山岳ガイドが語る春の山の楽しみ方と注意点-旭ガイド

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春の山には、厳しい雪の季節の足跡と、新しい芽吹きの季節の息吹が共存しています。
そんな春山の登山の楽しみ方と注意点を旭ガイドに聞いてみました。
(この記事は2016年春の記事を再編集しています)

Q1.春山(残雪期含む)の魅力や楽しみ方と言えば?

A.雪山技術を学ぶ絶好のチャンスです!

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残雪期の山は天候が安定し、日も長くなるので、厳冬期には行けないような行程が長い山行、アルプスの大きな山々に行く事が出来る。
GWの北アルプスでは山小屋利用も可能で、この時期は翌年、本格的な雪山登山を目指す人にとって技術を学ぶ絶好の機会になる。
低山では雪解けがすすみ、花が咲き始め、木々が芽吹きを始める。冬の間、雪の下や厳しい寒さの中でじっと耐えてきた植物が輝き出す。
そんな自然のリズムを感じる事、冒険をしに大きな山に行ける事が私の春山の楽しみ。

Q2.旭ガイドおすすめの春の山は?

A.私のおすすめは長い眠りから目覚めた4月の立山!

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厳冬期の立山は登る事が難しいが、4月中旬頃に開通するアルペンルートを利用すれば標高2400mの立山室堂まで歩かずに行ける。
私は毎年バックカントリーガイドで春の立山には、2週間程滞在しているが、何度行っても大変魅力的な場所である。
素晴らしいロケーションの中で朝の時間から夕暮れ、夜の時間までドラマチックな光景を目にする事が出来る。
また、白い雷鳥も頻繁に見る事が出来るし、温泉や雪の大谷等の観光的な見所もあるので厳しい登山をしなくとも十分に楽しめる場所だ。
注意点としては、標高は森林限界を越えるアルパインエリア。
アクセスが容易な事から3000m級の高峰である事を忘れさせるが、荒天での遭難や雪崩等のリスクもある。
特に春のメイストームには要注意。
天気が良い日には初夏のような陽気でも、一度天気が崩れればすぐに厳冬期のコンディションに逆戻りだ。

Q3.春山での必要な装備のポイントは?

A.この季節を快適に過ごすにはソフトシェルがおすすめです

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基本は厳冬期のようなコンディションにも耐えうる装備が必要である。
しかし、遮る物の無いアルパインエリアの春の強い日差しの中での行動は意外と暑い。
標高が高いと風もあり気温も低いのだが、日差しの強い日中の行動は意外と暑いのだ。
気温が低く、風も少しある、だが日差しが強く暑い。
そのような残雪期の山にはソフトシェルの防風性と透湿性が大変重宝しますね。

今回、春山の楽しみ方と注意点を教えてくれたのは「旭ガイド」

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旭 立太(あさひりゅうた)
公益社団法人日本山岳ガイド協会 山岳ガイドステージⅠ/スキーガイドステージII
日本雪崩ネットワーク・プロフェッショナルメンバー
Wilderness First Aid(50時間の野外救急法)
環境省自然公園指導員
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1977年生まれ。スノーボードバックカントリーの世界に魅了され、自身が感じた山や自然の魅力、その魅力が詰まった安全で楽しい山旅の提供をしたいと思いガイドの道へ。
自然のリズムに合わせ四季を通じて山へ登り、冬期はスプリットボードでフィールドを開拓中。

≪主な海外山行≫
■マッキンリー山頂よりスノーボードで滑走(6168m)

≪関連ホームページ・ブログ≫
リズムワークス

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!