比叡山坂本を散策
JR坂本比叡山駅からはまっすぐの一本道で、麓の日吉大社の参道になっています。
歩きはじめてに目に入ってきたのは、三角屋根の古民家。なんだろう??と入口を覗き込んでいたら、「どうぞ見て行ってください」、とお声をかけてくださいました。
お話を伺うと富山の築200年の合掌造りの古民家を40年ほど前に移築されたとのことで、お庭を解放されてらっしゃいました。こちらは、山本そば製粉さんの敷地で、となりの倉庫にはそば粉の袋が置かれていました。「比叡そば」とこの土地ならではのデザインのものもありました。
修業中の行者が五穀と塩断ちをする間、そばと野菜などを食べて修業されるということや、断食明けにまかないとしてそばをふるまったこと、参詣者にもふるまっていたなど坂本はそばが有名な町。この旅で、そばをいただくことは忘れてはいけません。
日吉大社の鳥居
蓬餅 三九良
以前友人に教えてもらっていたお店でいつか来たいと思っていたお目当ての立ち寄り処、「三九良」(さんくろう)蓬餅のお店です。
若葉の蓬のみを使った蓬餅は薫り高くて柔らかく、こしあんとの組み合わせが絶妙!お庭を見ながらお抹茶といただいて最高です。迷わず、家族のお土産にも選びました。
お店のなかは、歴史を感じる甲冑が飾られており、お店の方にお伺いすると毎年行われる1200年続く日吉大社のお祭り「山王祭」で実際に使われているものとのこと。昨年はお祭りができず、今年の開催も限られた方々での開催になるということでみんなで参加できる祭の開催を望まれていました。
1本道をまだまだ進みます。
おっと!飛び出し坊や!ご存知でしたか?滋賀発祥です。
どんどん歩いて行こうとするのですが、気になるものにどんどん出会ってしまいます。
この看板には、寛永通宝!と書いてあります。ここは寛永通宝が作られていた 坂本銭座の跡地。と書いてある。
ココで作られたものは、永の文字の跳ねが特徴。フムフム・・・
現物が見たいと思っていたら・・・こちらで見ることが出来ました。
公人屋敷 旧岡本邸
延暦寺の僧侶でありながら妻帯と名字帯刀を認められた人「公人」と呼ばれる人々がおり、そのお屋敷のひとつが歴史的遺産として保存、内部を公開されています。
たくさんの歴史価値のある資料などが保存されている中に、さっそく寛永通宝、ほんとに永が跳ねているのを確認しました!
飾られている古い江戸の地図のなかにも比叡山延暦寺の根本中堂の文字が!
整えられた中庭には春を感じるものを発見できました。
日吉茶園
京阪比叡山坂本駅を通っていたら、駅前を手入れしている方が教えてくださいました。比叡山延暦寺を開山した最澄が植えたことが始まりの日本最古の茶園。
こんな通り沿いに!?と驚きましたがコンパクトな広さでしたが丁寧に手入れされていました。
生源寺
比叡山延暦寺を開山した最澄の生誕地と伝えられ、境内には産湯を使ったとされる古井戸があります。
御朱印をいただいてお話をお聞きしていたら、お寺に伝わる鐘のお話をお聞かせくださいました。
生源寺の破鐘
世に云う比叡山の焼討ち際の織田信長の軍勢が押し寄せるのを発見した土地の古老が、異変を伝えるために生源寺の釣鐘を力の限り乱打し、あまりに強く打ち鳴らしたため、ひびが入り不思議な音色になったと伝えられ、それ以後生源寺の鐘は非常用やお祭りなどの合図として使用されている。実際にひびの入ってしまった鐘は、JR比叡山坂本駅前の公園に今も保存されており、見ることが出来ました。
こちらは、境内の鐘
こちらがJR比叡山坂本駅前の破鐘
本家鶴喜そば
坂本と言えばそば!参詣者をねぎらいたいという思いからはじまった比叡山坂本の有名店です。国の登録有形文化財の建物です。折り鶴の細工がきれいです。
味は一番 電話は二番 店は角から三軒目 という合言葉を聞いたことがあります。確かに三軒目にありました。そば団子入り鴨汁の鴨せいろをいただきました。
御菓子司鶴屋益光
鶴喜そばさんのならびに店を構える和菓子やさん。
お店の方に一番おすすめをお聞きするとそば饅頭!とのお答えが。確かにのぼりにアピールされていました。つぶあん入り。
比叡のお猿さん。きざみ栗が入ったこしあんのあっさりしたかわいいお猿の最中。
穴太積みの石垣をイメージした包装紙が素敵です。
穴太衆石積み
坂本の町を歩くと、自然の石を使い、綺麗に積まれた石垣が続いています。
坂本の隣町の穴太には、山野に転がっている自然の花崗岩の野面石の乱積み古墳群が遺されています。構造が穴太衆積みによく似ていることから朝鮮半島から伝来した技術で、後世に穴太衆と呼ばれるようになる技術集団によって作られたと考えられています。比叡山延暦寺の堂塔建設にも力を貸したと考えられ、のちの戦国時代には比叡山焼討ち後の石垣を崩そうとした際に堅牢さに驚いたことから 織田信長が安土城築城に際して石工を呼び寄せ、高くて丈夫な城壁づくりに挑みました。穴太衆の技術は、安土城の城壁の実績によってそれ以後の築城に求められ穴太衆の名前は全国でも有名になりました。
穴太積みの特徴は、奥行きのある大きな石を使い、裏手に「ぐり石」と呼ばれる小石を組み上げ、大きな石と小さな石がバランスを保った積み方がされ、水はけもよく風雨にも強いランスを保った積み方がされています。
たくさんの穴太積みを見ることが出来るのは、坂本ならではだと思います。石垣観察も楽しみながら坂本の町を歩くと長い歴史をより感じることができる気がしました。
日吉大社
比叡山延暦寺の守り神としても有名な比叡山の麓にある日吉大社。
比叡山の麓に鎮座する日吉大社は、およそ2100年前、崇神天皇7年に創祀された、全国3800余の日吉・日枝・山王神社の総本宮です。平安京遷都の際には、この地が都の表鬼門(北東)にあたることから、都の魔除・災難除を祈る社として、また伝教大師が比叡山に延暦寺を開かれてよりは天台宗の護法神として多くの方から崇敬を受け、今日に至っています。
境内には魔除けの象徴として、神猿(まさる)と呼ばれる猿が祀られ、「魔が去る、何よりも勝る」に因んで大切にされてきました。境内にいらっしゃる神猿(まさる)に会えるでしょうか。
山王鳥居
東に向かって伊勢の神宮を始め東日本の神々を、西に向かっては西日本の神々をそれぞれ拝することができる日吉大社独特の鳥居で、笠木の上に合掌を組んで山形を造った「合掌鳥居」と呼ばれています。神仏習合の信仰を表す独特の形です。
神猿舎
お猿さんがいました!室町時代の記録にも登場するくらい古くから境内で飼われているそうです。
西本宮楼門
力持ち??柱を支えてくれているように軒下の四隅にお猿さんがいらっしゃいます!ポーズの違いにご注目ください!
蟇股にも三匹いらっしゃいました!
西本宮本殿
1586年に建てられた社殿。「日吉造」という独特の造りです。
狛犬が、本殿の上にあり、木製であることは珍しいな、と思っていました。日吉大社では、本殿に向かって右が獅子、左が狛犬だそう。本来は獅子、狛犬は本殿のなかの内陣にて神様をお守りしていました。時代を経ると本殿の上に置かれ、本殿も守護する意味合いが生まれたためです。
獅子と狛犬の見分けが分からないのですが、今までに見たことのないくらいのサイズです!動きのあるロングヘアーが素敵です。
東本宮本殿
1595年に建てられた「日吉造」の社殿。西本宮本殿とほぼ同じ形。
ついつい細かい細工に目がいってしまいます。
坂本のまちを歩いていたときにきれいな澄んだ水が流れているのを見かけていたのですが、手で触れることが出来るところがなかなか無いなぁと思っていたのですが、東本宮境内でようやく見つけました。
寒い日だったので冷たくて手が凍りそう!
この水が流れていく下流の溝に小さな魚が何匹もいるのを見つけました!残念ながら写真にはおさめられなかったのですが、魚が住めるほどのきれいな水です。
猿の霊石
お猿さんを見つけました。東本宮参道にある大きな岩なのですが、ほんとにお猿さんがうずくまってるみたいです。
日吉三橋
境内に流れる大宮川には「日吉三橋」と呼ばれる三つの石橋がかけられています。
豊臣秀吉が寄進されたとされ、石橋に掛けかえられたのは1669年。
1.大宮橋
1669年に木造橋の形式をそのまま用いた花崗岩製の石造反り橋。
渡っていて大きいなぁと感じてはいたのですが、橋を横からみると!石を組み合わせただけで出来ていることに驚きました。
2.走井橋
大宮橋のすぐ下流にかかるお祓いをするための石造反り橋で、日吉三橋のなかで最も簡素な構造。
3.二宮橋
一番下流にある橋で、上流の大宮橋とほぼ同規模の大きさ。
今回の旅のなかで、一番高い穴太積みの石垣が大宮川のそばにありました。
日吉大社は、広大な境内でまだ見れていないところがたくさんあります。もみじの名所でも有名とのことなので、季節をかえてまた訪れてみたいと思います。
叡山電鉄 修学院駅周辺
今回の旅の比叡山へは、京都側からだと叡山電鉄八瀬比叡山口駅から比叡ケーブルを乗り継いでいくこともできます。
叡山電鉄八瀬比叡山口駅から3つ隣の修学院駅周辺には素敵なお店がたくさんあり、また、京都一周トレイル®の東山ルート雲母坂へのアクセスとしても便利です。お立ち寄りにおすすめのお店を紹介します。
山道具とごはん麓 -ROKU-
荘村さんご夫婦が営む山道具とおいしいごはんがいただけるお店です。地元修学院産のお野菜を使ったいきいきしたきれいなごはんの写真をInstagramで拝見していて、一度訪れたいと思っていました。
外からお店を見ていると奥様が中から「どうぞ」とお声かけてくださいました。
さっそく今日のごはんB カレーとお野菜のお惣菜を注文しました。
お皿に盛られたごはんは写真で見る以上にきれいです。食べると野菜の味がちゃんとして、野菜への愛情を感じました。お米も修学院産、お野菜は大原のものも選ばれているとのことで、地産地消、そのものです。
とても落ち着ける空気の流れる店内で、京都の地図が貼られていたり、山の本が並んでいたり、地元愛が溢れる店内です。
ごはんをいただいたあとに山道具のなかに気になった帽子があったので、うかがってみると、京都で帽子を作ってらっしゃる方のものだそう。試着してみると、ちょっと大きい~残念!と思っていたら、私に合うサイズで作ってもらえるとのこと!ということで、また来れる理由ができました。
△sui (@sankaku.sui)
https://www.instagram.com/sankaku.sui/?hl=en
次回はデザートもいただきたいと思います。修学院に来たときはぜひとも立ち寄って丁寧に作られたごはんを食べてもらいたいです。
京都一周トレイルへ向かう雲母坂から見える山々。
喫茶と焼き菓子 セイカツ ノ ガラ
見逃し注意、白川通りから奥まったところに入り口があります。ちょっとした休憩にぴったりの喫茶と焼菓子のお店。落ち着いた空気が流れていました。
ひょうたんの形のクッキーは、ホロリとほどけるくせになる触感です。お土産に購入!今度はケーキをいただきたいと思います。
タナカパン製作所
2020年1月に修学院駅前の商店街「プラザ修学院」の中オープンしたパン屋さん。
大きな看板は無いですが、扉のない店舗、存在感のあるドライフラワー、とにかくかっこいいお店!足をとめない訳にはいきません。
この日は一番人気という「きび糖のクロワッサン」と美山牛乳の食パン、有機粒あんぱんを選びました。
クロワッサンはサックサク!! 食パンはふんわりやわらかい、生でも、焼いても、クロックムッシュでも美味しくいただきました!次回は、シナモンロールを狙ってきます!
バヒュッテ
本、雑貨、立ち呑みのお店。かっこいい外観です。
アプローチから古本が気になります。
オリジナルデザインが私好み。もちろん手ぬぐい購入決定!素敵なポーチとともに。
お店の端にある立ち呑みスペースは楽しそうに盛り上がっていました。
おまけ
旅で出会った気になったもの
天台宗総本山 比叡山延暦寺
山王総本宮 日吉大社
比叡山坂本サンポ
https://www.hieizansakamoto.jp/
比叡山・びわ湖 山と水と光の回廊
京都一周トレイル®
https://ja.kyoto.travel/tourism/article/trail/index.php
比叡・三九良
https://www.ton-kou.com/sankuro/
本家鶴喜そば
御菓子司 鶴屋益光
http://www.turuya.jp/syouhin/osaru.html
山道具とごはん 麓
https://rokukyoto.shopinfo.jp/
セイカツノガラ
https://www.instagram.com/cafe.seikatsunogara/
バヒュッテ
文:関本 亜紀
写真:加藤 智二、関本 亜紀
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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