富士吉田 ハタオリマチへ
今回の富士吉田市へのちょい旅、富士山以外にも興味が湧いていたもの、それは「ハタオリマチ」というワードです。1,000年以上前から機織りの町として栄えてきた歴史がありました。
平安時代の書物の中に甲斐国(山梨県)の布についての記述が見られるように、山梨県は当時から織物の産地として知られていました。中でも山梨県東部、富士吉田や西桂一帯の「郡内」と呼ばれる地域が織物の一大産地で、町人文化が花開いた江戸時代には高級絹織物の「甲斐絹(かいき)」が全国に知れ渡るように。昭和の時代には工業化が進み下請けの産地として発展しましたが、現在では、独自ブランドを立ち上げ、オリジナル製品を販売するファクトリーが増えています。一般向けの工場見学やイベントの開催も行い、たくさんの観光客が訪れる、新しい”ハタオリ”の産地として歩み始めています。
そんな「ハタオリマチ」富士吉田を時間が許すかぎり楽しんできました!
自分だけの御朱印帳つくり
今回体験させていただくのは、和装小物や掛軸に使われる豪華絢爛の生地、「金襴緞子」を専門でつくられている織物工場の光織物さん。たくさんの種類のなかから好きな柄の生地を選んでオリジナルの表紙の御朱印帳を作ります。どの柄も綺麗に織られて見惚れてしまいます。
御朱印帳をオリジナルで作れるところはそうないですよ、と今回ご対応してくださった加々美さんが教えてくれました。いくつかのパーツが用意されていて、順序にそってすすめれば小学生もできるくらい簡単ですから、大丈夫ですよ、と(笑)。使う道具と材料はこちら。普段販売されている御朱印帳は表裏同じものが多いですが、自分で表紙のオモテとウラで違う生地を選びます。生地選びに時間かかるかもと不安だったのですが、第一印象で決定!オモテは掛軸の表装に使われるもの、ウラは金色を使った豪華な波の柄にしてみました。
生地の裏に台紙を貼って折り曲げていきます。この過程が一番緊張しました。
丁寧に教えていただいて集中しすぎて途中経過が無いのですが、スムーズに無事に完成しました。
光織物有限会社 http://hikari-textile.com/
普段つくられている生地はほとんどが京都へおさめられているそう。イメージしやすいものだとひな人形やお守りにも使われているそうです。近年は学生さんとのコラボレーションからはじまった「kichijitsu」というブランドでカラフルなデザインの柄のグッズなども製作されています。加々美さん、充実した時間をありがとうございました!
「kichijitsu」ブランドの御朱印帳入れも購入!これからの旅の必需品になりそうです。今回の旅ではいくつの御朱印をいただくことができるでしょうか。
傘の展示会へ
いつも登山の情報でお世話になっている富士吉田市の産業観光課 観光担当の勝俣 美香さんとお会いする機会があり、ハタオリマチについて色々と情報をいただきました。そのうちのひとつ、毎月第3土曜日に開催の「氷室どよう市」。下吉田駅から教えていただいた場所へ向かうと、テントがならんだ会場があらわれました。いつかどこかで、泉になる このフレーズから期待が高まります。
この日は旅行の最終日だったので、マルシェに出品されていた「678Grapery」さんで思わず野菜と果物をお買物。
こちらでの本命は、マルシェを開催している以前氷屋さんだった「富士製氷」の建物内のギャラリーで、訪れた期間に運よく開催されていた日本国内トップクラスの傘生地を専門とする槇田商店の展示会「花、ひらく」。細い糸を先に染め、高密度で織りあげる郡内織の伝統技術をもとに最新の技術で作り上げるデザインなど、1866年創業の「あなただけの特別な傘」のファクトリーブランドです。
「菜-sai-」シリーズ。伸縮する糸を織りこむことで野菜のナチュラル感を生み出している生地は見入ってしまいます。こちらはトウモロコシのアップ傘ができるまでの120日をすごろくの様に表現した生地。織りでの表現方法の幅広さに驚かされます。
色んな傘を見ているのなかで、出会った「こもれび」シリーズ。太陽の下で開いた瞬間ほんとにブナの木の下にいるみたい!この光と影もすべてジャガード織りで表現。素晴らしいアイデアと技術。購入決心しました!
通常販売されているものもほとんどすべて手に取ってみることができました。カラフルで丈夫な生地でできた折りたたみ式のバッグも人気の商品だそう。
すべて織生地で作られた傘は立体感や光沢がとても魅力的。すべて職人の手作業で仕上げる製品はすべての工程を自社で行われているため、お直しもお願いできる長く安心して使える傘です。大事に使います。
槇田商店 https://shop.makita-1866.jp/
ハタオリマチ案内所
富士急行富士山駅に隣接するハタオリマチの情報拠点「ハタオリマチ案内所」。歴史などを紹介するほかに、織物各社の布地・雑貨の展示販売されています。
各社素材、織り方もさまざまで個性豊か。どうやって織られているのか途方もなく大変そうなものもあります。同時に色んな生地を比べられるのもこちらの案内所ならでは。ジャガード織りの設計図、「紋紙」が飾られていました。穴の位置でどのような柄が織られるのか決まります。そのものがデザインにみえてしまいます。
今日ご担当でいらっしゃった方は、以前は機織りにたずさわっていたとのことで、歴史なども丁寧に教えてくださりました。富士登山に行ってきたとお話すると、実は富士山の山小屋などにもとてもお詳しいとのことで、もっとゆっくりお話し伺いたかったです。布好きの私は色々物色して、1種類麻の布地を選びました。立ち寄って欲しい場所のひとつです。ありがとうございました!
ハタオリマチ案内所 https://fujiyoshida.net/spot/55
ハタオリマチフェスティバル https://hatafes.jp/ ハタオリマチフェスティバル、通称ハタフェスは、山梨県富士吉田市の古き良き街の中で開催する秋祭り。2021年10月30日、31日開催決定!
ハタオリマチのハタ印 オープンファクトリーhttps://hatajirushi.jp/openfactory
毎月第3土曜日は織物工場現場の見学やオリジナル商品の販売やワークショップなどを実施しています。事前に予約などを行なってみてください。楽しい体験が待ってます!
色々興味がわいた方はこちらから ハタオリマチのハタ印 https://hatajirushi.jp/home
春木屋のソフトクリーム
富士吉田に来たら、食べずに帰るわけにはいかないソフトクリーム。ひっきりなしに車が来て、みなさんソフトクリームを買っていかれます。お茶はもちろん、コーヒーの焙煎もさせているそうです。ソフトクリームのこの日のお味はほうじ茶。暑い日にはおかわりしたいくらいです。店舗の向かい側に同じ名前の雛人形の店舗があり、なんでだろう?とスタッフの方にお伺いしてみたら、雛人形も扱っているのだけれど、時期ではない時はそのスペースをハタオリマチの発信にお貸しされているそうで、この時も、「流しの洋裁人さん」の面白い作りのボトムSiboというシリーズを展示中でした。こちらがまたすごい織り方で、洗いにかけてしあげるものだとか!しかもかっこよくて履いてみたくなりました。スタッフの方の明るい素敵なお人柄にすっかり甘えてお話してしまってハタオリマチのことも色々教えてくださいました。ご親切にありがとうございました!今度はお茶の味のソフトクリーム食べたいです!
春木屋 山梨のお茶と人形の専門店 http://www.88ya.co.jp/
憧れのお店
神戸のセレクトショップでかなり前に購入した「オールドマンズテーラー」というブランドの麻のチェックのシャツ。今でも大事に愛用しています。日本の富士吉田のブランドと知り、ずっと訪れたかったハタオリマチ。そのブランドのコンセプトストア「THE DEARGROUND」にはじめていくことができました。店内はブランドの世界観が作られていて特別な雰囲気ながら併設するカフェは落ち着いて過ごすことができる場所でした。スタッフの方もみなさん親切で心和みました。
桃とすもものパフェは紅茶のゼリーがアクセントでとてもさわやか。この季節ならではの美味しさが詰まっていました。気に入ったシャツは残念ながらサイズが合わず、バッグなどの麻の小物と焼き菓子などをお土産に。また来たい場所、おすすめしたいお店です。
THE DEARGROUND https://www.instagram.com/the_dearground/?hl=ja
富士山の見えるところ「新倉富士浅間公園」へ
富士登山の翌日、ありえないくらいの晴れ。富士急行線富士山駅ホームからは富士山がきれいに見えました。違う場所からの富士山の姿を求め、この駅から2つ隣の駅、「下吉田駅」へ向かいます。目を引く赤い電車が入ってきました。富士急行と姉妹鉄道提携のマッターホルン・ゴッダルド鉄道と1991年に25周年を迎えた記念車両でした。中の座席シートのテキスタイルもかわいすぎてテンションあがりました!撮鉄?!ほんの少しの移動時間も富士山がどこにあるか気になってしまいます。富士山LOVE❤
「下吉田駅」のレトロな駅舎から新倉富士浅間神社入り口までは10分ほど歩きます。
駅からたどり着いた神社の入口は予想外にひっそりしていました。事前に調べておりましたが、海外の教科書などでも紹介されたシンボルの五重の塔と富士山の有名なコラボ写真は次の春までお預け!という看板がしっかりわかるように大きく掲げられていましたがきっとお目当てで来られる方のためでしょう。
このアングルの写真は、またの機会にとっておくことにしました。
武田信玄のお父さんの信虎がここで戦勝を祈願し、見事に勝利したと伝わっています。左奥には、小さなお社の荒船神社がありました。富士吉田らしく、機神、養蚕の神とあり、縁結びも。 参拝を済ませ、御朱印もいただき、富士山を眺める新倉山浅間公園へ398段の咲くや姫階段をのぼります。実は最近、この階段で熊さんが座っていたそう…!富士山を見に来たのかも??毎日登山されている地元の方は熊鈴を付けれられていました。この階段、かなり急でゴールも見えませんが、登るのみ!!途中に愛宕神社お社があり参拝してからも、ひたすらのぼります。富士山も振り返れば見えると思いますが、ぐっと我慢。
階段、のぼり切りました!富士山!こちらも待ってくれていました 五重の塔「忠霊塔」。昭和37年に建てられた美しい塔。この上の展望デッキを新しくしているのですが、少しのぼるともっときれいに見える!と地元のおじさまに教えていただき、さらにスロープなどをのぼると富士山のすそ野まで見えるあずまやがありました。ずっと見ていたい、素晴らしい瞬間でした。
吉田のうどん
富士吉田に来たからには一度は食べておきたい!たくさんある店舗のなかから、富士山駅にも近くアクセスのよい、レンコンきんぴらの食べ放題が気になった「ふじや」さんへ。富士吉田市は、富士山麓、標高650m~850mに市街地のある高原都市。富士山の噴火による土壌のために稲作には不向きで、畑作で大麦・小麦・あわ・ひえ・トウモロコシなどの栽培を行い、それを粉にして水をこね、汁のなかに野菜と一緒に煮込んで食べる「すいとん」を主食としていたところから、この粉食中心の食生活がうどん文化の基盤となっていると考えられています。また、はた織りの文化から自宅で織物の機械を動かしている女性に昼食に手間をかけないように、手が荒れないようにと男性がうどんをつくるようになったといわれたことや富士山を訪れる富士講の信者に「湯盛りうどん」を振る舞っていたことも吉田のうどん食文化ともいえます。
コシが強い太めの麺に王道の醤油と味噌ベースの出汁で、トッピングの味付きの馬肉とキャベツもあいまって全体のバランスがよく、しっかり噛みながらもあっさりいただきました!レンコンのきんぴら、とまらないおいしさですので要注意。
吉田うどん「ふじや」 https://fujiyoshida.net/gourmet/118
富士吉田で出会った気になったものあれこれ富士山からでしゅう、水がとっても豊富!びっくりするくらい流れてました。
また来たい!わたしが今度富士吉田市に来る理由
雪をかぶった大きな富士山に会いたい
富士山一合目から五合目までを別の季節に歩きたい
ハタオリマチフェスティバルに参加したい
機織りのファクトリーでストール作り体験
富士吉田のゲストハウスに宿泊
パン屋めぐり、スイーツめぐり
今回の旅の最初に作った自分だけの御朱印帳には、御朱印を5ついただくことができました。これからの旅でも大事に使いたいと思います。
富士吉田市で滞在中に出会った方はみなさんとても親切、そして何よりみなさん富士山は無くてはならない存在で、富士山のことが大好き。こんなに身近に富士山を感じながらのたった3日間でしたが、とても贅沢な時間でした。富士登山にもハタオリマチにもまた必ず来ます!ありがとうございました!富士山、また逢う日まで!
取材日:2021年7月15日~17日 感染対策を講じ、安全安心な旅を心がけ取材を行いました。
富士登山一合目から五合目の様子は前編でお楽しみください!
#ちょい旅 富士登山一合目から五合目と富士吉田ハタオリマチ~前編~
文&編集&写真●関本 亜紀
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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