#ちょい旅 金華山登山と岐阜〜後編~

 

金華山登山、いやそれ以上に楽しみにしていたのが、岐阜で行きたかったところを巡る旅。登山だけでなく、麓にはここにしかない魅力的な場所やお店がいっぱいです。独自の目線でご紹介させていただきます。山にまつわる名前のお店が多いのはほんとの偶然なのか必然なのか。

喫茶室 山脈

岐阜市内から少しだけ足を伸ばしてやって来たのは、お隣の各務原市名鉄二十軒駅から徒歩4分の「喫茶室 山脈」。この名前を聞いて、気にならない山好きはきっといないはず。お店に向かい、塀の隙間から覗き見た最初の姿の美しいこと。犬山城家老の別邸を移築した歴史ある建物です。

アプローチもワクワクしてくる「喫茶室山脈」は2019年4月にオープンした古民家カフェ。標高が高い山で育つ良質なコーヒーと山の形を模した美しいモンブランが楽しめます。座った席からはお庭も楽しめ、静かで落ち着いた雰囲気が一瞬で気に入りました。メニューを拝見するとモンブランは3種類あり、迷うことなくすべてを制覇できる「おひとりさまモンブラン山脈セット」を選択。一番手前が季節のモンブラン。この日は、「オレンジとチャイのモンブラン」スパイスとオレンジのハーモニーがとても味わい深く、好みの味!定番の和栗と抹茶の「山脈モンブラン」、お店で焙煎した珈琲と洋酒の香りの「珈琲のモンブラン」、合わせて3座、無事にぺろりと単独登頂成功しました!朝9:00から営業しているのもとてもうれしい。モーニングセットもあるので、旅のはじまりの朝ごはんにもおすすめです。山脈の珈琲は標高の違うブレンドコーヒー。一合目、二合目、三合目の三種類あります。私はフルーティーな浅煎りの1800mの三合目をいただきました。こだわりのコーヒーは店内入ってすぐのお部屋にある大きなロースターで焙煎されたもの。店主の方が心を込めて豆の魅力を引き出して焼いています。豆、粉で購入することも出来ますが、簡単に楽しめるドリップパックもあります。是非山の上で至福の一杯を!

店舗をご紹介させてほしいとお願いすると丁寧にご対応くださり、先日好日山荘の各務原の店舗をご利用くださったと教えてくださいました。ご利用ありがとうございます!山で採れる珈琲と山を模したモンブランの山々な組み合わせ=山脈!を素敵な空間で表現されている店舗は山好きの方に何度も通っていただきたい、落ち着いた雰囲気のお店です。あ!山脈さんのオリジナルのバッグを自分のお土産に選ぶのを失念しました。また必ず伺います!営業日はご確認のうえ、お出かけください。

喫茶室山脈 https://kissa-sanmyaku.com/

喫茶室山脈facebook https://www.facebook.com/kissa.sanmyaku/?ref=page_internal

喫茶室山脈Instagram https://www.instagram.com/kissa_sanmyaku/?fbclid=IwAR1FmYLtJbu5cbNApBz-2bIGyKm9YW4y0_dJ3AJTFyI6wCnui2RC6wqKP3o

岩田屋豆腐店

この旅の準備をはじめた時に立ち寄る予定にしていた「岩田屋豆腐店」。下調べていると、なんと2021年12月で閉店してしまうという情報を見つけました。これは絶対に行かないと!お店まで移動するのに乗車したタクシーのなかでその日の新聞にも取り上げられていることを知りました。岐阜の人たちが、梅林と呼ぶ地区にある小さな地元のお豆腐屋さん。閉店を知って全国からもファンが訪れているとのこと。はじめて来させてもらったこと、閉店はさみしいことですね、とお声掛けすると、元気に「どこから来たの?」と問いかけが。「神戸からです」お伝えすると、「そーか、神戸か~」とありがたがってくださり、ご親戚が神戸や西宮にいるのだと、教えてくださいました。今すぐ食べてみたいのでどれにしようかと迷っている間にも、次から次へとお客様が訪れて、馴染みの味を惜しむようにまとめ買いや、お気に入りを購入されていきました。私は、なめらかな絹ごし豆腐とパリッとしたひろうすをおいしくいただきました。おあげさんなどを上げる油は毎日あたらしいものをつかっているとのこと、そりゃ美味しいはずです。その後も、とても気さくに察してくださるご夫婦で、自慢の品をたくさん教えてくださりました。もちろんすべてお土産に神戸まで連れて帰り美味しくいただきました。南京豆腐。細長い袋を切って取り出します。落花生と、黒ゴマの入ったデザートにもなるとても珍しい豆腐。日本でここだけ!?ちょっとだけ作業場を覗かせてもらいました。岩田屋豆腐店のおからは宇宙一!細かさの異なった布で2回こすとものすごいなめらかなおからになります。それはこの布と手から生まれます。背筋の伸びたかっこいいお父さんとお肌ツルツルのお母さん、本当にはじめて会った気がしないくらい親切にしていただき、笑顔で迎えてくださってありがとうございました。お二人みたいにあったかくいろんな方に接することのできるようになりたいと思いました。長い間おつかれさまでした!泣きながら豆腐を食べたことは一生忘れません。岩田屋豆腐店

2021年12月30日に閉店されます。地元に愛されるお店には魅力的な人たちが働いていたことを心に記憶しておきたいです。

山本佐太郎商店

デザインで惹かれてしまうパッケージ、それだけでなく一度この味を知ってしまうとほかのシリーズを買わずにはいられない「大地のおやつ」。今となっては、最初にどこで出会っていつはじめて食べたのかわからないほど、全国の色々なお店で見ることができるおいしいとかわいいが一緒になったおやつです。岐阜に来たからには「大地のおやつ」の聖地?!、こちらの「山本佐太郎商店」を訪れないわけにはいきません。油問屋「山本佐太郎商店」と和菓子職人「まっちん」とのコラボレーションから2012年に誕生した「大地のおやつ」。「”大地”を感じるような力強くて優しいおやつ」を岐阜から発信されています。おやつへの探究心とすばらしい素材との出会いなどひとつひとつのおやつにストーリーがあり、たくさんのアイデアと想いを詰め込んでうまれるおやつたち。最初に発売されたのが「大地のかりんとう」。カカオのお味は雰囲気が違うと思ったら、広島・尾道のチョコレート工房ウシオチョコラトル、パッケージはCHALKBOYというコラボとは、あっぱれです!パッケージデザインを見ているだけでも楽しくなってきます。これだけ一度に見ることのできる店舗は神戸にはないので、本当に迷います。おやつが自分で焼けるミックス粉「おやつこ」は購入したことが無いので一度チャレンジしておやつを焼いてみたいと思います。おいもチップスは期間限定!こちらもお土産決定です。おからのかりんとうも食べたことあったかな・・・あれ?いくつ買って帰るんだろう(笑)
おやつのほかにも気になるものも展開されています。和風カレーふりかけはいただいたせん切りキャベツのレシピをさっそく試してみました。簡単でやみつきになる上品なカレー味になります。店舗の通りの並びに異彩を放つカッコイイ建物がありました。何だろうと通り過ぎていましたが、山本佐太郎商店さんの倉庫と教えていただきました。ぎふメディアコスモスを設計された方にお願いしたものだそう。岐阜県の木材でとてもいい香りで満ちていました。業者さん向けの油問屋ならではの油の一斗缶。一度見ると忘れられない印象的な色合いとデザイン。家に飾っておきたいくらいです。

山本佐太郎商店 大地のおやつオンラインショップ https://www.m-karintou.com/

お会計のカウンターの後ろに並べられたお醤油の瓶が目にとまって気になり、質問してみるとお店にいらっしゃった番頭さんが、地元のお醤油屋さんのものです、と教えてくださいました。地元の原料などにこだわりのある蔵だとのことで、せっかくだったら明日にでも行ってみたらと言ってくださり、予定に加えることにしました。数珠つなぎになるなんて、貴重な情報ありがとうございました。

山川醸造株式会社 たまりや

山本佐太郎商店の番頭さんにご紹介いただいた地元のお醤油屋さん山川醸造株式会社の販売店「たまりや」を訪れました。お土産を選んでお会計をしてくださる際に丁寧に説明してくださる女性の方に、ご紹介いただいたことをお話してみると、お時間が良ければ工場を見学をされますか?とうれしいお申し出を受けました。お言葉に甘えて、是非!と即答。蔵に案内してくださいました。

長良川の伏流水を仕込み水に、昔ながらの杉桶にこだわり伝統的な製法でしかつくれない「美濃のたまり醤油」。「たまり」は「しょうゆ」の中でも最も歴史が古く東海三県で愛される地場調味料。原材料の9割から10割が大豆、それを2年以上熟成させ、たんぱく質豊富で旨みと深いコクと色合いが特徴のまろやかな「たまり」ができあがります。
こちらの蔵には合計90桶ほどあり、温度管理はせず自然発酵。蔵の中は醤油の良い香りが立ち込めていました。大きな桶を作る職人さんがいなくなっていることから、他の蔵から引き継いだものが多いのだそう。桶の中の構造も初めて知りました。たまりの場合はもろみの上に布を敷いて石を乗せることから、混ぜることができません。そのため、上下の液体部分を入れ替えることができるこのような特殊な構造になっています。説明してくださっていた蔵の奥に1つだけ色の違う桶がありました。木桶職人復活プロジェクトでつくられた木桶をクラウドファンディングによって迎えられた新桶です。2019年、新桶に仕込んだものから今まさに「たまり」がとれているところです。麹は岐阜県丸大豆・フクユタカのみ。「十水仕込み」というあっさりしたたまり醤油を造る製法の仕込み製法です。ぽたっぽたっと貴重な一滴一滴。桶に菌がいない分、不安もあったそうですが、キリっと美味しいお醤油に仕上がっているそうです。ぜひ桶の中を覗いてみてください、とうながされ、せっかくなので梯子をあがらせてもらいました。緊張します。お、石らしきものともろみが固まっています。この桶では下から今まさにたまりがとれているのに固そうな見た目のギャップが激しいです。桶に渡した板は、作業をするときにこの上を歩くのだそう。万が一落ちても、沈まないそうですが・・・スリル満点です。隣の桶ものぞいてみてください、とさらに下からお声が。お隣は・・・まだ液体があり、たまりを絞る前の発酵途中です。たまりをとったあと、こちらの味噌(もろみ)をさらに絞ります。味噌切断機という今ではもう作られていない機械に味噌(もろみ)を通して圧搾機にかけやすいようにまんべんなく紙におきます。上から圧力をかけ圧搾してさらに絞っていきます。まさにしぼりたてのたまりです。味見させていただくと、空気に触れたばかりなのもあってか、あっさりした味わいです。絞り切ったぱりぱりとしたものは、牛さんのヘルシーなえさになるそうです。リサイクル!直売所では、さきほどの新桶からのはじめてとれた初たまりが売られていました。もちろん即買いです!山川醸造さんといえば、アイスクリームにかける醤油が有名ですが、他にも地元の原料にこだわったお醤油、つゆなど毎日活躍しそうなアイテムがたくさん!

山川醸造株式会社 たまりや https://tamariya.com/

工場見学は通常予約が必要です。確認してから訪れるようにお願いします。ご対応くださった山川さん、ありがとうございました!好日山荘を知っていてくださり、とてもうれしい出会いでした。お家でたまりを使ったお料理楽しんでます。またお会いしたいです。

みんなの森 ぎふメディアコスモス

2015年7月に開館した伊東豊雄氏設計の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。「知の拠点」の役割を担う市立中央図書館、「絆の拠点」となる市民活動交流センター、多文化交流プラザ及び「文化の拠点」となる展示ギャラリー等からなる複合文化施設です。2階にある「岐阜市立中央図書館」に一度来てみたいと思っていました。ようやく来ることができ入る前からワクワクします。ちょい旅取材の身なのに、長居してしまいそうな居心地の良さを感じる図書館、不思議な感覚でした。世代の異なる色んな人たちが集まり思い思いに過ごしていて、市民の大事な場所のように感じました。天井の木でできた曲線がどうやって作られるのか・・・本を見るより見入ってしまいます。

この日は偶然にも満月の前日。図書館から金華山にある岐阜城と月のコラボを見ることができました。

みんなの森 ぎふメディアコスモス https://g-mediacosmos.jp/index.html

伊奈波神社

金華山の麓にあり14年に創建されたといわれ、2000年以上の歴史を持ち、長きにわたり親しまれている神社。「五十瓊敷入彦命(いにしきいりひこのみこと)」を主祭神としてお祀りしている。当地は揖斐・長良・木曽の三川に囲まれ、水の恩恵に浴していますが、一方では洪水等の水害に悩まされてきました。稔り豊かな土地を願う人々にとって、水を制するには金を以って当てるという陰陽五行説より、周囲には水・金に関する地名が多くあり、当社は水防の神としても信仰されてきました。 伊奈波神社ホームページより引用 https://www.inabasan.com/about/

急傾斜の橋は、神霊がお渡りになるための橋、あるいは神域を荘厳するためにかけれらた神橋。楼門拝殿の奥の厳かな空気の本殿を参拝させていただきました。御朱印には、神紋の菊と桐。緑の葉っぱは榊。拝殿横の願えば願うほど叶うといわれるパワースポット「黒龍大社」にもお詣りしました。この日も境内は壮大な楼門、拝殿、本殿などが建つ厳かな雰囲気でしたが、4月の岐阜まつりの頃には数百本の桜がちょうど見ごろとなり、にぎわうとのこと。初詣にも訪れる方が多いだそう。重要文化財にも指定されているという立派な石造狛犬の下に大正時代からいるという逆さ狛犬がいました。飛躍できるパワーをいただけるそうです!

伊奈波神社 https://www.inabasan.com/

今回、前編で登山した金華山は以前は稲葉山と呼ばれ、登山の途中にあった丸山には、以前は社殿があったことから今は麓にある伊奈波神社とは深く繋がっています。登山にあわせ、参拝したいですね。

御菓子司 奈良屋本店

岐阜に来た時に実際に見てみたい食べてみたい銘菓がありました。「雪だる満」と「都鳥」。メレンゲできた真っ白でかわいらしいお菓子です。アユの形の「かがり焼鮎」も岐阜ならでは。創業は天保元年の老舗。店内の戸棚も古くからつかわれているとのことで歴史を感じられました。箱の御熨斗も金華山と岐阜城のデザイン。シンプルなだるまのマークもとってもキュートです。御菓子司 奈良屋本店 https://naraya-honten.com/

ぜにや

岐阜に住んでいた友人から教わった乾物屋さん。天保三年(1832年)創業のおだし・乾物の老舗です。目利きの技で厳選された品揃え。時期的に年末年始に必要なものが店先に並んでいました。私が一番気になったのは、伊豆節の本枯れ節!
おだしに欠かせない昆布とかつお節の種類は迷ってしまうほど。おせち料理に欠かせない黒豆もお土産に。今年こそ、上手く作ります!ぜにや http://www.zeniya-gifu.co.jp/

ぎふ柳ケ瀬 ツバメヤ

ツバメのマークが目印の和菓子屋さん。数年前に訪れた際は柳ケ瀬商店街の中にありましたが、2021年8月に大きく広くなって目抜き通りに移転リニューアルしていました。
香ばしい生地と粒あんがマッチした大地のどらやきは必買!登山のお供にぴったりなようかんが新しくラインナップされていました。ツバメあられも新作ですとお店の方が教えてくださいました。岐阜の柚子胡椒、三重の米油で揚げ、私の大好きなイギリスのマルドンシ―ソルトをアクセントに使うというなんと素晴らしい組み合わせ。即買い決定です!寒いなかでも食べたくなるもなかアイス。皮がぱりっとして中の濃いアイスとのコンビネーション最高です。選んだお土産は、岐阜ならではのデザインの紙袋に入れてお持ち帰り。旅の途中のため、わらびはぐっと我慢しました(笑)

ぎふ柳ケ瀬 ツバメヤ http://tsubame-ya.jp/

ごはん処をちょっとだけご紹介

ミツバチ食堂 http://mb-cafe.net/

柳ケ瀬商店街にあるお店。お昼ご飯も晩御飯も通いたくなる飽きない味が魅力です。店内には地元のお野菜も並べられていました。

rustico  https://www.instagram.com/r_u_s_t_i_c_o/

岐阜で4店舗を展開する人気のパン屋さん。テイクアウトはもちろん、モーニングやランチも楽しめます。どのパンも見た目も美味しさも間違いなしです。私はアップルパイ、ベーグルがお気に入り。ロゴも店内もスタイリッシュです。

私がまた岐阜に行かなくてはいけない理由

・冬至の日の「こよみのよぶね」を観に行く

・長良川の鵜飼いを見てみたい。長良川うかいミュージアムに行く。

・岐阜県立美術館に行く。

・喫茶室山脈の店主さんに教えていただいたおすすめ飲食店へ行く。

・各務原アルプス登山をする。

取材日:2021年12月17日、18日 感染対策を講じ、安全安心な登山・旅を心がけ取材を行いました。

文&編集&写真●関本 亜紀

金華山登山と山頂で存分に楽しめる情報満載の前編はこちらから
#ちょい旅 金華山登山と岐阜〜前編~

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!