日本の雪山に適したシュラフってどんなもの?
2016年冬は、11月の東京でも54年ぶりの初雪が観測され、年明けを迎える前から日本各地より冬の便りが続々と届くようになってまいりました。
今年の冬は厳しいのでは?なんて声も聞こえております。
雪山は夏山とどう違うのか?
一般的に雪のある山は、全てが凍りついた低温の世界です。
日が当たれば温かさは感じるものの、ダウンやフリース、アウターシェルなどを着こみ、分厚いシュラフに入らねば寒さを感じてしまいます。
しっかりとした防寒対策をしないで夜を明かすことは命にかかわります。
どんなことに注意するべきか?
寒さ対策、結露・濡れ対策、断熱が必要です。
寒さ対策
雪上テント泊なら寒さ対策に、ダウン量にして600g以上の中綿が必要になります。
結露・濡れ対策
テント内でお湯を沸かしたり自らの吐息、汗やテント内で溶けた雪などによって結露や水滴が発生し、水濡れの原因になります。
シュラフは水気に弱いものが多く、シュラフ用防水カバーを併用するなどの対策が必要になります。
ゴアテックスなどのシュラフ用防水カバーを使用することで防水性は向上しますが、それと同時に平均400g程度の重量が増加してしまいます。
断熱
シュラフで保温していても、雪の上では雪に体温が奪われてしまいます。
雪への体温の移動を防ぐ、断熱性の高いスリーピングマットが必要です。
シュラフは羽毛と化繊綿 どちらがよいか?
羽毛と化繊綿は、保温性、重量、収納サイズ、水濡れに対する強さ、値段の差があります。
■保温性 羽毛(高い)>化繊綿(低)
■重量対比 羽毛(軽め)>化繊綿(重め)
■収納サイズの小ささ 羽毛(小)>化繊綿(大)
■水濡れに対する強さ 化繊綿(強)>羽毛(弱)
■値段 化繊綿(安)>羽毛(高)
冬は必要な道具が多伎にわたり、どうしても全体重量が大きくなってしまいます。
エネルギー消費の多い雪上行動をするため、体力の温存がカギとなります。
道具一つ一つの重量、パッキングのしやすさをシビアに考える必要があります。
軽く、小さく、濡れに強いシュラフを選びましょう。
重く、パッキングサイズの大きい化繊綿のシュラフは、水濡れに対する強さはあっても、現実的ではありません。
おすすめシュラフ
オーロラライト600DX
エア 810EX
エア 630EX
おすすめスリーピングマット
リッジレスト ソーライト レギュラー
安定した保温性を求めるならこのモデル。
軽量EVAフォームでつくられた1.5cm厚のクローズドセルマットです。
内部に空気を含んでいないため、熱の移動が少なく高い断熱性を誇ります。
エアマットと違いパンクの危険性がなく安全に使用できます。
また広げるだけで準備が整うため、体力消耗の激しいラッセル、登攀の後でも楽に使用できます。
唯一の欠点は、収納サイズの大きさです。ザック内部に収納することは難しく外付けが基本となります。
プロライトプラス R(レギュラー) / POPPY
高い断熱性、保温性を誇るエアマットです。
収納サイズも小さく、パッキングが楽にできます。
内部のクッションフォームは、斜めに抜き加工をして軽量化と収納サイズの縮小を図っています。
斜めにカットすることで、もしもパンクしてしまった際にもマットの上下面の穴の位置がずれているので、直接的な熱の移動が起きにくくなっています
まとめ
日本の雪山で寝るには、環境温度(気温)、濡れ対策、荷物の重量、自身の体力、寒さへの耐性がどうなのかを理解することから始まります。
同じ冬であって天候によって気温は激変します。一番悪い状況を想定して道具選びをするべきです。
テント、雪洞、避難小屋、営業小屋。冬の宿泊にもさまざまなスタイルがあります。
必要な道具、良い道具を選び、万全の体調を備え、雪山へ挑戦して下さい。
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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