②の方が垂れ下がりの幅が広いので荒天が長続きしやすい。

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強い寒気が南下したときの蓼科山

終日雪が降っていて、2,000m付近では腰の深さのラッセルとなりました。

まとめ

○西高東低型の天気図は西に高気圧、東に低気圧がある状態。

○北~北西の風が吹きやすく、日本海側では雪や雨、太平洋側では晴れとなりやすい。

○等圧線の間隔が狭いとき、上空に強い寒気が入っているときには荒れた天気に注意。