夏の山には、楽しみが沢山!
紺碧の空に届きそうな3000m級の山々も、
歩くだけで大汗が出る里山も、
山の中の沢に飛び込むのも、
山小屋に宿泊して登山者同士で交流を深めるのも、
テントを背負って自然を肌で感じるのも、
それぞれに違った楽しみがあります。
そんな夏山、特に人気の高い白馬岳について
登山の楽しみや失敗しないポイントを田中ガイドに聞いてみました。
(この記事は2016年夏の記事を再編集しています)
Q1.夏の白馬周辺の魅力や楽しみ方と言えば?
A.この時期は間違いなし!待ちに待った夏山登山を満喫できます
白馬村の繁忙期は、1月~3月のスキーシーズン、そして、6月~9月の登山シーズン。
登山愛好家が待ちに待った夏山登山シーズンが始まろうとしています。
既に八方尾根アルペンライン(唐松岳へのアプローチ)、栂池ゴンドラ(白馬乗鞍方面へのアプローチ)の運行が開始され少しずつ登山者が増えてきています。
白馬周辺の登山の良いポイントは、まずは何よりも「涼しい!!」
白馬村の宿泊施設が集まるエリアの標高は750~850m、平地と比べると平均気温で約4度低く、また、湿度が低いため夏の暑さを逃れる避暑地としては最適です。さらに山に登れば標高を上げるに従い気温が下がるためとても快適な登山を楽しめます。
針ノ木雪渓、白馬大雪渓と真夏でも雪が残る場所もありアイゼンを履いての雪上歩行で気分は登山家!?
白馬周辺の登山では是非山小屋に宿泊した複数日数の登山を楽しんで頂きたいです。
山頂や稜線上に建つ快適な山小屋に宿泊すれば、アーベントロート(夕焼け)、モルゲンロート(朝焼け)の素晴らしい景色を遮るものがない大展望台にて楽しむことができます。
天気が悪く登山を中止・縮小しても大丈夫!!白馬の街中には好日山荘・パタゴニア・ノースフェイス等のアウトドアショップ街、おいしいお食事処がたくさん。
この夏は是非白馬に遊びに来てください。
Q2.夏の白馬での失敗談はありますか?
A.楽しい分、水分補給は忘れずにしっかりとしましょう。
私の夏山の失敗は、まさにこの暑さが引き起こしたものです。まず一つは熱中症。
育ちは関西なのですが、登山好きの父親の影響で小学生のころからよく白馬の山には登っていました。
30年以上前の当時は、水を飲むことの大切さが今ほど強く言われていませんでした。
登山中は雪、植物、動物、そして休憩中に食べるお菓子に夢中になり水分を取るということがおろそかに。
「待ちなさい」の父親の言葉を無視して、ハイペースでどんどん登っているとだんだん気分が悪くなり、それでも意地を張って無理をして登っていると、とうとう動けなくなってしまいました。
追いついた父親に背負われて無事に下山できたので良かったですが、今考えてみると、自分自身が現在登山学校の講習中に伝えている「山でやると疲れる事」をすべてやってしまい、「山でやれば疲れを減らせる事」のほとんどをやっていなかったのが原因でした。
皆さんも夏山登山を楽しむ際は、
*無理のないペース
*水分・塩分・糖分補給
*休憩を適切に
*温度調整を適切に
という登山の基本をその他の季節以上に意識して熱中症対策は万全で楽しんで下さいね。
Q3.あると便利な装備や注意点は?
A.登りこそトレッキングポールを使って疲労度を減らしましょう。
白馬を含む北アルプスで登山を計画されている方にお薦めしたいのはトレッキングポールですね。
北アルプスの登山コースは、どのコースも歩きごたえのある長距離行程となります。
足腰の疲労軽減、バランス保持のためにトレッキングポールは大変有効です。
登山後「足が疲れた」という言葉は良く耳にしますが「あー手・腕が疲れたー」ということはあまり聞きませんよね。
是非、手・腕にもある程度仕事をして頂いて、登山中の足の疲労を軽減させて下さい。
細かく書くと長くなるので結論だけ書きますが、トレッキングポールを上手に使えると、
足の疲労を80%くらいに軽減できると言われています。
よく「下りでありがたみが良くわかる」と下りだけ使用する方が多いですが、
お勧めの使用方法は「登り・平坦部でも使用する」です。
バランスを取るだけでなく、適切に使用すれば推進力を生み出すことが可能になります。
登り・平坦な場所でもしっかりと使って山に登頂すれば、
登頂時点での足の疲労度はトレッキングポールを使わないで登頂した場合より軽減できているはずです。
と、いうことは、使わない場合より、元気な状態での下山開始となります。
さらに言うと、登りで使っていない方は、登り中荷物に「トレッキングポール」という名前の「重り」を背負っていることになりますので持っていることはマイナスになります。
「下りの為のトレッキングポール」ではなく、
「下りの為に登りでも使用するトレッキングポール」として使用して頂けると、
白馬周辺の雄大な登山コースを十二分に堪能して頂けることになるでしょう。
今回、夏山の楽しみや失敗しないポイントを教えてくれたのは「田中ガイド」
- 田中 敦(たなかあつし)
- 公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイド ステージⅡ
N.I.A.J(Nature Instructors Academy of Japan)所属>ガイドコラムへ
1975年生まれ。20歳から約13年間海外、特にスイスに駐在して、ヨーロッパ各地の山にお客様をご案内。
帰国後は登山専門の旅行会社に所属して、国内外の山をガイド。
現在は好日山荘白馬店に勤務。
日本の里山からヒマラヤの高峰まで様々な山をガイドした経験を活かしてお客様の登山スタイルに合わせた登山用品をご案内しております。
≪主な海外山行≫
■タンザニア キリマンジャロ(4回)
■ロシア エルブルース(4回)
■南極 ビンソンマシフ
■オーストラリア コジオスコ
■ヨーロッパアルプス 4000m峰12座(モンブラン、マッターホルン等)
≪関連ホームページ・ブログ≫
■好日山荘白馬店
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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