この記事はGuddéi research(グッデイリサーチ)春号(No.037)の
特集記事の一部を抜粋した連動記事となります。
【Guddéi research記事】伊藤俊明=文 山田真人=写真
生活のすべてを背負い
好きなときに食べ、
好きなときに眠る。
これがテント泊の魅力
エアライズは日本の山岳テントの大定番
つじまいのテントは、アライテントが創業50周年を記念してつくった限定カラーのエアライズ2。
ピンク色のフライシートは、鴇の風切羽の色をイメージしたもので「鴇色」と呼ぶ。
限定250張のレアなモデルで、好評につき昨季再発売となったが、それも瞬く間に売り切れた。
「テントを買おうとしていたところにちょうど発売されたので、すぐに飛びつきました」
エアライズは日本の山岳テントの大定番だ。
同じ長さの2本のフレームを交差させて立てる自立式のダブルウォールで、スリーブは片方が袋状になっているため、入り口側からフレームを差込むだけで簡単に設営できる。
ペグや張り綱まで含めると2人用で約1.8kg。
最軽量級ではないが、耐久性なども考慮した結果の重量で、初心者からベテランまで愛用者は多い。
彼女はこのテントを、雑誌やネットで下調べして好日山荘で購入した。まだ入社する前の話だ。
「はじめてでも立てやすいと、スタッフにも勧められました」
同社のトレックライズも検討していたが、オプションの多さが決め手になった。
ふたりで行くこともあるので2人用を選択。
のちにフレームを入れて広い前室がつくれるDXフライシートや雪山で使う外張りも購入した。
「このテントで3人で寝たこともあります。ぎゅうぎゅうでしたけど(笑)。
ノーマルのフライは前室が狭いので、ふたりで行くときや天気が悪そうなときはDXフライを使っています。
装備が増える雪山だとちょうどいいんですが、夏山でひとりで使うには大きいので、次はもう少しコンパクトで軽いものをと考えています。
ファイントラックのカミナドームが候補です」
使い方に合わせて選ぶのはもちろんですが、オプションがあると用途も広がります
最初のひと張を買うときは、どんなことに気をつければいいだろう。
「使い方に合わせて選ぶのはもちろんですが、たとえばエアライズのDXフライのように、オプションがあると用途も広がります。
テントだけでなく、そうしたところも調べておくといいと思います。
それから、購入前に一度お店で張ってみることもおすすめします。
設営方法がわかるし、体格によってサイズの感じ方も変わりますからね」
テントで眠ることに不安を感じる人もいるかもしれないが、彼女のテント泊デビューの話がなかなか痛快なのでご紹介しておこう。
はじめてのテント泊は地元奈良の山、大峰山脈の弥山
つじまいがはじめてテント泊山行をしたのは、山に登り始めて1年目くらいのこと。
小屋泊まりの経験もほとんどないまま、いきなりテント泊の山行へステップアップした。
テント泊では衣食住のすべてを背負うため、寝袋やマット、調理器具やそれらを収める大型のバックパックも必要となるが、そうしたすべてを新調したという。
日帰りから急にテント泊の装備では、さぞかし重かっただろう。
「最初は死ぬかと思いました(笑)」
はじめてのテント泊は地元奈良の山、大峰山脈の弥山だった。
3月の終わりでまだ閉鎖されている林道歩きからスタート。
テント泊の指定地まではコースタイムで5時間ほど。
ほぼ時間通りで歩ききったというが、まだ雪が残る時期。不安はなかったのだろうか。
「不安はありましたが、ワクワクのほうが勝りましたね。
だれもいなくて貸し切りだったし。いざとなったら避難小屋に逃げ込もうと思っていました」
自宅で一度試し張りをしてきたので、テントは迷わず設営できた。
クッカーで米を炊いて、フリーズドライのカレーをかけて食べた。
ストーブを使ったのもはじめてのこと。
寝袋は寒かったが、避難小屋には行かなかった。
それからいままで、すでに30泊以上をエアライズで過ごしている。
考えに考えて道具を選ぶ
※写真はつじまいの登山レポートより
テント泊は使用する装備も多く、経験を重ねるにつれて道具を入れ替えることも多いが、彼女は、最初に買ったものをほぼいまも使い続けている。
変わったのは着替えを持たなくなったくらいで、最初は上から下まで用意していたが、最近は替えのアンダーウェアと靴下くらいに減った。
考えに考えて道具を選んでいるにちがいない。
道具こそ変わらないが、テント泊をはじめてからますます山にのめり込んだという。
ふだんは夜ひとりで歩くのも嫌だというほどの怖がりだが、山ではひとりでも不思議と怖くない。
なぜかと聞けば、目的地に着いたときの達成感ですかね、と答えてくれた。
衣食住の全部を自分で背負って歩くのってかっこいい
※写真はつじまいの登山レポートより
では、テント泊登山の魅力はなんだろう。
「山で泊まるって、やっぱりすごく特別なことですよね。
星がきれいだったり、ご来光を迎えたり。
テント泊にはずっと憧れていて、衣食住の全部を自分で背負って歩くのってかっこいいなぁと思ってました。
テントは自分だけのスペースが確保できるし、時間が自由に使えるのが好きです。
お腹が空いたらご飯をつくって、眠くなったら寝る。
山小屋だとごそごそできませんからね、気を使っちゃって(笑)」
一見頼りないナイロンのテントは、自分だけの心地よい空間をつくりだし、山での充実した時間を与えてくれる。迷っていないで、この夏はぜひ!
続きはGuddéi researchで
今回は記事のほんの一部をご紹介いたしましたが
テント泊のTIPS(豆知識・小技)やギアの選び方や楽しみ方など
より詳しい内容はGuddéi research2018年 春号(No.037)でご覧いただけます。
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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