夏の山には、楽しみが沢山!
紺碧の空に届きそうな3000m級の山々も、
歩くだけで大汗が出る里山も、
山の中の沢に飛び込むのも、
山小屋に宿泊して登山者同士で交流を深めるのも、
テントを背負って自然を肌で感じるのも、
それぞれに違った楽しみがあります。
そんな夏山、ここでは特にテント泊について、
楽しみや失敗しないポイントを山下ガイドに聞いてみました。
(この記事は2016年夏の記事を再編集しています)
Q1.テント泊の魅力や楽しみ方と言えば?
A.自分たちの空間を楽しんだりゆっくりとした時間を過ごせます
夏山はテント泊での登山、縦走に最適です。また初めてのテント泊も低山なら安心して始められます。自分たちの空間が楽しめるのもポイントです。
最初の1台はダブルウォールテント(本体+フライ)をお勧めします。
私はガイドなので幾つかのタイプ、サイズのテントを使用していますが、ダブルウォールテントとしてはアライテントのエアライズ2と3を使用しています。
いいところはシンプルに尽きますね。また1年中使えます。
慣れてくれば2台目はシングルウォールテント(アライテントのX-ライズ等)を試すのもありでしょうか。
プロモンテのVS、VLシリーズは1970-80年代に流行した「ダンロップ」ブランドを継承した吊り下げ式のテントで、設営が非常に楽で早いです。
私も以前使用していました。今期2017年リニューアルしましたね。
中がメッシュで、フライシートが本体と離れていて、大きく、雨でも快適そうです。
テントの選び方
・主な山行スタイル(キャンプ、縦走、BC方式、アルパインクライミング)
・使用時期(オールシーズン、スリーシーズン)によりどの部分(サイズ、重量、耐風、耐雨等、設置しやすさ)を重視するかが変わります。
目安として
・1台目はダブルウォールテント
・シングルウォールテントは2台目以降
・サイズはカタログ上での最少人数が広く快適にすごせます。
・冬は最小人数で。春・夏・秋は荷物を外に出して最大人数で対応。
近年総重量を軽くする為に、フライが小さかったり、グランドシート部分が薄いものが多いので、カタログの重量値だけの比較は要注意です。
フライシートが本体ギリギリサイズだと横殴り雨の時は横から雨が入ってきます。またあまりに薄い生地だと紫外線による劣化が早いです。
テント泊の良いところ
・自分達だけの空間、時間がある
・行ける山・季節が増える
・予約が要らない
・縦走の場合は万が一の場合は常にシェルターを持っていることなる
目的地にてテントを設営した後、景色を見ながらのんびりと過ごすお茶タイムは最高です。
かわりに
・荷物が重くなる
・悪天時(強風、雨)はひたすら耐えることに。
・雨の時は物がなかなか乾かず、そのまま重荷となる。
ですがこれは考え方を変えれば、全て自分で生き抜くという達成感・満足感があります。
Q2.テント泊での失敗談はありますか?
A.夏の強風には注意しましょう
失敗ではないですが、大雨の時はテントの下を水が流れることは普通にあります。強風でポールが折れたことも。
夏強風の為、劔沢のテント場から300mほど下流まで飛ばされた持ち主不明のテントを回収したこともあります。
色々なトラブルに遭いそれに対応できる喜びも山の魅力でしょうね。
Q3.あると便利な装備や注意点は?
A.テント内で衣服などを干すための紐があると便利です
テントは「住めば都」ではないですが、「張れば都」です。
テントを撤収したあと、よくこんな狭く、不整地な場所に泊まっていたなあ、なんてよく思います。
忘れがちなのが購入したあと、テントの天井近辺にある小さな輪に紐をかけることです。
色々な物が干せます。ただしシングルウォールにはできないものがあります。
あとは濡れを拭く為のタオルも。
今回、夏山の楽しみや失敗しないポイントを教えてくれたのは「山下ガイド」
- 山下 勝弘(やましたかつひろ)
- 国際ガイド連盟(UIAGM)国際山岳ガイド
公益社団法人 日本山岳ガイド協会 国際ガイド&フリークライミングインストラクター
環境省自然保護委員
>ガイドコラムへ
1959年生まれ。中学、高校時代から縦走をはじめ、1981年頃から社会人山岳会にて岩登りをはじめ、冬壁、ビッグウォール、フリークライミングに没頭。
生まれは関西ですが、育ちは横浜。1992年から長野県松本市近郊の村に移住しています。
山からはハイキング、クライミング、マウンテニアリング、スキーと色々な楽しみ方を貰っています。
その楽しみを皆さんと共有できたらな、と思ってます。
≪主な登攀歴≫
■谷川岳、穂高、甲斐駒ケ岳の冬期登攀。
■日本のマルチピッチルートのフリー化・フリー続登。
■フリークライミングルートの初登。
■ヨセミテ、アラスカでのビッグウォール。
≪関連ホームページ・ブログ≫
■山下ガイドホームページ
■山下ガイドブログ
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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