飛騨山脈の後立山連峰にある標高2696mの山。
山頂から東に八方尾根が延びており、この尾根が残雪期では登りやすいルートです。
唐松岳の南北には東西から浸食され切れ落ちた急峻な稜線があり、北に不帰ノ嶮という鋭く尖った山様の難所、南に牛首への切れ立った稜線の難所が容易な入山を拒んでいます。
しかしながらそれらを八方尾根から眺めた姿は白くとても美しく、ある種女性的なたおやかさを感じさせてくれるかもしれません。
頂上からは後立山連峰、立山・剱岳、北アルプスの真っ白な峰々を眺めることが出来ます。
麓から2000m手前まで楽に入ることができ、なだらかな尾根を持つ、初心者でも比較的登りやすい珍しい高山です。
ここでは、八方池山荘から八方尾根を登り、唐松岳を目指す雪山初心者でも危険の少ないルートをご紹介します。
■唐松岳はどんなところ?
■唐松岳周辺の他のルートについて
・唐松岳~五竜山荘ルート
・五竜山荘から五竜岳ルート
・遠見尾根ルート
■唐松岳登山口へのアクセス
■唐松岳周辺のたのしみ
■参考になる登山レポート
■春山で持っておきたいアイテム
唐松岳はどんなところ?
白馬八方尾根スキー場の麓からゴンドラやリフトを使って一気に1850mの高さまで上がることができます。
(時期によっては、ゴンドラが稼働していない場合があります。事前に稼働状況をお調べください。
白馬八方尾根スキー場(http://www.happo-one.jp))
リフトを降りた目の前に村営八方池山荘があり、ここを起点として唐松岳を目指します。
融雪状況によっては八方池山荘の目の前から雪面が始まり、八方尾根上全域に雪が残っていることもあります。
八方尾根上は大きな起伏も少なく、八方池山荘からじょじょに高度を上げながら尾根を忠実にトレースしていきます。
2300m付近から唐松岳頂上山荘の間に数か所少々切れ落ちたポイントがありますが、注意して歩けばそれほど危険性は高くありません。
村営 八方池山荘
ゴンドラ、リフトを乗り継ぎ、降りた目の前にあります。
八方尾根から唐松岳へ向かう登山者、バックカントリースキーヤーのベース基地ですね。
八方尾根と言えば、沢山のケルンで有名です。
もともと幅の広い尾根で、霧や吹雪が発生すると自分がどこにいるのかわからなくなってしまいます。
そんなときに安全に下山するためのケルンです。
GW頃は、バックカントリースキーヤーもボーダーも沢山!
お互い事故のないように楽しみたいですね!
白馬方面の稜線。
白い峰々が延々と続いています。
八方尾根上から見える不帰ノ嶮(かえらずのけん)。
怖い名前のキレットで、白馬方面へ向かう唐松岳からの急な落ち込み部分です。
夏場は鎖場のある急峻な岩場で登ったり下りたりの繰り返しが続きます。
雪のある時は危険性が高く、一部の冬山経験者以外は入山をおすすめしません。
南に並走している遠見尾根から見た八方尾根。
なだらかな尾根が続いていることが分かります。
凍りついた唐松岳頂上山荘。例年、ゴールデンウィーク中のご利用が可能です。
(ゴールデンウィーク明け~6月中旬にかけては休業ですのでご注意ください。冬期小屋もありません。
詳しくは唐松岳頂上山荘へご確認ください。)
八方尾根をだんだんと高度を上げていくとやがて、唐松岳頂上すぐ近くにある山荘へ到着します。
年によっては、半分小屋も埋まっていることもあります。
風雪で凍りついています。
唐松岳頂上山荘から唐松岳へ向かう登山者の列。
GWのころは、たくさんの登山者が頂上を目指して列を作りますね。
唐松岳頂上。
360度ダイナミックな雪の風景を眺められます。
晴れていれば、南北に続く後立山連峰の山々、立山連峰、剱岳、北アルプスの穂高や槍ヶ岳など、遠く広く見渡せます。
【登山コース】
八方池山荘→(80分)→八方池→(120分)→丸山ケルン→(70分)→唐松岳頂上山荘上→(30分)→唐松岳→(20分)→唐松岳頂上山荘→(160分)→八方池山荘
唐松岳周辺の他のルートについて
唐松岳へ至るルートよりも難易度の上がる周辺のルートをご紹介します。
■唐松岳~五竜山荘ルート
唐松岳と五竜岳を結ぶ大黒岳・白岳稜線ルート。
夏の時期には唐松岳頂上山荘付近、大黒岳周辺に鎖場があります。
残雪期の融雪状況によっては鎖が出ている場合がありますが、出ていない場合は危険性が上がります。
急斜面、切れ落ちた稜線からの滑落に注意してください。
唐松岳頂上山荘を南へ出てすぐの牛首の岩場。
夏場は鎖をたよりにすすめますが、雪のある時は埋まっている事があります。
その場合は危険性がかなり増しますので、ご注意ください。
牛首から五竜方面を見た風景。
大黒岳から白岳を縦走し、五竜山荘へ至ります。
残雪の五竜山荘。
小屋も大半が雪に埋まっています。貴重な営業小屋ですね。
■五竜山荘から五竜岳ルート
五竜山荘前から登りが始まり、五竜山の稜線手前には切れ落ちた絶壁の雪面を登る部分があります。
年によって大きな雪庇などが残り、難易度が大きく変わります。
滑落、雪崩、雪庇崩落の危険性がありますので、ガイド登山、雪山経験豊富な方以外は入山を控えた方が良いでしょう。
五竜山荘の朝の目覚め。小屋の目の前の稜線上を上がっていきます。
(五竜岳は写真右上あたりです)
稜線上は急な雪面登降があり、危険性が高いです。ロープを出した方が良い場合もあります。
(写真中央から左上のところに小さく五竜山荘。高度感がわかりますでしょうか。)
頂上までの稜線は平らに近く、白銀の天空世界を楽しめます。
八峰キレット(写真 中央から左下の稜線部)を越えた先
双耳峰 鹿島槍ヶ岳(写真中央の2つのピーク)。
素晴らしい雪の景色です。是非、経験を積んで、目にしていただきたい景色ですね!
■遠見尾根ルート
厳冬期に五竜山へ直接登るルートで、残雪期も歩きやすいルートです。
かなり距離がありますので、時間・雪の状況によっては遠見尾根上で一泊必要になる場合があります。
白岳手前に巨大な斜面があり、雪崩や滑落の危険性があります。
正面に立つ五竜岳。
遠見尾根を歩いている間、正面に五竜岳が見えます。
平に近い尾根で危険は少ないものの、長めのルートです。
GWのハイシーズンでは尾根上いたるところにテントが張られています。
唐松岳登山口へのアクセス
■交通機関をご利用の方
大糸線 白馬駅下車 バスで白馬八方バスターミナルへ。そこから徒歩10分。
■車をご利用の方
長野自動車道 松本ICから国道158号を東へ進み、渚一丁目交差点を北へ。国道19号を北上、平瀬口から国道147号線・148号線を北上。白馬駅前交差点から西へ、スキー場街の中の道を山に向かって川沿いを進むと至る。
唐松岳周辺のたのしみ
■白馬八方温泉
北アルプスの白馬槍ヶ岳直下、南俣川右岸に泉源があり、五か所の日帰り入浴施設、約75軒の宿泊施設、3か所の足湯があります。
八方スキー場周辺に歩ける距離から車の距離までお好きな温泉を選ぶことが出来ます。
参考になる登山レポート
残雪期 唐松岳~五竜岳縦走
入山日: 2013年05月03日 (金)~2013年05月05日 (日)
絶景の残雪期唐松岳 ときどき強風
入山日: 2015年04月18日 (土)
春山で持っておきたいアイテム
スワンズ エアレスウェイブ
春の雪山は天気も良いことが多く、空からの紫外線と雪で反射した紫外線を長時間浴びてしまうと雪目となってしまうリスクも。
サングラスをかけてしっかりとUV対策をしてくださいね!
パックタオル パーソナル
雪の上でも、晴れると暑いのが残雪の山です。
しかし一旦日が陰ってしまうと、雪で冷やされた冷たい風が吹き抜けます。
汗はこまめに拭いておきましょう。このタオルなら吸水性も高く、すぐ乾きます。
ナルゲンボトル 広口 1.0L Tritan スプリンググリーン
アウトドアマンには有名なナルゲンボトルですが、お湯を入れて湯たんぽにもできることをご存じですか?
春の雪上テント泊では、昼間の暖気が夜中にはなくなって寒くなります。
湯たんぽナルゲンボトルを活用しましょう!
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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