日本海を望む豪雪地帯の山岳地域、中部山岳国立公園にある立山連峰。
冬の晴れた日に能登半島から眺める雪をまとった白い立山は、蒼い富山湾との素晴らしい色の対比で日本を代表する絶景の一つです。
通常、立山というと、雄山(3003m)、大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)の3つの総称になります。
また、立山三山というと、雄山・浄土山・別山の3つの総称になります。
雄山は映画「劒岳 点の記」で有名な剱岳と対をなす山で、
立山修験(立山信仰)では雄山が極楽浄土の仏の山、剱岳が針山地獄の山とされています。
世界屈指の豪雪地帯の大変厳しい環境であり、厳冬期の立山連峰にはほとんど入山する人がいません。
春になると除雪も始まり、観光ルートも営業開始。
残雪登山に限らず、バックカントリースキーヤー、観光客でにぎわいを見せます。
■雄山と別山ってどんなところ?
・雄山
・別山
■雄山と別山へのルート
・室堂~一ノ越山荘~雄山 ルート
・室堂~雷鳥沢キャンプ場~新室堂乗越~剱御前小屋~別山 ルート
■雄山・別山の周辺の他のルートについて(剱岳)
・1.早月尾根~剱岳
・2.別山尾根~剱岳
■立山(雄山・別山)へのアクセス
■立山(雄山・別山)周辺のたのしみ
■参考になる登山レポート
雄山と別山ってどんなところ?
雄山
室堂から登り始め、一ノ越(山荘)を経由して雄山頂上へ至るルートが一般的です。
標高約2450mの室堂から手軽に3000m級の頂上へ登ることができるルートとして、夏~秋は大変な賑わいを見せます。
残雪の時期は北陸特有の積雪が残り、雄山周辺ではスキーを楽しむ人、雪山登山をする人が入山します。
大陸性の強めの北西風が吹く事があるため、一ノ越(山荘)以上では転倒や滑落への注意が必要です。
頂上には雄山神社という神社がありますが、残雪の時期は雪で覆われ、閉じられています。
別山
雷鳥沢キャンプ場の前に壁のように立つ山です。
無雪期は雷鳥沢の登山道から、剱御前小屋へ直登して稜線の別山に至ります。
しかしながら積雪期の沢沿いは雪崩の危険性がとても高いため、
雷鳥沢の西側の新室堂乗越のあたりの緩い斜面を登り尾根上を登っていくか、
多少急ではありますが、雷鳥坂(尾根筋)を登っていきます。
(沢筋には絶対入らないでください。)
尾根筋や比較的なだらかな斜面でも雪崩が発生する可能性がありますので注意してください。
稜線上では強風・滑落に注意してください。
雄山と別山へのルート
室堂~一ノ越~雄山 ルート
室堂駅を出ると、雪が積もっています。正面ピークが雄山!
室堂から室堂山荘あたりを通って一ノ越山荘へ向かいます。
室堂から室堂山荘あたりまでのエリアは平らで、
積雪のある状態でガスってしまうと、ほんの少しの距離でもルートが分からなくなることがあります。
視界不良の場合は、天気がよくなるまで進まない方がよいかもしれません。
一ノ越山荘に近づくにつれ、急になってきます。
沢筋の斜面が急なところには近づかないでください。雪崩れやすいエリアです。
一ノ越山荘から雄山方面。
年や時期によって、岩が出ていたり、雪で埋まっていたり様々です。
稜線上に出ると風も強くなりますので、転倒にご注意ください。
雄山頂上!中央のお社のところが頂上です。
開山期間は7月1日~9月30日で、まだまだ雪の中でお休みです。
頂上も時期によって、雪にすっぽり埋まっている場合があります。
雄山から眺めた雪の立山の風景。
3000mからの眺めは最高~!
室堂~雷鳥沢キャンプ場~新室堂乗越~剱御前小屋~別山 ルート
雷鳥沢キャンプ場。
一面雪原が広がり、雪上テント泊しやすい場所です。
強い風が吹く場合もありますので、雪の穴掘り、雪のブロックをしっかり作り上げてください。
雷鳥沢左側の稜線を上がります。
正面に剱御前小屋が見えています。
上がるとこんな景色になります! 写真奥は奥大日岳。
剱御前小屋へ到着。
例年4月末くらいから営業しています。ここで一息ついていきましょう~。
岩がゴロゴロしているものの、別山の稜線上は平らになっていて歩きやすい。
別山頂上!
稜線上ではこんな景色が見れますよ~!(ノ*’ω’*)ノわっしょい
【登山コース】
室堂~一ノ越~雄山 ルート
室堂→(120分)→一ノ越→(80分)→雄山山頂
室堂~雷鳥沢キャンプ場~新室堂乗越~剱御前小屋~別山 ルート
室堂→(50分)→雷鳥沢→(150分)→別山尾根上→(20分)→剱御前小屋→(60分)→別山
雄山・別山の周辺の他のルートについて
立山周辺は世界有数の豪雪地帯で、急峻なこの山岳地域は多くの事故が発生しています。
そのため、富山県警による冬期入山規制区域が設定されています。
■剱岳
12月1日~5月15日の間に剱岳周辺へ登山される方は、入山届と審査が必要となります。
この地域の入山経験や技術、単独入山禁止、長い予備日の設定など、多くの必須条件があります。
ルートは主に、馬場島から早月尾根を登るルート、剱御前小屋(別山乗越)から別山尾根を登るルートがあります。
双方ともに危険なエリアが多く、雪が残る時期では5/15以降でも高い雪山技術を持つ方以外は入山をおすすめしません。
でも、見てみたいと思うのがアルピニストのサガ。
早月尾根からの剱岳へ、別山尾根からの剱岳へ
好日山荘のエキスパートのスタッフによる記録から、少し登った気分になれる(?)写真をご紹介!
1.早月尾根~剱岳
早月尾根と早月小屋。剱岳ピークは写真のずっと奥の方です。
どんどん急になってきます!
上部は鋭い岩の登下降が続きます。
絶壁の雪面を登るエリアも多数ありますので、ロープワーク、たしかなピッケル・アイゼンワークが必要です。
剱岳頂上登頂!
春でもまだまだお社が埋まっています。
2.別山尾根~剱岳
中央の雪の斜面が夏にテント村ができる剱沢の野営場。
春の時期は雪崩の巣窟です。
写真右側の奥から手前に続く稜線が別山尾根です。
人が入っているとスケール感が分かりますでしょうか。
すごい尾根(稜線)の大きさですね!
左右に切れ落ちた雪面は谷底まで続きます。
別山尾根ルートは、この尾根(稜線)以外が危険すぎてまず通れません。
別山尾根 前剱への登攀。
もう目がくらむような絶壁!(@_@)
ここを越えてもまだまだ岩と氷と雪が待っている・・・
立山(雄山・別山)へのアクセス
交通機関をご利用の方
立山黒部アルペンルートをご利用いただきます。
各路線については、立山黒部アルペンルートのページをご覧ください。
こちらのルートは観光路線としても人気が高く、どの季節でも混雑が予想されます。
時刻表が掲載されておりますが、定員オーバーの際は時刻表通りに乗ることが出来ません。
余裕を持ったスケジュールをおすすめいたします。
■富山側から
富山駅から富山地方鉄道で立山駅へ。そこから立山ケーブルカー、立山高原バスを乗り継ぎ室堂へ至ります。
■長野側から
信濃大町駅からバスで扇沢駅へ。そこから関電トンネルトロリーバス、黒部ケーブルカー、立山ロープウェイ、立山トンネルトロリーバスを乗り継ぎ室堂へ至ります。
お車をご利用の方
※富山側は立山付近まで、長野側は扇沢までしか入ることが出来ません。
■富山側から
北陸自動車道 立山ICを降り、県道3号線、6号線を南へ。川沿いにすすみ、立山駅へ至ります。
■長野側から
長野自動車道 松本ICから国道158号を東へ進み、渚一丁目交差点を北へ。
国道19号を北上、平瀬口から国道147号線・148号線を北上。
俵町一丁目交差点を北西へ進むとやがて扇沢駅へ至る。
立山(雄山・別山)周辺のたのしみ
雪の大谷
室堂付近にある大谷は吹きだまりになっているため特に積雪が多く、
年によっては20mを超えることもあります。
この大谷を通る道路のところだけを除雪して、巨大な雪の壁を残します。
それが「雪の大谷」です。
雪の大谷ウォークと題して、室堂ターミナルから約500m、車道を歩くことが出来ます。
黒部ダム
黒部ダムは、富山県立山町の黒部川水系に建設されたダムです。
ダムの水を利用した発電所が黒部川第四発電所であることから、黒四ダムと呼ばれることもあります。
ダムの高さは日本一で186mを誇ります!
黒部ダムの建設地が急峻な山岳地帯の奥地で、当時建設工事は難航を極めました。
作業員延べ人数は1000万人を超え、工事期間中に事故による殉職者は171人にも及びました。
初期は建設材料を馬やヘリコプターで運び、当時最先端の技術が導入され、そして黒部の山々を貫通したトンネルを掘削。
国内でも最大級の事業として注目され、ヘリコプターによる空中撮影なども行われました。
その後、映画「黒部の太陽」として映像化され、黒部ダム建設の物語が描かれました。
現在では、中部山岳国立公園、立山黒部アルペンルートの一つとして多くの観光客が訪れています。
夏場には大迫力の「観光放水」を行っており、観光の目玉の一つとなっています。
黒部ダムカレー
黒部ダムカレーは昭和40年初頭に扇沢で発売された「アーチカレー」が元祖となり、
現在では黒部ダムレストハウスやくろよんロイヤルホテルをはじめ、
周辺のホテルやレストランなどで様々なダムカレーが楽しめるようになりました。
黒部ダムカレー、全部制覇してみる?
参考になる登山レポート
立山☆ 雄山→大汝山 プチ残雪
入山日: 2015年05月07日 (木)
残雪の立山・雄山
入山日:2014年04月21日 (月)~2014年04月23日 (水)
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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