ちょい旅ではじめて取り上げる島。行き先は、瀬戸内海最大の島「淡路島」。大阪湾・播磨灘・紀伊水道の各海域を分かつ場所に位置しています。
私の住む六甲山の麓からなら、明石海峡大橋を渡って、好きなタイミングで気軽に行くことの出来るので選んでみました。
琵琶湖を逆さにしたような形の島は南北に細長く、東は朝日が、西は夕日がきれいに見えるサンセットロードがあるので雄大な景色も見逃せません。まさに日本列島で最初にできた島「国生みの島」とも呼ばれるにふさわしい島です。
さっそく旅のスタートです。今回は車をつかってワンデイトリップ。時間をフル活用するべく朝早く出発し、東海岸の南に位置する日の出ポイントへ向かいます。
淡路島の東にそっと寄り添う勾玉の形をした沼島が見える海岸線で朝日を待ちます。
上空は、飛行機の通り道、手前の海には朝早くからお仕事の小さな船がたくさん。
私は、海からのぼる太陽を見たことはなかったかもしれません。そしてこちらが私の今年の初日の出となりました。
沼島と朝日のコラボレーション。
オレンジのグラデーションが青みを増す中、さらに東海岸を北上します。この時期ならではのお花、水仙が身頃を迎えた「灘黒岩水仙郷」へ向かいます。
今から約180年前に付近の漁民が海岸に漂着した水仙の球根を山に植えたものが、だんだんと繁殖したとされ、南あわじは水仙の日本三大群生地のひとつです。
例年12月下旬から2月下旬ごろまで甘い香りで春のはじまりを感じることができます。
訪れた日は、東側の斜面は開花がすすんでいましたが、西側はまだ開いているお花が数えるほどでした。
受付の方に聞いてみると、以前はどちらの斜面も同時期に咲いていたが、近年2,3年は大雨などの異常気象の影響による土壌に変化があるようで、時期が外れて咲く傾向にあるとのことでした。
確かに海を望む斜面をみると、むき出しになっている球根や水仙以外の植物も多くみられました。そのようなこともあり、整備のために休園する予定もあるようです。今年見ておいたので整備後の姿も楽しみです。
梅も咲きはじめてメジロが忙しそうに飛び回っていました。
天気に恵まれた今日の淡路島、さらに東海岸を南下し、「諭鶴羽神社」のある淡路島最高峰 「諭鶴羽山」へ向かいます。
諭鶴羽古道の登山道を登っていきます。
参拝の表参道として古くから歩かれていた道は朝日が差し込む静かで気持ちの落ち着く登山道です。約一時間ほどで諭鶴羽神社の鳥居のあるところまで登ってきました。
さらに先にある頂上へ向かうこととします。比較的緩やかな登り道が続きます。
朝は冷え込んでいたので、登山道には霜柱がありました。撮影した後じっくり鑑賞して、もちろん?!ザクザクと踏んじゃいました。
神輿を山頂まで上げるお祭りが年に一度あると記してあったので、そのためか、神社から山頂へは幅が広く歩きやすい登山道です。トンネルのような道!さて、どんな景色が出迎えてくれるでしょうか。頂上はもうすぐです!
頂上に到着です。
標高607.9m(一等三角点)
祠には鶴のお印。
この日はお天気に恵まれ、360℃ぐるっと見渡すことが出来ました。
四国に繋がる瀬戸大橋は薄っすらと霞み、遠く四国の剣山は雪を被っていました。朝早かったこともあり、和歌山方面に目を向けると友ヶ島海峡の雲海に浮かぶ島と陸地がとても神秘的でした。
山頂から下り、諭鶴羽神社に参拝。
淡路島は『古事記』『日本書紀』では日本国土の最初にできた島とされており、「国生み神話」にまつわる伝承が島の各所でみられます。
諭鶴羽神社もそのひとつとして知られています。開かれたのは紀元前98年と言われておりイザナギ・イザナミの伝説が伝えられ、神社の紋は、二神のお使いの鶴になっています。
愛嬌のある狛犬さん。
境内には色々と見どころがあります。親子杉。
触れてよいとのお許しの看板。巨木好きにはたまらないです。パワーをいただきました。
椿の木。
さざれ石 君が代の歌詞にある さざれ はこの石?
諭鶴羽神社のそばにはもう一つお社がありました。「諭鶴羽大権現」
そちらの狛犬さんも見逃せません。細部にご注目!
下山したら次の目的地へ、なんて欲張りなスケジュールなのでしょうか。今朝、茜にシルエットで浮かんでいた見えた沼島がきれいに見えました。同じ景色も時間を変えることで全く違って見えるんですね。
沼島は淡路島の東のとても近くに位置しますが、こちらの二つの島の間には、日本列島を貫く中央構造線が位置し、地質は全く異なっています。日本列島の成り立ちに興味がある方にもお勧めのスポットです。
今回は行くことは叶いませんでしたが、沼島には船で渡ることができます。パワースポットのハートに見える大きな岩「上立岩」があることで有名なので、是非訪ねてみてくださいね。
さらに道を進むと、直売所発見!私の大好物の柑橘類が!!!通り過ぎるわけにはいきません。さっそく中に入らせていただきました。
てきぱきとお仕事をされていた素敵なご夫婦がいらっしゃいました。主に水仙の咲く時期に店舗を開けているとのことでしたが、今年はお客様の数も少ないそうです。
建物の横では、若くて細いヒジキを炊いていている最中でした。毎年これが人気なのだとか。
さっき採ったばっかり、と無農薬のレモンは木がすぐそばにあるとのことで見せてもらいました。たわわに実っていました。
そうすると、奥に大きな黄色いものがぶら下がっている木を発見!なんと、巨大な柑橘「晩白柚」が実ってました!顔と比べれるくらいのサイズ!
色んな柑橘を紹介いただきお買い物させていただきました。こんな素敵な偶然があるから旅はやめられません。
6月頃には、ビワ狩りが楽しめるそう。大きくておいしいよ!と。また来ます!!
旅はまだまだ続きます。
車で移動中見つけた小さくても目立つ自転車向けの標識。ひょうごサイクリングモデルルートのひとつ「アワイチ」。淡路島を自転車で一周して楽む人も多いようです。この日も走っている方を何名かお見かけしました。
淡路島と言えば、玉ねぎ!訪れた時は畑を整え苗を植えている時期。畑は整えられて美しい景色です。
あ!牛さん!コンニチワ!2021年干支に会えてうれしい!
今回の旅で、一番訪れたい場所へ向かいます。五色町にある「樂久登窯」(らくとがま)です。
神戸で生まれ育ち、丹波焼での修業を経て、西村昌晃さんが2005年開いた窯元です。
もともと、西村さんの祖母が暮らした場所に、今は窯、ギャラリーとカフェが併設されています。
私が「樂久登窯」を知ったのは、神戸で兵庫県の地場産業・伝統工芸を独自の視点でセレクトした商品を購入することが出来るショップ「じばさんele」。兵庫県の焼きものも多く取り扱われています。
こちらの店舗を手掛けた前川拓史さんにご紹介いただき、今回西村さんとお話しできる機会をいただきました。前川さん、ありがとうございます。
西村さんの作品は、主に淡路島で採れた鉱物や土を中心に使っています。もちろん山に入り土をはじめとした素材を探して採取してくるとのこと。
目的は違えど、山に行くことは、登山もいっしょですね、と。
釉薬の原料は藁のような植物の繊維や、鉱物に含まれる珪酸というキラキラしている部分が釉薬になる成分と聞いて、なるほど!と関心しました。
器が大好きな私は知りたがっていろいろと質問したことにも丁寧に答えてくださいました。
陶器本体は、土や鉱物・植物などいろんな自然のものからさまざまな形や色を生み出す。
陶芸も料理と同じで、レシピがあってだいたいの感覚でどんな色になるのかわかりますよ、と。
料理人の方からの制作依頼も多く、たくさんの器をつくられているとのこと。料理と器の関係性も飾るのではなく、どうやって素材の味を活かすかお料理を活かすかを考えてらっしゃるとも。
作品が並ぶ、ギャラリーは、両方から光が入る白くて明るいスペースと古民家を活かした素敵な空間。器もひとつひとつゆっくり手に取ることが出来て、お料理を思い浮かべて選ぶことができます。
淡路島には漁業、農作物生産者の方も多く、西村さんはご自身でも合鴨農法のお米作りやニホンミツバチの養蜂などたくさんのこともされていて、
淡路島で暮らし、いろんなことにたずさわることによっていろんなことの見え方、景色が変わった と。
また、器も食べ物も、出来る限り地産地消のモノ。そして、すべてのものは、ほんものかどうかはすぐにわかりますね。とおっしゃられていました。
たくさんのことを知ることで、問題も知ることになったり、いろんなプロジェクトが動いているのだそう。
興味深かったのは、こちらの地域の仲間達で作った希少なお米「亀の尾」100%地元の都美人酒造にて醸造した日本酒「総邌利souneri」
その希少なお米「亀の尾」を作っている田んぼにおりてきた猪豚を捕まえ、お米からとれたおいしいお酒とともに缶詰にしたり(驚!)
放置された竹林の竹からシナチクを作って淡路島産無添加のしなちくを作る → あわじ里山プロジェクト あわじ島ちく
なんとも大変なことを楽しいことにかえてしまっていて、知らない事ばかりで興味津々で聞き入りました。
樂久登窯さんでは、淡路島で生産されている食材をつかったお土産にぴったりな品がたくさん並んでいました。すべて西村さんが顔のわかる方がつくられたものばかりです。
「淡路島西洋野菜園」パッケージにも惹かれます。
カフェのメニューもどれも気になります。
山のお話になり、山はすべてと繋がっていますと話され、諭鶴羽山の山伏のお話など、興味深いお話もしてくださいました。
ご家族で登山してみたいとも思っていたんです。と打ち明けてくださって親近感を覚えました。
丁寧に話してくださる西村さんのお人柄は、器を作るお仕事にもあらわれています。
貴重な時間を割いてくださった西村さん、ありがとうございました。また伺わせてください!
「樂久登窯」の西村さんに教えていただいた日本酒「総邌利」(そうねり)を求めにへ向かいます。
淡路島には、酒造会社は二つあるそうで、そのうちのひとつ、「都美人酒造」。
こちらは、昭和20年に島の南部の10軒が志を一つに合併。酒銘「都美人」はその中の一軒で、もと伏見の酒造家の商標。創業当初に存在した様々な銘柄から一番響きの良い名前を採用したいわれがあるそうです。
創業当初から酒造りの基本である山廃仕込みを守り続けています。
「亀の尾」米100%使用「総邌利souneri」ゲットしました!
そろそろ旅も佳境です。夕日を望める場所へ移動します。
西淡三原インターチェンジそばの交差点に気になるモニュメントが!そばに駐車場があるのでぜひ止めて近くで見てみてください!
忘れてはいけません。淡路島は愛知県の三州瓦、島根県の石州瓦と並ぶの三大産地のひとつと言われています。
橋の見張り番?おっきな鬼瓦!
旅の締めくくり。日の沈むスポット、西海岸の淡路サンセットライン沿いへ移動します!
新都志海水浴場近くの海岸線にたどり着きました。海が目の前できれいに夕日を拝むことが出来ました。
淡路島でのちょい旅も、車での移動で時間をフル活用して、長い一日となりました。こんなに近いのに何年も足を踏み入れていなかったことにとても後悔しました。また近いうちに訪れたいと思います。
■旅のお供
たくさんお買い物を楽しむには、マイバッグは必須!登山でも、活躍するドライサックをマイバッグとして使っています。
SEA TO SUMMIT ドライサック
■旅の思い出いろいろ
お昼ご飯
移動に時間をかけたこともあり、手軽にテイクアウトで食べれるものを選びました。淡路牛バーガー&おさかな天ぷら3種(おこぜ!はも!!ふぐ!!!)
●今回のお買い物
「樂久登窯」縁のピンクの釉薬がとても気に入ってこちらを選びました。今度は白いお皿と青の器を狙っています。
お土産いろいろ。
淡路島西洋野菜園のトマト缶、ドライトマト、菊芋チップス http://awajishima-seiyoyasaien.org/
自凝雫塩(おのころしずくしお)大粒 http://hamashizuku.com/
よかちょろの猪豚の栗のラグー(記事内に登場した日本酒「とうねり」使用) https://yokachoro.shop/
西村さんのご親戚のととろ昆布
淡路島素麺 金山製麺 御神糸 https://kanayamaseimen.com/
長手長栄堂 あわじオレンジスティック https://nagate.com/awajiorangestick/
吉見秋一さんのちの天然ひじきと柑橘類 文旦、はっさく、清見オレンジ、レモン
福良マルシェで見つけたお野菜各種 ムラサキ色の白菜・甘ネギ・玉ねぎ
福良マルシェ https://www.uzu-shio.com/fukuramarche/
欲しいものがきっと見つかる!ぜひ寄って淡路のものを連れて帰ってお家でも淡路島を楽しんで欲しい!お魚も並んでいました。
淡路島に行けない時は、こちらへ。
●情報満載! 淡路島観光ガイド・あわじなび https://www.awajishima-kanko.jp/
●兵庫県の地場産業・伝統工芸 モノづくりの発信基地「じばさんele」 http://www.lantiki.com/ele/
また来たい!わたしの今度淡路島に来る理由。
●おいしいものを食べたい! ●ビワ狩り ●ふぐ ●はも ●うに ●淡路牛
●藍染の体験してみたい! 天然藍染工房 AiAii https://aiaii.blue/
●ジェラートといえばココ! G.エルム
●酪農家さんのジェラート VERDE TENERO https://verde-tenero.com/
●淡路島の素敵なお店には必ずと言っていいほど飾ってある「ノマド MOON CALENDAR」の額も作っているお店 NeKi 額縁と珈琲 https://www.ne-ki.net/
こちらは、「樂久登窯」さんのカフェの壁のカレンダー。
旅の計画は、最新情報を必ずご確認のうえ、おでかけください。
●樂久登窯 http://rakutogama.com/
●灘黒岩水仙郷 https://www.city.minamiawaji.hyogo.jp/site/suisenkyou/
●都美人酒造 https://www.miyakobijin.co.jp/
<おまけ>
魅力的な食材を購入したら、さっそくおいしいものを作らなきゃ!クッキングコーナー!!
■オイルパスタ風あえ麺
淡路島産甘ネギ&玉ねぎ、淡路島レモン、淡路島干しめん「そろそろ」、自凝雫塩(おのころしずくしお)大粒、坊勢からすみ
ペペロンチーノを作るようにシンプルな味付けで。素材の味が活かされた味になり美味しく出来ました。
器:じばさんeleにて購入した 樂久登窯さんの器
■マーマレード
淡路島 南淡路水仙ライン沿いに作物を産地直売所で販売されている吉見秋一さんちの収穫したての無農薬レモンでマーマレードを作りました。
奄美大島のサトウキビ糖で煮ると色はシックになりましたが、酸味と苦みが絶妙!何とでも相性GOOD!
文&編集●関本 亜紀
写真●加藤 智二、関本 亜紀
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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