好日山荘100名山をガイドと巡る~アリマウマノスズクサに出会う~山と街をつなぐ神戸電鉄「有馬口駅」から

今回の目的は、好日山荘100名山のひとつ「六甲山」を裏から楽しむことと、この時期だけに咲く花「アリマウマノスズクサ」に出会うこと。好日山荘登山学校でちょうど見に行くことができる講座があるときき、これはチャンス!と潜入取材してきました。

神戸電鉄に乗車

海側から見える六甲山を表とするなら、海側からは見えない六甲山は裏になる。六甲山を裏から楽しむには、神戸電鉄の駅を起点にすると手軽にアクセスしやすく便利。表から裏に抜け、六甲山の裏側を通る勾配のある路線です。運転席のある先頭車両に乗ると、のぼって行く感じが体験出来てオススメ。

有名な温泉地、有馬温泉駅のお隣の駅からスタート!線路も電車も近くで見ることが出来て何だかテンションが上がります。

駅からは、住宅街を歩きますが、本格的な登山道に入るまでにさっそくお花も発見!無条件でうれしくなります。

好日山荘登山学校の実技講座に潜入!

登山道に入ってからは低木の中を歩き日焼けを気にすることがほとんどなくひと安心しましたが、歩き出してすぐに汗が顔から噴き出してきました。最近特に運動をさぼっている身体にはこたえます。

途中で開けたところで見えた景色。裏六甲は小さなピークが連なっています。

今回同行させていただいた六甲山を深く知る加藤智二ガイドの密かに7年間毎月実施の実技講座シリーズ。普段日常的に登山をされている健脚な方が中心で、一番うしろから必死について行きます。

「今はどこにいるのかな?」小休止毎に、各自で地図を確認、水分や栄養補給、衣服調整を行います。いつもの友人との登山だとしゃべり過ぎて忘れがちな大事なことも、講座で習慣付けることが出来て今後にも役立つこと間違いなし。

「この木は、紙の原料になるコウゾですよ」と小さな花をつけた木を教えてくれた加藤ガイド。山の知識を色んな角度からもお持ちです。こんな気づきができることもガイド同行の実技講座の魅力。昔から紙の原料として使われているコウゾの皮の繊維は長く絡み合う性質で丈夫な紙になる。こちらは高級な楊枝の原料となる「クロモジ」さわやかな香りがする枝が特徴。六甲山にもリスがいるって!会ってみたい!松ぼっくりやクルミはリスのごはん。

手入された明るい光の入る森もまだまだどんどん歩きます。

アリマウマノスズクサ

以前に見たことがあるという加藤ガイドの案内でコアジサイの群生を抜けた森のさきに、いよいよ出会うことが出来ました。アリマウマノスズクサ(有馬馬の鈴草)はつる性の多年草。ミッキーみたいな形の葉っぱに筒状で曲がったおもしろい姿をした花をつけます。食虫植物ではありませんが筒の一番奥に花粉があり、入った虫は逃さないそう。六甲山地で見られる固有の植物で、ジャコウアゲハの食草で幼虫は葉を食べます。名付け親は、日本の植物学者 牧野富太郎博士。

この場所では、木にそって高くツルが伸びていました。花をつける個体も少ないようで、この日たくさん見ることができたのはたくさん歩いたご褒美!とてもラッキーでした。ひとりでは絶対見つけられなかったです。

登山の楽しみ

この日もたくさんの素敵なものに出会えました。ふとした時に見つけて疲れが吹っ飛びます。

ギンリョウソウ  はじめて見た時の衝撃は忘れません。透明感のある美しさ。コアジサイ  群生しているところにも遭遇しました。独特のかおりがします。ナルコユリ お花は葉っぱに隠れてぶら下がっています。フタリジズカ 六甲でも見れるなんて、うれしい!食いしん坊だと素通りするわけにいかないものも発見。棘が痛いナガバモミジイチゴと山椒。これぞまさに有馬山椒!?

今回の登山学校の講座にご参加のみなさまと加藤ガイドとのこの日限りの出会いに感謝します。体力的に大変でしたが、みなさんの体力と登山力に脱帽!楽しかった一日を本当にありがとうございました。これからも色々な登山を体験してください。いつかまたお山で会いましょう!

取材日:2021年6月2日 リフレッシュして健康維持。感染対策をしっかりした山登りを心がけましょう。

 

アリマウマノスズクサ、ここなら見れるかも?。

・六甲高山植物園 https://www.rokkosan.com/hana/

神戸市民にはおなじみの六甲山にある植物園。「ヒマラヤの青いケシ」をはじめ珍しいお花、季節のお花が楽しめます。

・高知県立牧野植物園 https://www.makino.or.jp/

アリマウマノスズクサの名付け親の牧野富太郎博士のお名前のついた植物園。もしも高知市内に行くことがあればぜひ!

 

神戸電鉄 有馬口駅 お立ち寄りどころ

登山以外にも楽しみを見つけたい!独自目線でお気に入りをご紹介。有馬口駅周辺は民家と田んぼや畑があるのんびりしたところ。訪れた日は、田んぼにありえない数のオタマジャクシが元気に泳いでいました。近寄ると気配に気づき撮影前にいっぱい逃げられました!■古民家Cafe Slow Life駅から10分ほど、のんびり歩いてたどりついた築130年の古民家カフェ。15年のあいだ続けられているそうです。

看板メニューはヴィーガン対応の週替わりランチ。丁寧に作られたおかずはやさしい味がします。個人的な好みはヒジキのアンチョビ風ソースペンネと自家製味噌のお味噌汁。大豆ミートのしょうが焼きも食べ応え十分!おやつによもぎの蒸しパンと豆乳チャイをいただきました。どれも心がこもって作られています。間違いなく、登山帰りに立ち寄ってほっこりしたい一軒です。スコーンやマフィンもあり、お持ち帰りにもぴったり。この日は11時半に一番乗りでしたがとても人気ということもあり、あっという間にほぼ満席。月・火曜日のみの営業で、夏と冬には長期休業されています。2021年6月下旬からは産休をとられるそうですので、訪れる前には、事前に確認を。ランチは予約必須。

古民家Cafe Slow Life  

ホームページ https://cafeslowlife.amebaownd.com/

Facebook  https://www.facebook.com/gohan10.slow/

神戸市が発行する 神戸市北区を巡るガイドマップ「NORTH KOBE GUIDE」にも掲載

 

■専念寺

カフェに向かう道中に約400年前に開山された「専念寺」というお寺の標識を偶然発見。アジサイ寺、おしゃもじ地蔵、と言うワードが気になり、オープンまで時間があったので立ち寄らせていただきました。右側が「おしゃもじ地蔵さん」。しゃもじに願いごとをひとつだけ書くときっとすくってくださるとして、しゃもじを奉納するようなのですが、どなたもいらっしゃらず、お詣りだけさせていただきました。合掌。「アジサイ寺」の所以、参道には多くのアジサイが植えられ、見頃になるともっときれいだろうな・・・と想像しました。

■登山のお供
チューブで水?こんな大げさな水分補給!と登山を始めたころは思っていましたが、10年ほど前に真夏の開聞岳で脱水症状になり手足が浮腫んで大変な経験をして以来、冬以外はハイドレーションが手放せません。立ち止まることなく、常に水分を補給できるアイテム。もちろん、他のボトルにも水分を持っていくことも忘れずに。

文&編集&写真●関本 亜紀

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!