日光杉並木街道から東照宮へ ”歩く #ちょい旅”

歩いて訪れる

皆さんは、どこか観光地などを訪れる時、目的地のアプローチに面白そうな歩きがいのある道があったとしたら、どうしますか?

時間も限られている中で一箇所でも多くの場所を訪れようと思うと、公共交通機関や自家用車などで出来るかぎり目的地のそばまで行こうと考える方が多いかと思います。

私は所謂「貧乏性」なのでしょうか?旅をする時には移動時間は短縮して色々と巡りたいタイプなのですが、冒頭で触れたように”行く途中の道が面白そう”であれば、多少のことは犠牲を払ってでも歩いてみたくなるのです。

前置きが長くなりましたが、今回は世界遺産として世界中にその名が知られている「日光東照宮」を訪問しようと計画を立てていた時に色々調べていると「日光杉並木街道」なるワードに引っかかりました。

~「日光杉並木街道」とは~
「日光杉並木街道」は、日光街道・例幣使街道・会津西街道の3つの街道に渡り、全長37kmもの道の両側に1万2126本(令和2年度時点、栃木県文化財課調べ)もの杉の木がうっそうとそびえ立つ並木道です。徳川家の忠臣・松平正綱が20年余りの年月をかけて20万本以上もの杉を植樹し、家康の33回忌の年に日光東照宮の参道並木として寄進しました。
出典:「日光市観光協会公式サイト」

 

世界最長の並木道としてギネスブックにも掲載されている、というとその凄さが伝わるでしょうか?今回は日光街道で杉並木を楽しみながら、東照宮をゴールにウォーキングなちょい旅をしてみました。

 

落ち着く空間

まずは宇都宮駅からJR日光線に乗り今市駅下車でスタートしたのですが、電車の車窓からも杉が並ぶ道を垣間見る事ができ、誰に教わるでもなく「それ」を分かってしまうほどのスケール感。駅からすぐのところに例幣使街道と日光街道の脇道ともなる国道119号がぶつかる場所を発見。ここをスタートとして杉並木を目指します。

ここからスタート。すでに左右の道には杉が整然と並びます。

暫く国道を歩いていくと、目の前に杉並木街道の案内板と共に杉並木公園が現れました。ここから本格的な杉並木の道へと入って行きます。

この街道の南北にある杉並木公園と日光だいや川公園には、芸術家の作品が飾られたり芝生のスペースがあったりと、地域住民の方の憩いのスペースのようになっています。

杉並木街道には、すぐそばを流れる川の水でしょうか、綺麗な水が引き込まれており足元からは水の流れる音が響き、頭上は杉に囲まれ日差しが柔らかく感じられる空間となっており、国道がすぐそばを走っているとは思えない程の癒しの並木道になっています。夏の暑い日の散歩にも良いのではと思えました。実際に地元の方たちがウォーキングや犬の散歩にランニングと、この街道で思い思いの時間を過ごされていました。

綺麗な水が引き込まれています。水温は高めでした。

整然と杉が並び続ける

東照宮に向けて、ひたすら歩き続けていきますがその左右はずっと杉、杉、杉。当然の事なのですが「杉並木街道」の名に偽りなしの杉が並んでいます。登山に行くと山の中に植林された沢山の杉を見る事も多いですが、現代の植林事業による杉と比べて、古に植えられた杉というだけでなんだか由緒がある物に感じてしまうのは何故だろう?などと考えながら歩き続けます。

 

途中、民家が並ぶ生活道を抜ける箇所もありますが、各家庭で玄関先を綺麗に手入れされたお花や植物で飾り、この杉並木街道を訪れる人への地元の方々のホスピタリティを表しているような気がしました。この街道は地域の自慢の一つであるのかな、と思えました。

肝心のウォーキングの道としては、柔らかい土と落ち葉のクッションで快適に歩けます。全行程ではありませんが、整備された林道のように快適な歩行を楽しめます。

この街道には、名物的な杉の木もあります。例えば、戊辰戦争の際の「砲弾打ち込み杉」や根元が銀杏の葉のように広がった「銀杏杉」、美しい姿の「並木太郎」などなど。他にも杉の木以外でも名所が多くあり飽きさせません。見つけにくい物もあるので油断禁物。注意深く歩く必要ありです。

 

杉並木を抜けて参道へ

杉並木街道は途中から日光街道沿いの細い歩道を経由したその後は日光東照宮への参道まで暫く杉並木とはお別れしますが、目の前には日光三山が見え隠れ。これはこれで楽しいものです。

今市の駅からおおよそ9km、よく歩きました。ここで駅前の「さかえや」さんで「あげゆばまんじゅう」を購入。小雨が降ってきたので店先のベンチにてサービスのお茶と一緒に揚げたてをいただきます。衣のサクッと感と、あんこの程よい甘さと外側のお塩のバランスが絶妙。歩き疲れた体には持ってこいでした。

そのまま東照宮に向かう道すがら、「お昼に絶対に食べる」と決めていた「ふだらく本舗」さんの「ゆばむすび」を購入。豆腐・湯葉好きな私としてはこの二軒の流れは最高でした。

 

そして東照宮へ

いよいよ最終地点、日光東照宮は目の前・・・ですが、今回のちょい旅のメインはあくまで「日光杉並木街道を歩く」です。従って東照宮を訪れるその前に「ちょい旅としてのゴール」とも言うべき場所をしっかり踏んでおきます。

それがここ

「並木寄進碑」です。

杉並木を東照宮に寄進し、完成した事を記念して建てられた石碑です。

並木の起点とされる、ここ神橋畔と街道の切れ目(終点)の計四か所に設置されているそう。

他の観光客の方が立ち止まって見る事がないこの石碑の前で、一旦ゴールとしました。

今市の駅からこの石碑まではおおよそ11km強。アプリで計測したデータによれば150m程登っていたようですが、感覚的にさほど登った感覚は無く丁度良い負荷のウォーキングとなりました。

皆さんも機会があれば、ウォーキングと観光の楽しみをミックスしたちょい旅をしてみては如何でしょうか?

時間を掛けて、あえてゆっくり歩く事で発見する事も多いと思います。

 

おまけ

初めて訪れた東照宮は時間の関係上、メジャーな所だけを訪れるにとどまってしまいました。

次回訪れる時は、東照宮だけでなく中禅寺湖まで足を延ばし、日光三山を登って、鬼怒川温泉に入って・・・と時間をかけてゆっくり巡ってみたくなりました。その時は交通機関を最大限に活用する事でしょう。

そんな時間が限られていた中でしたが、お土産はしっかりゲット!!

日光といえばやはり「羊羹」。古くは日持ちの良さとか、近郊で良質な小豆が取れるからとか、水がきれいだからとか、名物になった理由は色々とありそうですが、門前町には名店ぞろい。そんな中私が選んだのは「三ツ山羊羹本舗」さんの一口羊羹と水羊羹。お店の方に伺うと地元の方はお茶うけに一口羊羹を買われる方が多いとの事でした。

 

*この取材は、緊急事態宣言発令前に行われたものです。

*取材中は感染症予防の対策を講じて、密を避け最小人員で行われております。

好日山荘マガジンライター:菰下 了

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!