雪山登山靴を選ぶポイント

「この靴で雪山行けますか?」
靴売り場で冬になるとよく投げかけられる言葉の第一位でしょう。

雪山の靴と夏山の靴はどう違うのでしょうか?
どんな基準で選べばよいのでしょうか?

dscf9817

冬山と夏山の違い

夏山では、土や岩、木の根や草木に覆われた登山道を歩く、そのための靴を選びます。
多くの方は整備された登山道を歩行するため、土や岩、木道などでのグリップ性とホールド、防水性が基準となります。

冬山では、岩、雪、氷に覆われた場所を歩く、そのための靴を選びます。
雪の上、時には雪に足が埋まった状態や氷ついた斜面を歩行・登攀するため、夏山の基準に加えて、

・保温断熱性
・アイゼン(クランポン)と呼ばれる鋭い金属の爪の付いた滑り止めを装着できるか(コバ)
・グローブを付けたままでも脱ぎ履き、調整がしやすいか
・厚めの靴下を履いても履けるサイズか
・底が固く曲がらない靴か

など、様々な点に違いがあります。

dscf3050

保温断熱性

長時間雪に足が埋まったり、冷たい空気や風に長時間晒されるような場合には指先から冷えはじめ、最悪の場合凍傷になってしまう場合があります。
冬山用として設計されている靴は保温断熱用の素材が使われており、長い時間雪の中を行動していても冷えにくくなっています。

凍傷のリスクは、滑落と並んで雪山登山の危険性の高いものです。
よく注意して保温性の高い靴を選んでください。

【要注意 間違いがちなポイント!】
冬山用の靴に似たものに、アイゼンを装着するコバと呼ばれる凹みがカカト部についた夏用の靴があります。
一見すると、冬靴のような見た目に硬い底を持った靴で、このような靴のタイプでも雪山で使えそうな気がしてしまいます。
しかし大きな間違いです。保温断熱性がありません!
ヨーロッパのアルプスなどの夏の氷河の上を歩行する、岩稜地帯を安定して登るための靴で、あくまで気温の高い夏や冬に使う場合でも雪に足が埋まらないエリア向けです。
例外的に、真冬でも積雪量の少ない標高の低い雪山に短時間使用する、残雪期の雪の締まった時期に使用できる可能性があります。

dscf1620

アイゼンとセットで靴を考える

アイゼンは雪や氷の上で滑らないための金属の爪(スパイク)の事です。
爪の本数や仕様によって、向いた時期や地域が異なります。

・雪や氷の斜面を登る → 10~14本爪、先頭の爪が前を向いて長く出ているもの
・雪原からなだらかな雪の登り → 10~14本爪(先頭の爪が前を向いてなくても良い)
・積雪量の少ない雪原や雪山へのアプローチ → チェーンアイゼンや8~10本爪(先頭の爪が前を向いてなくても良い)
・夏の雪渓 → 4~8本の軽アイゼン

また、コバと呼ばれるアイゼン装着用の凹みがカカトとつま先にあるものがあります。
コバの有無によって、装着できるアイゼンに違いがあります。

・コバがカカトとつま先両方 → ワンタッチアイゼン、セミワンタッチアイゼン、バンド式アイゼン
・コバがカカトのみ → セミワンタッチアイゼン、バンド式アイゼン
・コバが無い → バンド式アイゼン

【要注意 間違いがちなポイント!】
カカトにコバがあっても、体重をかけると靴底が曲がってしまう靴には、硬いアイゼンの装着をおすすめできません
歩行中に曲がることによってアイゼンが緩んだり、外れたり、金属部品が破損してしまう場合があります。
そのようなタイプには、前後のプレートをつなぐセンターバーの柔らかいアイゼンか、チェーンアイゼンをお使いください。

img00016

靴のフィッティング

冬山の靴は必ず試着してから購入してください!

夏用の靴よりもより慎重にフィッティングを確かめてください。
長時間変な締め付けを感じるような靴では冷えを感じてしまったり、ブカブカな靴などでは大変危険です。

また、保温性を向上させるために厚めの靴下を履くこともおすすめです。
夏用の靴下よりも厚めなので、それに合わせた靴の中の空間サイズをお確かめください。

お店ではなるべく長い時間試着してみてください。
10~30分程度は履いたまま歩いたり、斜面を昇り降りするなど、様々な動作を試してみてください。
長時間履いていても問題を感じないものをお選び下さい。

靴を買われる際、すでにアイゼンをお持ちの場合はそれをお持込してください!
靴とアイゼンにも相性があります。合わない靴はアイゼンが外れやすくなります。
ぜひお店のスタッフに相性を訪ねてください。
img00125

近年の日本で使われる冬山用の靴の傾向

昔の靴は皮で出来た重い重登山靴やプラスチックブーツが主流でした。
しかしながら、近年ではナイロンを主体に皮を併用したタイプが主流です。

軽くしなやかなアッパーで、足首部分が柔軟にできているものもあります。
急な斜面でも登りやすく、アイスクライミングなどでも足が動かしやすくなっています。

また、靴とゲイターが一体化したようなタイプもあります。
足に吸い付くようなゲイターが熱を放出する隙間を作らないため、保温性が高い傾向があります。

おすすめ冬山向け登山靴

ネパール エボ GORE-TEX
冬山定番の登山靴!
長く愛され、雪山登山の基準として比較される靴です。日本国内でも使用する方は数多い。
ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォートという防水透湿&断熱・保温素材で、内部は温か&蒸れにくい。
くるぶし付近が絞られフィット感が高く、踵が浮きにくい構造。
3Dフレックスシステムという自由度の高い足首構造と合わせて、どんな雪面にもフラットフィッティングしやすく、アイスクライミングのような幅の広い動作にも対応します。
動かしやすい足首構造はクセになりますね!
ソールにおいても、インパクトブレーキングシステムという、スポルティバ独自のパターンで岩場においてもしっかりとしたグリップ力があります。
その他にも、内部のタンの位置を動かしフィット感を調整、D環ロック付きのシューレースなど、多数の機能を持っています。

おすすめアイゼン

エアーテック ニューマチック(12本爪 セミワンタッチ)
前は樹脂ハーネス、後ろはバインディングタイプのセミワンタッチ式アイゼン。
同社のG12シリーズよりも軽く、雪山初心者の方にも使いやすいものになっています。
グリベル社のアンチスノープレート(雪付き防止プレート)は性能が高く、安全に歩くことが出来ます。

バサック レバーロックユニバーサル(LLU)
前のパーツを変える事で、ワンタッチ式、セミワンタッチ式の切り替えのできる最新モデル。
以前の同シリーズのモデルに比べ軽量化。
よりスピーディーな足運びへと繋がります。

まとめ

冬山登山靴を選ぶには、とにかく妥協しないことが第一です。
保温断熱性能、靴のフィッティング、アイゼンのフィッティング、使いやすさ動きやすさ、など。
どの点を妥協しても危険性や事故へ繋がる可能性が上がります。
様々な冬山登山靴を試着し、自身に最適なシューズを探してみてください。
専門性の高いものですので、お店のスタッフにどんどん質問してみてください!
きっとあなたにピッタリの一足が見つかるはずです!

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!