日本人のみならず、海外からも登山者が来訪する富士山。
登山者の数は、2016年で約24.8万人にも及びます。
(※2016年7月1日~9月10日 富士8合目での調査)
その人数は東京都の1つの区(港区)の人口にも匹敵します。
富士山はたった二か月の間に登山者が集中します。
どのように登るのが良いか、今回は富士登山の計画を立ててみましょう。
【第2回 富士登山の計画】
・富士山頂をどこから目指すか ~登山口の違い~
・富士登山のスケジュール
・登山口までのアプローチ マイカー規制・一生に一度はやっぱり登りたい!日本一の富士山へ! ~第2回 富士登山の計画~まとめ
富士山頂をどこから目指すか ~登山口の違い~
富士山には4つのルートがあります。
それぞれが富士山の五合目ですが、標高も異なります。
また、アプローチするための交通事情も異なります。
【1】山梨県側
・吉田ルート(吉田口 富士スバルライン5合目):標高約2300m
【2】静岡県側
・須走ルート(須走口五合目):標高約2000m
・富士宮ルート(富士宮口五合目):標高約2400m
・御殿場ルート(御殿場口新五合目):標高約約1400m
吉田口ルート(富士スバルライン五合目)
吉田ルートは、富士スバルライン五合目がスタート地点。
山梨県側の富士山の北側から山頂を目指すルートです。
標高は約2300m。頂上までは標高差が約1400mの登山となります。
富士スバルライン五合目はレストハウスや土産物屋、駐車場などが充実しています。
交通アクセスもよく、電車・バスを使ったアクセスも可能です。
富士登山者の半数以上が吉田口からのルートを利用しています。
登山道上に山小屋も多く、体力に合わせた山小屋選びもできます。
富士宮口ルート
富士宮ルートは昔から表口として利用されており、
静岡県側の富士山南側から山頂を目指すルートです。
交通機関で一番標高を稼ぐことが出来るので、山頂までの距離も短い。
標高が約2400mで、頂上までの標高差が約1300m。
そのため、吉田ルートに次いで登山者の数も多めです。
全体的に傾斜が急で、砂地が少なく、やや岩場があります。
須走口ルート
須走ルートは五合目を出発し、静岡県側の富士山東側から山頂を目指すルートです。
標高は約2000m。頂上までは標高差が約1700mの登山となります。
標高の高い位置まで樹林帯が広がり、強い日差しを避けることが出来ます。
また樹林帯を抜けるとご来光や影富士を見ることが出来ます。
御殿場口
御殿場ルートのスタート地点の新五合目口は標高約1440mしかなく、
吉田口と比べると約1000mも低い地点となります。
山頂までの標高差は約2300m。
他のルートに比べ距離も長く、富士宮口と比べると倍程度にもなります。
途中に山小屋も少なく人も少ないので、静かな登山を楽しむことが出来ます。
富士登山のスケジュール
富士登山4つのルートはそれぞれ標高差、かかる時間も異なります。
それぞれの行動時間は各ページをご覧ください。
さらに、行動・登頂スタイルによって、おおよそスケジュールも異なります。
【行動・登頂スタイル】
1、小屋1泊+御来光登山(小屋前で見る)
2、小屋1泊+御来光登山(頂上で見る)
3、日帰り登山(御来光を見ない)※数字が大きいものほど行動時間がシビアで、体の負担が大きい。
1、小屋1泊+御来光登山(小屋前で見る)
ゆっくり五合目を出発し、夕方までには7~9合目の山小屋へ到着。
夕食を食べて、明け方まで睡眠をしっかりとります。
夜明け前に起きだして朝食を取り、小屋の前で御来光を拝観します。
明るくなってから山小屋を出発し山頂を目指します。
【日程】
1泊2日プラスアルファ
【良い点】
・行動を急ぐことなくゆっくりと登ることができます
・休憩時間も睡眠時間もしっかりとることが出来るので、体への負担が小さくなります。
・混雑する時間帯を避けることができるので、自分のペースで登ることが出来ます。
・高度順応のための時間を確保できます。
【悪い点】
・全体の時間は長くなってしまいますので、スケジュールに余裕のある方向けになります。
・山小屋宿泊料、ツアー以外では山小屋の予約が必要です。
(週末の山小屋は大変混雑し、早期に予約をしないと確保できない場合があります)
2、小屋1泊+御来光登山(頂上で見る)
登山ツアーなど、多くの方がこのスケジュールを選択されます。
1日目の昼頃には五合目を出発し、夕方までには7~9合目の山小屋へ到着します。
夕食を食べて、真夜中の0~2時頃まで睡眠を取ります。
真夜中に小屋を出発して、明け方までに山頂へ到着します。
そして山頂にて御来光を拝観後、その日の昼頃までには下山します。
【日程】
1泊2日(その日中の帰宅を目標)
【良い点】
・御来光を日本最高所の頂上で拝観できる。
・2日目の昼ごろには下山できるので、その日中の帰宅も可能。
・少ないながらも睡眠を取ることが出来るので、体を休めることが出来ます。
・高度順応のための時間を確保できます。
【悪い点】
・夜中の7合目~頂上までの登山道は激しく渋滞します。
(8月の週末などでは、8合目~頂上までで数時間かかる場合もあります)
・睡眠時間が短めなので、疲れを取りきれず高山病のリスクがあります。
・山小屋宿泊料、ツアー以外では山小屋の予約が必要です。
(週末の山小屋は大変混雑し、早期に予約をしないと確保できない場合があります)
3、日帰り登山(御来光を見ない)
早朝から登り始め、昼ごろに登頂します。
その日の夕方から夜までに下山するスケジュールです。
【日程】
日帰り1日(帰宅は深夜、または翌日)
【良い点】
・スケジュールが最低限の1日しか確保できない場合でも登頂が可能です。
・上り下りがおおよそ日中のため、登山道の安全性は高めです。
・山小屋の予約をしないため、予算の削減ができます。
【悪い点】
・日中の行動のため、御来光拝観ができません。
・1日で登頂・下山のスケジュールとなるので、体力・脚力が要求されます。
・行動時間に余裕がないため体の負担が大きい。高山病のリスクは高いです。
・体を酷使している状態で下山を迎えるので、下山時の事故のリスクがある。
・下山が夕方から夜になる場合もあります。
・小屋の予約をしていないため、もしもの際でも宿泊に切り替えられない事が多い。
登山口までのアプローチ マイカー規制
入山者が多いため毎年各登山口でマイカー規制が行われます。
各登山口へは、乗換駐車場にてバス、タクシーに乗り換えて行きます。(有料)
登山口までのシャトルバスも通行時間が決まっていますので、
それに合わせた計画を立てる必要があります。
【吉田ルート】
・規制道路:富士スバルライン
・規制期間:7月10日(月)17時 〜 9月10日(日)17時
・乗換駐車場:富士北麓駐車場
・シャトルバス運行時間(30分間隔)
(行き)朝4:30(金・土及び7/16、8/10以外は5:30)から 夜19:00(9/10は17:00)まで
(帰り)朝5:20(金・土及び7/16、8/10以外は6:20)から 夜20:00(9/10は18:00)まで
・シャトルバス料金:大人往復1,860円(小人半額)
・駐車場料金(自動車1台):1回につき1,000円
・富士スバルライン五合目シャトルバス時刻表 http://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/documents/hokurokupk.pdf
【富士宮ルート】
・規制道路:富士山スカイライン
・規制日:7月10日(月)9時 〜 9月10日(日)18時
・乗換駐車場: 水ヶ塚駐車場
・シャトルバス運行時間(30分間隔、一部60分間隔)
(行き)朝6:00(7/10は 9:00)から 夜20:00(9/10は18:00)まで
(帰り)朝7:00(7/10は10:00)から 夜20:40(9/10は19:00)まで
・シャトルバス料金:大人往復1,800円(小人900円)、大人片道1,150円(小人580円)
・シャトルバスタクシー:規制期間中24時間ご利用いただけます。(※天候により運転を中止する場合があります。)
・水ヶ塚駐車場シャトルバス・タクシーガイド http://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-210/fujisan/documents/2017leaflet.pdf
【須走ルート】
・規制道路:ふじあざみライン
・規制日:7月10日(月)正午 〜 9月10日(日)正午
・乗換駐車場:須走多目的広場
・シャトルバス運行時間
(行き)朝5:00(7/10は12:00)から 夜20:00(9/10は11:00)まで
(帰り)朝6:45(7/10は13:45)から 夜19:45(期間中の金・土・休日及び8/5~20は20:15)まで
・シャトルバス料金:大人往復1,800円(小人900円)、大人片道1,190円(小人600円)
・シャトルバスタクシー:規制期間中24時間ご利用いただけます。
・須走多目的広場シャトルバス・タクシーガイド http://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-210/fujisan/documents/2017leaflet.pdf
【御殿場ルート】
マイカー規制なし
一生に一度はやっぱり登りたい!日本一の富士山へ! ~第2回 富士登山の計画~まとめ
富士山を登る計画を立てる際に必要な情報を述べてまいりました。
・4つの登山口から1つを選ぶ。体力・行動時間・アプローチルートに注意する。
・行動・登頂・御来光拝観のスタイル、富士登山に使える時間・予算を考える。
・マイカー規制に注意する。
これらの情報をしっかり整理し、各ルートの行動時間や距離、標高差に注意して
ご自身の力に合わせたスタイルで登山計画を立案してください。
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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