テント泊のためにテントの違いを知る 【山を楽しくするテクニック・アイテム】

夏はテントデビューのシーズン!
山小屋の前に色とりどりのテントが立ち並び、テントの前で楽しそうに談笑したり、食事をしたり、ゲームをしたり。
テントには山登りの自由があります。
 
テント泊をしてみたいと思うアナタ、どんなテントを選べばよいのでしょう。
今回はテントの違いをご説明いたします。

 

山岳テントの特徴


ひとくちにテントと言っても様々な種類があります。
山で見るような小さなテント、キャンプ場で見るような大型のテントなどなど。
それぞれ得意とする分野、使う場面によって、設計の考えも異なっています。

【山岳テントとは】

■使う場面

気象条件の厳しい山の上
 

■特徴的な形

山の上は強風が吹くため、風をうまく受け流す構造になっている。
 

■大きさ

風の影響を小さくするために高さが低く、1m程度のものが多い。(座った状態でしか入れません)
対応人数がギリギリ入れるくらいの床面積。
収納時も小型。

 

シングルウォールとダブルウォールの違い


山岳テントには壁が1枚のもの、2枚のものがあります。
1枚のものをシングルウォール、2枚のものをダブルウォールと言います。
どんな違いがあるでしょうか?

■ダブルウォールテント

・通気性があるが防水でない本体テント+防水シート(レインフライシート)の二重構造
・軽量なものでも2人用で1.5kgくらいの重量。シングルよりも重い傾向に。
・本体にフレームを設置し、その上から防水のシートをかぶせる
・レインフライシートとテントの出入り口前の隙間を「前室」と言って、本体以外の荷物スペースができる。
・結露が外側のフライシートの内面に付着します。(水滴はテント内に落ちにくい)
・雨の時はテント本体の出入口の扉だけを開けて、前室にアクセスできる。

■シングルウォールテント

・薄い防水シート1枚で出来ている
・軽量で小型収納なものが多い。(1キロを切る製品も)
・本体にフレームを設置するだけでテントの形になる設営の簡単さ。
・結露がテント本体の内側に付着します。(水滴がテント内に落下します)
・雨の時にテント出入口の扉を開けると雨が入る。

現在は、ダブルウォールテントであっても素材の改良などでかなり軽量化が進んでいます。
レインフライシートで作られるフリースペースの「前室」の利用も含めて、ダブルウォールテントがオススメです。

 

出入口の方向の違い

山岳テントの多くは長方形の床を持ち、出入口は「長い辺」か「短い辺」に作られます。
ドアの方向によってどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、ダブルウォール仕様のアライテント社の
短い辺側出入口の「エアライズ2」
長い辺側出入口の「トレックライズ2」
で比較してみます。
 

■前室の大きさの違い


黄色の部分がテント本体、緑の部分が防水シート(レインフライシート)で作られる「前室」です。
 
上から見た図では、長い辺側に出入口がついたトレックライズ2のほうが幅が広く、面積も大きくなります。
また、横から見た図では、トレックライズ2のレインフライシートが急な角度でテントの頂点から地面まで斜めに下がってくるため、高さの空間も大きくなっています。
逆にエアライズ2は浅い角度で地面まで斜めに下がってくるため、高さの空間も小さくなっています。

 

■テント場での出入りのしやすさ

日本アルプスの稜線上のテント場などでは、岩の山を整地して狭い岩棚のようなテント場を用意しているところもあります。
北アルプスの穂高岳山荘や槍ヶ岳山荘のテント場などが代表的です。

この写真は穂高岳山荘のヘリポート横(涸沢岳直下)のテント場です。
 
前後に狭い岩棚で、テント1台がやっと設営できるようなサイズです。
基本的、崖に長い辺を向けてテントを設営します。
出入口が長い辺側のテントは目の前の崖っぷちを出入りすることになります。
出入りするたびに滑落の危険が予測されます。
出入口が短い辺側ですと、安全に出入りができます。

 

■2人以上でテントで泊まる時の出入りのしやすさ


テントに2人以上で泊まる時の出入りのしやすさにも違いがあります。
この図のように、長い辺側に並行に横になる(寝る)ことになります。
就寝後にトイレに出たい時などが特にシーンとして多いでしょうか。
長い辺側出入口のタイプは、奥側の人が手前側の人を跨ぐ必要があります。
短い辺側出入口のタイプは、それぞれ頭や足を向ける為、そのまま跨ぐことなく出入りすることができます。

 

■長辺側出入口テントの特徴まとめ

・前室が大きく物を沢山置けて、作業もできる。
・狭い岩棚のようなテント場では、出入り時に滑落リスクあり。
・2人以上で使っている場合は、出入りのときに人をまたぐ必要がある

■短辺側出入口テントの特徴まとめ

・前室が小さく、物が置きにくい。
・狭い岩棚のようなテント場でも出入りがしやすい。
・2人以上で使っている場合でも、人をまたぐ必要がない。

 

テント本体がメッシュのテントと、出入口のドアだけがメッシュのテント


ダブルウォールのテントで、本体がメッシュで出来ているもの、
出入口にだけメッシュが用意されているものがあります。

■本体がメッシュのテント

・換気能力が高い。
・風が吹くとレインフライの隙間から風が抜けて、熱気が抜ける。
・秋冬の時期は、暖気が貯められず寒い。
・真夏の風の影響の少ない山、キャンプサイト向け。

■出入口のドアだけがメッシュのテント

・換気能力がそれほど高くない。
・真夏の日中は暑すぎてテント内にいられないことも。
・ドアのメッシュ状態と閉鎖状態を切り替えられるものが多い。
・秋冬の時期は、閉鎖状態に切り替えて暖気を貯められる。
・風が吹いて、夏でも気温の下がる山向け。

 

テントの違いまとめ


いかがでしたでしょうか。
大まかなテントの構造の違いについてご説明してまいりました。
テントを選ぶポイントとしては、だいたい以下のようにまとまります。

・高山にいかない、夏場だけテント泊
 ⇒長い辺側にドアのあるメッシュ本体のダブルウォールテント
 
・日本アルプスのような高山も含め、季節を問わずテント泊
 ⇒ドアだけがメッシュになる短辺ドアのダブルウォールテント、長辺ドアのダブルウォールテント(テントを張る場所に注意)
 
・日本アルプスのような高山、アルパインクライミングも含んだテント泊
 ⇒ドアだけがメッシュになる短辺ドアのダブルウォールテント、シングルウォールテント
 
・極地アタックのためのテント泊、ウルトラライトのテント泊
 ⇒シングルウォールテント

テントもメーカーの創意工夫によってそれぞれ大きな違いもあります。
より詳しいテントの選び方は、好日山荘のスタッフまでお問い合わせ下さいね!

 

オススメのテントのご紹介

■短辺出入口・ダブルウォールタイプ(ドアのみメッシュ可)

アライテント エアライズ2
アライテント社 エアライズシリーズは、長く日本の山岳テントの超定番・ベンチマークとして君臨し続けています。
軽量、小型収納、暗い中でも2か所のスリーブにフレームを差し込むだけで本体が立つ、
様々なオプションを利用することで大きな前室を作ったり、積雪期・高所アタックにも対応できます。

 

■長辺出入口・ダブルウォールタイプ(ドアのみメッシュ可)

アライテント トレックライズ2
長辺側にドアを備え、換気能力が高く、開放感のあるテントです。
レインフライをあければ、テントに横になりながら雄大な山岳風景を楽しむことが出来ます。
夏のテント泊縦走や、ツーリングなどにもオススメです。

 
ファイントラック カミナドーム2
日本の先端繊維技術の粋を集めた最新素材を使用し、軽量でありながら強度も確かなテントです。
様々なオプションを利用することで積雪期の保温性向上・降雪対応、高所アタックにも対応できます。

 
プロモンテ ライトウェイトアルパインテントVL26T
ライトウェイトの定番のテントが今季リニューアル。
現代のテント泊ユーザーの行動を研究し、より軽量化しつつも確かな性能を維持して進化しました。
高身長化の進む日本人にも対応するためより横幅な大きなテントが望まれ、このワイドモデルが誕生しました。

 

■長辺出入口・ダブルウォールタイプ(本体メッシュテント)

MSR ハバハバNX
本体がメッシュ構造&両面にドアを備え、高い換気性が魅力のテントです。
Y字2つを逆さにしてさらに1本追加した複雑なフレーム構造でウォールが急に立ち上がります。
床面積からは想像できないほど室内空間が広く、圧迫感がありません。

 

■長辺出入口・ダブルウォールタイプ より前室のサイズを求める方へ

アライテント ドマドーム1
名前の通り大きな「土間」ができるテント。
ペグダウン無しで大きな土間が出来る珍しいタイプです。
広い土間で調理や、大きなバックパックを置いたりと少々重いですが快適性の高いテントです。

 
アライテント オニドーム2
ドマドームシリーズの設計思考を引き継ぎ、より軽量化と高山対応を図ったモデル。
床フロアが特徴的なツノ状の「オニ」型で、ツノの間におおきな前室が作られます。
ドマドームと同じくペグダウン無しでも立ち上がります。

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!