【夏山 南アルプス】 ガイドに学ぶ、失敗しない夏山のすすめ  ~加藤ガイド~

kato0-%e3%82%b3%e3%83%94%e3%83%bc

夏の山には、楽しみが沢山!
紺碧の空に届きそうな3000m級の山々も、
歩くだけで大汗が出る里山も、
山の中の沢に飛び込むのも、
山小屋に宿泊して登山者同士で交流を深めるのも、
テントを背負って自然を肌で感じるのも、
それぞれに違った楽しみがあります。

そんな夏山、ここでは雄大な南アルプスについて、
楽しみや失敗しないポイントを加藤ガイドに聞いてみました。
(この記事は2016年夏の記事を再編集しています)


Q1.南アルプスの魅力や楽しみ方と言えば?

A.奥深い山の雰囲気を楽しみましょう


夏なら3泊4日で南アルプス荒川三山をめざします。
登山ベースとなる椹島までは東海フォレストの専用バスに乗車となります。

※東海フォレスト椹島送迎バスは対象の小屋に宿泊される方のみ対象となります。
※テント泊のみの行程の方はご利用いただけません。
>参考サイトはこちら

初日は南アルプスの懐深く入る行程をゆっくりと楽しむのがベスト。
林業の基地でもあった椹島はこんな山奥に!と驚くほどの広々とした雰囲気、芝生のテント場でのんびり過ごすも良し、部屋でゆっくり本を読みながら明日への英気を養うも良いでしょう。


2日目は千枚小屋まで標高差1500mの登り。
所々で出会う林業用の道に負けずに根気よく足を運ぶ。苔に覆われた大木が横たわる駒鳥池までくれば小屋までもうすぐです。
新しくなった小屋は展望も良く快適、テント場は5分ほど離れたところにあります。朝日を受ける小屋は柔らかく暖かく感じられます。


3日目は悪沢岳、荒川岳、赤石岳の3000m級の大縦走、氷河に削られたカールを抱える山は南アルプスの別称赤石山脈の由来ともなった赤いチャート岩も露出しています。
南アルプスは北アルプスとは違い、海洋に何千万年かけて降り積もった放散虫の死骸からなるチャートと呼ばれる堅い岩石が稜線に露出しており海を渡って山に登った岩石を間近に見ることができます。
赤石岳は日本で最も高所にある一等三角点です。直下にある赤石岳避難小屋は管理人さんがいる営業小屋です。

 

Q2.南アルプスでの失敗談はありますか?

A.オーバーロードにならないよう意識し計画を立てましょう


標高差1500mを身近な山で経験するのはなかなか難しいものです。
深い樹林帯を登り大きなアップダウンを繰り返す南アルプス登山では長時間行動を念頭にオーバーロードにならないように自制したいものです。
小まめな水分栄養補給を忘れてしまうと体にダメージが残ってしまいます。
高所の慣れない環境では簡単に回復できず、縦走をあきらめた人を見たことがあります。

 

Q3.あると便利な装備や注意点は?

A.夏山ならではの水分補給・手ぬぐい・虫対策はお忘れなく!


南アルプスは標高差が大きく、深い森の登山道が多いですが、森林限界を超えるとハイマツや厳しい環境に適応した高山植物の世界になります。
稜線縦走であれば、防寒着や防風着など忘れずに用意します。(ダウン、レインウェア)
長時間行動を見越して、アミノ酸やミネラルに富んだ高品質の行動食をしっかり用意すると安心です。
(アミノバイタル、ゼリー水分補給にはハイドレーションシステム!これは譲れません!
滴る汗を拭く手拭いは重宝します。陽射しを遮るもののない稜線では首筋を熱射から守ってもくれます。
ブユなど不快害虫に刺された場合に役立つ「ポイズンリムーバー」のありがたさはその時に良くわかります!

 

今回、夏山の楽しみや失敗しないポイントを教えてくれたのは「加藤ガイド」

kato0-%e3%82%b3%e3%83%94%e3%83%bc

加藤 智二(かとうともじ)
公益社団法人日本山岳ガイド協会 認定山岳ガイド
日本プロガイド協会
日本山岳レスキュー協会所属
国立登山研修所講師
>ガイドコラムへ

1960年生まれ。高校では小学校から続けるサッカーに没頭、キャプテンを務めました。
住み込みで新聞配達をしながら専門学校に通い、一人で山を始めました。卒業後、社会人山岳会に入り沢登り、岩登り、冬山など本格的に登山を開始、84年にネパールを皮切りにパキスタン、中国へ海外登山を行いました。
冬山登山や岩登りも行いますが、植物・地質など自然全般が大好きで、写真撮影も得意としています。
広範囲な登山を目指すことをモットーとしています。
現在は国立登山研修所講師や公益社団法人日本山岳ガイド協会などの事業への協力を行っています。

≪主な海外山行≫
■パキスタン ガッシャーブルムⅡ(8035m)
■中国 チョーオユー(8201m)
■日本・中国・ネパール三国合同チョモランマ・サガルマータ(8848m)

≪関連ホームページ・ブログ≫
好日山荘登山学校校長のご挨拶

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!