お手軽日帰りハイク 「入笠山」(好日山荘100名山)で秋の入口を体感 

秋の山登りシーズンに。

日毎に平均気温が下がり、秋の虫の音色が聞こえてくると秋の訪れを感じます。とはいえ日中は気温が上がったり、日差しが強かったりと、まだ夏の印象も残す初秋から仲秋の頃。夏山でも紅葉でもない、「秋の入口」を感じに、”好日山荘100名山”の「入笠山」でハイキングを楽しもうと出かけました。

「入笠山」を選んだ理由

ここはスキー場のゴンドラで「かなり」標高を稼げるのですが、これによって・・・

・夏の間、暑いので山登りをお休みしていた方でも”復帰戦”として登りやすい

・年配の方やお子さんなど、体力に自信が無い方でも登りやすい(アップダウンが少ない。歩行距離が短い)

・日帰り・短時間で登れる山。標高の割にはサクッと登山できる

といった利点があります。敢えて列記しましたが、単純に「どなたでも気後れせずに気楽に登れる高い山」といった所でしょうか。

それに加えて標高が高い山だと、より「秋の入口」を体感できる事が大きな理由としてあったりも・・・。

”花の百名山”としても知られる山で山野草園や湿原もあるので、ここでも「秋の入口」を体感できるかな?と思い、選んでみました。

登山開始は標高1,780mから

気温は朝一で18℃。湿度が低くカラッとしていますが、お世辞にも「涼しい」とは言えず昼間は暑くなりそうな気配です。先ずは富士見パノラマリゾートの山麓駅からゴンドラに乗車。片道2kmほど、搬器から八ヶ岳を眺めながら一気に標高1,780mまで上がって行きます。

ゴンドラを降り、駅舎を出た直後はガスが薄らとかかる中「涼しさ」を感じます。レインウェア兼用のジャケットを羽織るか否か迷いますが、歩くとすぐに暑くなりそうなので思いとどまり、メリノウールの半袖ベースレイヤー一枚で登山口からスタートします。

ここ富士見パノラマリゾートはマウンテンバイクのダウンヒルコースがあり、コースのスタートがこのゴンドラ山頂駅周辺となっていますが、歩行者用コースとは完全に分けられているので安心して歩けます。この日も朝から沢山のマウンテンバイカーが集結し楽しんでいました。

 

黄色や赤色に目がとまる

 

まずは入笠湿原をめざし、整備されたハイキングコースを歩きます。土の柔らかさが足に心地良く、まるで緑地公園のウォーキングコースを歩いているかのような、ある意味登山とは思えない感覚。すいすいと進んでいきます。木々に目を配り、この辺りの色づきはまだ先か、などと思っていると、あっという間に入笠湿原に到着。鹿除けのドアを開け、木道を歩くと目の前には「エゾリンドウ」が一面に。

エゾリンドウが見頃の時期で一面に広がる青紫色が素晴らしく、その周りの草がうっすらと黄色や赤色へと変化している途中。その黄や赤の色味がエゾリンドウの色をさらに引き立てており、湿原も秋へと向かっているよう。

湿原を後にし、秋らしさを感じる色彩が見える花畑を横目に、マナスル山荘さんの目の前にある登山道から入笠山の山頂にむけて登山道を登ります。急登もなく至って登りやすい登山道で、ブランクのある方でも難なく登れそう。どれだけゆっくり歩いても、ここから山頂までは1時間もあれば登れそうです。

途中「岩場コース」なるものがありますが、険しい鎖場があったり岩を攀じ登るようなコースではありませんので、ご安心を。(それでも不安な方は「岩場迂回コース」もありますので、そちらを)

歩きながらコース上の木々を見上げ、足元の草を見て、だんだん緑色から黄色さらには赤色へと変化するグラデーションを見つけては足を止めて、しばし観察。

「真夏でない事は明らか、かといって秋とも言い切れない。秋の入口あたり」を感じとるのも楽しかったりします。

色の移り変わり

山頂からの眺め

登山道を30分も歩くとほどなくして山頂に到着。山頂はとても広く、沢山の方が休憩するにも距離感はしっかり保てそうです。

ここからはまさしく360°のパノラマビュー。北・南・中央アルプスに八ヶ岳が一望できる、日本百名山が盛り沢山の眺望。この日は山頂到達時は視界ゼロではありませんでしたが、遠くの山並みの眺望は無い状態。休憩しながら気長に待ちます。

この時に油断をしておりました…。冒頭「半袖一枚でスタート」と書きましたが、山頂でもジャケットを着こむほどではなく、風も気持ちよかったのでそのまま過ごしていると・・・やってしまいました「日焼け」です・・・。ジリジリする気温感ではないから、と油断するのは禁物です、標高が高い事もあり紫外線は強いです。秋もウェアや小物で日焼け対策を忘れずに。

下山もゴンドラ利用で時間的に焦る必要もないので、この山頂で1時間近く「眺望を楽しみたい」と雲が晴れるのを待ち、何とか北アルプスがうっすら、そして八ヶ岳も全容を見る事が。それを区切りとして、再び「秋の入口」を探しに入笠山山頂から花畑へと向かい下山します。

 

秋の入り口を感じる

山頂からは登りとは異なる「大阿原湿原」へと繋がるコースで下山するのですが、このコースも急なアップダウンは無く、とても歩きやすいコース。快適な下り道を歩きながら花畑へと向かいます。山頂へ登る際にも登山道途中から、花畑のその多色多様な植物の雰囲気が見えていたので、期待も高まります。

山頂にいた時から感じていましたが、他の皆さんはスタートがゆっくり目だったのか、朝一には山麓でほとんど見かけなったハイカーが時間の経過に伴いどんどん増え、この下りのコースでも多くのハイカーとすれ違いました。やはりゴンドラ利用で3時間ほどあれば山頂含め、ぐるっと回れる山なのでお昼前後のスロースタートも可能なのでしょう。(とはいえ、ゴンドラの営業時間にはお気を付け下さい)

花畑では今が見ごろの花から、もう夏の終わりと共に枯れかけの花や、すっかり枯れてしまい秋の雰囲気を出している物まで、夏の終わりと秋の始まりが入り混じっている様相を植物から感じる事が出来ます。

私は植物に関して詳しいわけではありませんが、色んな植物を眺めているだけでも、季節の移り変わりを感じ取る事が出来ました。当然の事ながら山では街の中で感じる以上に、季節の移り変わりを感じる事が出来ます。

自然の中を歩いて、季節の微妙な移り変わりを見つけたり感じる事は、気持ちがポジティブになってくるので個人的にはとても好きな時間です。

 

最後まで満喫

花畑からゴンドラ山頂駅までは湿原を経由して戻ります。そのままゴンドラで下山・・・ではなくもうひと楽しみ。

ゴンドラ山頂駅の目と鼻の先に山野草公園があります。ここでも多種多様なお花や植物が魅せる季節の移り変わりを楽ししみながらウロウロ散策していると、正面にどーんと聳える八ヶ岳が。遠望する八ヶ岳はまだまだ「夏感」が残っていました。

午後のひと時、日差しは少しきつかったですが、湿度を感じない爽やかな風に吹かれて八ヶ岳をしっかりと拝んでから、ゴンドラに乗りこみ下山するのでした。

 

季節が変わりきる前に

9月そして10月と天候は安定して、山を歩いたり自然の中で過ごす事が快適な季節になります。

日頃の気分転換、自然の中でしか感じられない季節の移り変わりを感じに、アクセスが良く登りやすい山に登ってみませんか。

好日山荘100名山にはアクセス至便で、四季それぞれの変化を感じられる山が全国にあります。

真っ赤に染まる紅葉だけが秋の楽しみではありません。暑くもなく、寒くもない晩夏から仲秋の頃は季節の移り変わりを目でも肌でも感じやすい季節。近所の山で日々刻々と変わりゆく様子を定点観察するのも、おすすめです。

 

秋は季節の進みが早く、意外とあっという間に終わってしまいます。思いたった時が行き時です。

「夏の終わり、秋の入口」の山を楽しんでください。

Take Off!! 気持ち良さそうです。

 

好日山荘マガジンライター:菰下 了

好日山荘スタッフによる四季折々の入笠山の登山レポートは、こちらから。

 

*取材時は感染症対策をとり、密集・密接を避けて行動をしております。

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!