登山愛好家オススメの山紹介 登山ガイド 田中敦編    

今回は、好日山荘登山学校で活躍中の田中敦ガイドに立山黒部アルペンルートの魅力をお聞きしました。

2021年は、「立山黒部アルペンルート」開通50周年のアニバーサリーイヤーです。4月15日全線開通も、もう目前!

 

立山黒部アルペンルートとは

日本でも有数の観光地のひとつ「立山黒部アルペンルート」

標高3,000m級の峰々が連なる北アルプスを貫く世界有数の山岳観光ルートです。総延長37.2km、最大高低差は1,975m。そのほぼ全区間が中部山岳国立公園内にあります。富山県側の立山町「立山駅」から長野県側の大町市「扇沢駅」まで様々な乗り物を乗り継ぎ、いくつもの景勝地を通って気軽に、雲上に広がる立山黒部の雄大な大自然を満喫することができます。

出典: 立山黒部アルペンルート https://www.alpen-route.com/index.php

立山の景色

実は、私が立山に訪れたのは登山を始めて20年以上建った30歳の時でした。20歳から海外に駐在して、オセアニア、ヨーロッパ、北米と世界のアルプスを歩き、登ってきました。

そんな「海外かぶれ」の私は、海外のアルプスのような場所は日本にはあるわけないと思い込んでいました。

そんな私が帰国後に日本でのガイド活動を始め、ガイドとしてゴールデンウイークの立山初めて訪れました。

ツアーに参加したお客様は、毎年立山で登山やバックカントリーを楽しんでいるお客様たち。皆さんにとってゴールデンウイークの立山は言わば恒例のイベントのようなものでした。立山の景色に慣れたお客様がロープウエイから「今年も来たねー。相変わらず綺麗だねー」と会話しているなか

私は心の中で「スゲー。スゲー景色や」と一人でハイテンションに。

そして、アルペンルートの基部である室堂ターミナルに到着して、室堂平に出た瞬間「ヨーロッパ行く必要ないやん(なぜか関西弁)」と衝撃を受けたのを覚えています。その立山滞在3日間、お客様を案内しながらも一番はしゃいでいたのは言うまでもありません。笑

立山黒部アルペンルートの楽しみ方

立山黒部アルペンルートは、12月~3月の間冬季運行休止となり、本年度は4月15日(木)から全面運行開始予定です。運行開始から6月までの間はなんといっても、日本で一番遅くまで楽しむことができる残雪登山やバックカントリースキーが最高です。

もちろん、登山をしない観光客でも、十何メートルもそびえ立つ雪の大谷や室堂平での散策や温泉観光を楽しめますが、登山者やバックカントリー愛好家は観光客の見ることのできない奥深い立山の魅力を堪能できます。

登山であれば、体力、経験、そして装備に合わせて目的地を選べます。初心者、スノーシューハイキング向けのみくりが池温泉周辺ハイキングや室堂山登山。

中級者や山小屋泊で時間に余裕がある方向けの、立山の主峰雄山や浄土山、別山への登山。

そして、登山者の憧れ剱岳。全てのレベルの方が大満足できるだけの広大なフィールドが広がっています。

もちろん、ただ楽しい、素晴らしいだけでなく立山は登山を楽しむにはとても厳しい環境です。

残雪期に立山で活動するには、しっかりとした経験、知識、体力、装備、そして自分自身のレベルから大きく背伸びし過ぎない目的地を選ぶことが大切です。

乗り物で簡単にアプローチできてしまう事により、実際の厳しさよりも簡単なイメージを持ってしまい、不十分な装備で入山する方を多く見かけます。

「世界有数の雲上山岳地」である通り、世界でも有数の厳しい登山環境という事を認識しましょう。

どうしても自分のレベル以上の山に登ってみたいという方は、ガイド登山でトライするのも良い選択肢でしょう。

立山のもう一つの魅力は山小屋です。これほど人里から離れた場所に有るにもかかわらず、旅館かなと思えるような綺麗な設備、お風呂、食事を提供してくれます。悪天候時には避難する建物としてもとてもありがたい存在です。

是非、日帰りではなく山小屋に宿泊してゆっくりと立山の魅力を堪能することをお薦めします。

立山室堂山荘

みくりが池温泉

雪の季節は自分にとっては厳しすぎるという方には、7月~9月の立山をお薦めします。

夏はその標高のおかげで涼しく、秋は岩山、針葉樹の緑、そして広葉樹の紅葉とそのコントラストが言葉を失うほどの美しい景色を見せてくれます。(私は言葉を失わず「凄いでしょー綺麗でしょ!!」とはしゃぎまわっているたちですが)

また、家族での滞在もお勧めです。同行の家族が登山をしなくても様々な乗り物と車窓からの景色、迫力の黒部ダム、温泉、雪の大谷と観光地としての魅力も十分です。あ、忘れてはいけません!ソフトクリームやダムカレーといった食べ物も楽しみましょう。

注意点としては、乗り物が運んでくれるので忘れがちですが、室堂2,400mを超える標高に位置しています。到着後直ぐに走り回ったり、お酒を飲んでしまうと高山病になってしまう恐れもあります。

特にお子さんを連れて行く方は注意が必要です。「走らない!」と注意しても走ってしまいたくなるくらいの景色が目の前にありますから・・・。

アルペンルートの乗換駅でダムを眺めたり、蕎麦を食べたりと余裕を持って行動するのが良いでしょう。

と、書いていると、開通が待ち遠しくなってきました!!

今年も立山大滑走恒例イベントを楽しめるかなーーー?

                                                                

田中 敦

公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイド ステージⅡ

N.I.A.J(Nature Instructors Academy of Japan)所属

山好きの父親の影響で、物心がつく前から登山、スキーを始める。

航空関係の学校を卒業しながら全く航空系には進まず。卒業後すぐにガイド業を始める。

20歳~32歳まで、オセアニア、ヨーロッパ、特にスイスを中心に日本からのトレッキング、登山、スキーのお客様を案内する。

33歳に帰国後は、日本からガイド兼ツアーリーダーとして世界各地の山にお客様をご案内。

現在は、好日山荘登山学校講師 普段は好日山荘白馬店に勤務

≪主な海外山行≫

■タンザニア キリマンジャロ(4回)

■ロシア エルブルース(4回)

■南極 ビンソンマシフ

■オーストラリア コジオスコ

■ヨーロッパアルプス 4000m峰12座(モンブラン、マッターホルン等)

田中 敦ガイドの記事はこちら

https://magazine.kojitusanso.jp/guide-column/author/tanaka/

                                                                

立山黒部アルペンルート https://www.alpen-route.com/index.php

立山室堂山荘 http://www.murodou.co.jp/

みくりが池温泉 http://www.mikuri.com/

 

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!