今回は、好日山荘おとな女子登山部部員のあややに春山のおすすめルートを紹介していただきました。
北アルプス残雪期の燕岳→大天井岳→常念岳→蝶ヶ岳の縦走
皆さんこんにちは。
おとな女子登山部のあややです。
気が付けば4月もあと僅か。
高山でも雪解けが少しずつ進み、シュリンクしていた遠出したい気持ちがまたムクムクと湧きあがってきます。
(ただ、コロナ禍の中、日々状況が変わっておりますので柔軟に対応していきたいものです。)
さて、私は2011年に始めた登山の中で、アルプスはいくつか登って来ましたが、思い出深いのはやはり雪山初心者の時に登った北アルプス残雪期の燕岳→大天井岳→常念岳→蝶ヶ岳の縦走です。
結果的には全てを縦走出来なかったのですが、当時はまだ雪山に慣れておらず、名だたる山々の雪を被った美しい景色に心を奪われました。
行くまでの間は寒いかな、とかアイゼン&ピッケルをきちんと使えるかな、など様々な緊張と不安が交錯しましたが、やはり挑戦できる嬉しさの方が勝っていたのを覚えています。
迎えた当日前夜、関西から夜な夜な車を走らせましたが、実はこの時直前の土砂崩れにより三俣から燕岳登山口への中房線が夜間通行止めとなっていました。
山へアクセスする場合はこういった事態はざらで、事前情報のキャッチアップが非常に重要になります。
少し話は逸れますが、「準備が9割」と常日頃仕事をしながら思っているのですが、山も少し似た部分がありますね。
事前に知っていれば焦ることなく対応出来ると思います。
燕岳登山口にて。気合十分です。
話を戻しますが、このシーズンは積雪量が多く、地図上のコースタイムより時間がかかりそうでした。
その為、行動計画も無理のないようにし、初日はゆっくりペースで歩くように心掛けました。
高山病は一般的に2,000~2,500mを越えると発症しやすいと言われており、加えて寝不足や体調不良の場合は特に注意が必要です。
特に遠方からアクセスする事も多い場合は、このようにゆっくり高度を上げて身体を順応させるのも予防法の一つですね。
幸い、メンバーの体調は良好。コース上の折り返し地点に位置する合戦小屋は、ランチタイムに格好の休憩場所。
ベンチもたくさん整備されており、8割ほどが登山客で埋まっていました。さすが人気のコースです。
夏場は波田ブランドの美味しいスイカが販売されているのですが、ないのは言うまでもありません。
しっかりカロリーを摂取して、一度切れた集中力を再び上げ北アルプスの三大急坂・合戦尾根に取りかかります。
急ではありますが、目標物が見えていることで比較的モチベーションが保ちやすいように思います。
燕山荘を捉えながら最後の登り。
単独だとひたすら辛い登りに耐えるしかありませんが、パーティーで行くと喋っている間にいつの間にか着いていた!という事が往々にしてあり、意外と早く燕山荘に着くことが出来ました。
この後、幾度となく泊まる機会が出て来る燕山荘ですが、この時が初めて。
さすが登山者が泊りたい人気№1の山小屋だけあり、設備も食事も充実しています。女性が特に気にするお手洗い周りも清潔で、山小屋デビューにはもってこいです。
ケーキセットは大人気!
食事を目当てに山に登るのもアリ!!気になっている人を誘う口実にもなりますよね。
沢山歩きたいので沢山食べます。
当時は残雪期のテント泊装備をあまり持っておらず山小屋泊一択でした。
今なら挑戦できるものの、快適すぎる燕山荘にまた泊まってしまいそうな気がします(笑)。
荷物を山小屋にデポして山頂へ向かいます。この景色があるから登山はやめられない。
よく間違えられますが、燕岳は実は100名山ではなく200名山。燕岳の山頂までは山小屋から30分ほどで、ピークを踏んで1日目は終了。
ご来光を見て、今日の安全登山を祈ります。いつ見ても美しい。
2日目は日焼けが心配になるくらいの快晴の中、登山者憧れの表銀座縦走コースの稜線歩きです。
冬ルートを通ります。岩好きにはたまらない。蛙岩の中は狭い。
今回の核心部である大天井岳が見えてきました。危険な箇所があり、しばらく緊張感のある急登が続きます。
雪が付いており、よりくっきりと見える稜線。
例年に比べて積雪量が多く、また、早朝に通過する予定だったので小屋の方から「危ないので直登して下さい」とアドバイス頂いており、ストックからピッケルに持ち替えました。慎重に進めば問題ないのですが、下をみると恐怖心が増します。
なかなか迫力がある1枚。
でもこういう時、恐いもの見たさでつい後ろを振り返ってしまいます。
足が震えそうになりますが、アドレナリンが全開しているのを感じました。恐いけど、楽しいんですね。(※ロープとハーネスは使いませんでしたが、装備としては持参することをお勧めします。)
2013年に歩いた槍穂が奥に見えます。自分の登った山を眺めるのは殊更嬉しい。
時間が許す限りいつまでも眺めていたいと思える景色は非日常の世界で、ベタですが自分が本当にちっぽけな存在に思え、日々の悩みが馬鹿らしく感じます。
無事に大天井岳に登頂。
登頂後、緊張がほぐれた後は細かいアップダウンを経て常念小屋を目指します。常に絶景で「気持ちいい!」とか「すごい!」とかバリエーションのない言葉を連呼していました。。
どこまでも続く縦走路。
常念小屋は燕山荘と比べると人も少なくこじんまりとしていますが、静かな雰囲気がお気に入りポイントです。電波塔の近くでは携帯がつながるのも有難い。
常念岳の麓にある常念小屋。
小屋では、明日の天気予報を確認した所、お天気急変とのこと。
このままでは明日の常念岳と蝶ヶ岳登頂は難しそうです。山ではよくあることですが、心も身体もようやく山に馴染んできたというのに!今ならどこまででも歩けそうなのに!突然の終了宣言に思えて残念な気持ちになりました。
奇跡を信じたものの、生憎予報通りとなり、常念岳と蝶ヶ岳は諦め一ノ沢ルートから下山となり今回の山旅は終了しました。
一の沢より下山。たまにシリセードで遊ぶ。
お昼前に下山出来たので、気持ちを切り替えせっかく長野に来たのでおそば屋さんへ立ち寄ることにしました。
やはり“食”は偉大なり。登れなかった事を帳消しにしてくれるくらい美味しくて、すっかりご機嫌が戻りました。
それから月日が経ち、他の山々も随分と登りました。
振り返って思うのは、今まで登山を続けて来れたのも、単に時間やお金が許したからではなく、一緒に山に行ってくれる仲間がいたからだとしみじみ思います。
個人的にはどこへ行くかも大切ですが、誰と行くか、も非常に大切だと感じています。
(ちょっと怒られそうですが、時に山の印象より、その時に話していた他愛のない会話だけを覚えていたりする事もあります。)
まだまだ行ってみたい場所もたくさんあります。歩ける限り、これからもずっと山を歩いていきたいです。
コロナ禍で大変な状況は今後も続きますが、春になり気持ちの良い季節。皆さんが登山を通して少しでも素敵な時を過ごせますように願っています。
そして、1日も早く行きたい場所に、行きたい人と出掛けられる日が来るといいなと思います。
※コース紹介は現時点でのものです。最新情報をよく確認してからお出掛けください。
おとな女子登山部 あやや
兵庫県生まれ。好日山荘への転職をきっかけに山にはまる。
岩場や鎖場などスリリングな場所が好き。
今年はおとな女子登山部メンバーでクライミングをするのが目標で、現在日々修行中。
2020年は3回も東北に遠征するなど大の東北好き。ピークハント以外にも周辺の温泉や美味しい物探しに余念がない。
現在、広報室に所属。好日山荘のPRの他、女性目線で様々な企画の立案や情報発信を行っている。
おとな女子登山部 あややの記事はこちら
https://magazine.kojitusanso.jp/author/otona-joshi-member-ayaya/
好日山荘おとな女子登山部 http://www.kojitusanso.jp/otonajoshi/
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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